十二星座の由来となったギリシア神話の物語のまとめ、黄道十二星座の由来となった十二の動物や人物たちの一つ一つの物語
十二星座とは、地球から見て太陽が一年をかけて一周していくことになる黄道(こうどう)と呼ばれる天球上の大円を中心とする帯状の領域のうちに順番に位置づけられていくことになる
おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座という代表的な十二の星座のことを意味する言葉であり、より正確には、黄道十二星座と呼ばれることになります。
そして、
こうした十二星座、すなわち、黄道十二星座に分類されるそれぞれの星座のうちに描かれていくことになる星座の形については、
基本的には、
そうした十二星座のうちに含まれるすべての星座について、ギリシア神話において登場する動物や人物の存在のうちにその星座の姿の由来となった何らかの物語を見いだしていくことができると考えられることになります。
十二星座の由来となったギリシア神話における一つ一つの物語のまとめ
こうした十二星座あるいは黄道十二星座と呼ばれる十二の代表的な星座のそれぞれに対応することになるギリシア神話の物語について一つ一つ順番にまとめて書いていくと、
以下のような十二の物語において語られている十二の動物や人物たちの姿のうちに、そうしたそれぞれの星座の姿の具体的な由来となる物語を見いだしていくことができると考えられることになります。
そうすると、まず、
こうした十二星座と呼ばれる十二の代表的な星座のうちのはじめに挙げた
おひつじ座において描かれている羊の姿は、ギリシアの古代都市の一つにあたるボイオティアの王子と王女であったプリクソスとヘレーという名の二人の兄妹を自分の背中に乗せて助け出し、二人を遠く東の地へと向かう逃避行の旅へと導いていくことになった空飛ぶ黄金の羊の姿がこの星座のギリシア神話における由来となった物語として挙げられることになり、
その次に挙げた
おうし座において描かれている牛の姿は、フェニキアの古代都市にあたるテュロスの王女であったエウロパの美しい姿に魅了されたギリシア神話における神々の王であるゼウスがこの美しい異国の王女をギリシアのクレタ島へと連れ去ろうとして姿を変えた白い牡牛の姿、
ふたご座において描かれている双子の兄弟の姿は、スパルタの王妃であったレダと白鳥の姿をしたゼウスとの間に生まれたカストルとポルックスという名の双子の兄弟の姿がこうした星座の由来となったギリシア神話の物語として挙げられることになります。
そして、その次に挙げた
かに座において描かれている大蟹の姿は、ギリシア神話における半神半人の英雄であるヘラクレスの怪物ヒュドラとの戦いの物語において登場する泉の主であった巨大な水蛇であるヒュドラのことを守ろうとして怪力を誇るヘラクレスと勇敢に戦おうとするカルキノスと呼ばれる大蟹の姿、
しし座において描かれている夜空を駆ける巨大な獅子の姿は、同じく、ギリシア神話における英雄ヘラクレスの怪物退治の物語のなかに登場するあらゆる武器を弾き返す強靭な毛皮によって覆われた鋼のような肉体を持つネメアの獅子と呼ばれる獰猛なライオンの姿、
また、その次に挙げた
おとめ座において描かれている麦の穂を持つ女神の姿は、作物の実りをもたらす豊穣の女神であるデメテルの娘にして、のちに冥界の王であるハデスの妻となった春の訪れつげる女神ペルセポネの姿、
てんびん座において描かれている二枚の皿がつるされた天秤の姿は、戦争と暴力、嘘と奸計といった悪徳があふれるようになった鉄の時代の人間たちに、自らの心の奥底に眠る正義の心を取り戻すように最後まで訴え続けた正義の女神ディケーとも同一視される純潔の女神アストライアの姿、
さそり座において描かれている毒針を持つさそりの姿は、巨人オリオンと月の女神アルテミスとの恋をやめさせるためにアポロンが刺客として放った猛毒を持つさそりの姿、
いて座において描かれている矢をつがえた弓を引く射手の姿は、英雄ヘラクレスが誤って放った猛毒の一矢によって膝を突き刺されて死の苦しみを味わったのち、その苦痛に耐えかねて自分に与えられた不死の力を放棄することによって死の安息を得ることになった半人半馬の姿をしたケンタウロス族の賢者ケイロンの姿、
やぎ座において描かれている二本の角と魚の尾を持つ山羊の姿は、巨人を驚かすほどの大きな音を吹き鳴らすことできる貝殻を探しに海へと潜っていくために自分の下半身を魚の姿へと変身させた獣の脚と山羊の角を持つパンまたはアイギパンと呼ばれる半獣神の姿、
そして、
みずがめ座において描かれている口が下向きになった水瓶を捧げ持つ美青年の姿は、鷲の姿をしたゼウスによって天空の世界へと連れ去られ、神々の饗宴において酒に満たされた水瓶をかつぐ天界の給仕人としての役割を担うことになったトロイアの王子ガニメデの姿、
うお座において描かれている尾の部分をひもで結ばれた二匹の魚の姿は、怪物テュポーンから逃れるために二匹の魚の姿へと変身して川へと飛び込み、離れ離れにならないように魚となった自分たちの体を互いにロープで固く結んでつなぎとめていた美の女神アフロディテとその息子にあたる愛の神エロースの姿が
こうしたそれぞれの星座の由来となったギリシア神話の物語として挙げられていくことになると考えられることになるのです。
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そして、以上のように、
こうしたおひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座といった十二星座のうちに数え上げられている様々な星座たちに代表されるように、
そうした夜空に輝く代表的なすべての星座たちは、基本的には、ギリシア神話の物語のうちに、何らかの由来を持つ星座として位置づけられていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:十二星座の由来におけるバビロニア神話とギリシア神話との関係とは?二つの神話をつなぐ星座の由来となる物語の系譜
前回記事:うお座のギリシア神話における由来とは?魚の姿へと変身して逃げる愛の神エロースと美の女神アフロディテの母と子の物語
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