さそり座のギリシア神話における由来とは?神の刺客となったサソリと巨人オリオンと月の女神アルテミスの恋の物語
黄道十二星座の一つとして位置づけられている蠍座(さそりざ)は、黄道十二宮における天蝎宮(てんかつきゅう)の領域とも結びつけられることによって、
二十四節気のうちの霜降から小雪の頃までの時期にあたる 10月24日から11月22日までの30日間の期間を司る星座としても位置づけられることになるのですが、
こうしたてんびん座と呼ばれる星座は、ギリシア神話においては具体的にどのような由来を持つ星座であると考えられることになるのでしょうか?
巨人オリオンと月の女神アルテミスの恋の物語
そうすると、まず、
こうしたさそり座と呼ばれる星座において毒針を持つ尾をくねらせた形で夜空に描かれることになるさそりの姿は、
ギリシア神話の物語においては、巨人オリオンと月の女神アルテミスとの恋をとめるためにアポロンが刺客として放ったさそりの姿のうちにその具体的な由来が求められていくことになると考えられることになります。
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ギリシア神話に登場する狩りの名手であったオリオンは、海を司る神であるポセイドンと、クレタ島の迷宮クノッソス宮殿を築いたミノス王の娘であったエウリュアレとの間に生まれた半神半人の英雄とされているほか、
大地の女神ガイアから生まれた巨神族のうちの一人として数え上げられることもあるのですが、
こうした狩りの名手であった英雄オリオンは、力の強い狩りの名手であると同時に、非常に美しい容姿をした巨人であったとも語られていくことになります。
そして、
こうした美しい巨人であったオリオンは、非常に好色な英雄であったとも伝えられていて、自分が恋をした娘をわが物とするためには、
自らが持つ狩りの能力を駆使して、その娘が住んでいる島中の動物たちをすべて狩り尽くして彼女への贈り物とすることもいとわなかったため、こうした乱暴な行いは次第にオリュンポスの神々から疎まれるようになっていきます。
しかし、ある時、
そうした狩りをするオリオンの姿に目をとめた月と狩猟の女神であるアルテミスは、狩りをするオリオンの姿の美しさに魅了されて彼のことを自らの住まいにかくまって、共に暮らしていくようになり、
その仲睦まじい様子から、天上と地上の世界のうちでは、やがて二人は互いに結ばれて結婚することになるだろうとの評判が広まっていくことになるのです。
神の刺客として天空へと引き上げられたさそり座とオリオン座との関係
すると、
この様子を見ていたアルテミスの兄であり太陽神であるヘリオスと同一視されることもある光明神であるアポロンは、
大切な自分の妹がオリオンのような乱暴で好色な巨人に連れ去られてしまうことがあってはならないと激しく憤り、
二人の仲を引き裂くために、オリオンのもとに彼の命を奪うための刺客として、猛毒を持ったサソリを送り込むことになります。
そして、
このようにして光明神であるアポロンの刺客となったサソリは、自らが持つ毒針によって巨人オリオンを打ち倒し、自分に課せられた使命をしっかりと果たすことになるのですが、
そうした一連の出来事を天空から眺めていたゼウスによって、こうした神の刺客としての仕事を見事に果たしたサソリが天空へと引き上げられて星座の形としてその姿を夜空にとどめることになったというのが、
こうしたギリシア神話におけるさそり座と呼ばれる星座の具体的な由来であると考えられることになるのです。
ちなみに、
その後、ゼウスは、自分の恋人であったオリオンの死を嘆き悲しむアルテミスからの願いを聞き入れることによって、
サソリを刺客として放ったアポロンによって殺された巨人オリオンについても天空へと引き上げて星座の形としてその姿をとどめるように取り計らっていくことになるのですが、
オリオンは星座になってからも自分を襲いにやって来るサソリを恐れて夜空を逃げ回っているため、さそり座が東の空から顔を出すと、すぐにオリオン座は西の地平線へと隠れていってしまうことになり、
ギリシア神話においては、こうした二つの星座の関係は、
夏の星座であるさそり座を避けるようにして、冬の星座であるオリオン座が現れるようになっていったと説明されていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:いて座のギリシア神話における由来とは?ケンタウロスの賢者ケイロンと英雄ヘラクレスの出会いと彼が最後に願った死の安息
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