てんびん座の星の名前の由来とは?「天秤の二つの皿」を象徴する二つの星と地球から見える宇宙最古の星
黄道十二星座の一つとして位置づけられている天秤座(てんびんざ)は、黄道十二宮における天秤宮(てんびんきゅう)の領域とも結びつけられることによって、
二十四節気のうちの秋分から霜降の頃までの時期にあたる 9月23日から10月23日までの31日間の期間を司る星座としても位置づけられることになるのですが、
天文学において、こうしたてんびん座を構成する主要な星としては、具体的にどのような星の名前が挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
てんびん座を構成する主要な四つの星の名前と具体的な由来
そうすると、まず、
こうした日本語ではてんびん座、英語ではLibra(リーブラ)と呼ばれる星座は、現代の天文学においては、全部で118個ほどの恒星によって構成されている星座として位置づけられることになるのですが、
こうしたてんびん座を構成している様々な星々のうち、地球から見たとき比較的明るくて大きい星として観測されることになる主要な星の名前を挙げていくと、
ズベン・エス・カマリ、ズベン・エル・ゲヌビ、ズベン・エル・ハクラビ、ブラキウムといった全部で四つの星の名前を挙げていくことができると考えられることになります。
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こうしたてんびん座を構成する主要な四つの星のうち、はじめに挙げた
ズベン・エス・カマリ(Zubeneschamali)は、アラビア語において「北の爪」を意味するal-zuban al-šamāliyya(アル・ズバン・アル・サマリヤ)という言葉に由来する名前を持つ星であり、
この星は、別名では、ラテン語において「皿」を意味するlanx(ランクス)という単語と、「北」を意味するborealis(ボレアリス)という単語が結びつけられることによってできたランクス・ボレアリス(Lanx Borealis[)という呼び名でも呼び表されることになるてんびん座を構成する星々のなかでは最も明るい三等星の恒星として位置づけられることになります。
そして、それに対して、その次に挙げた
ズベン・エル・ゲヌビ(Zubenelgenubi)は、アラビア語において「南の爪」を意味するal-zuban al-janūbiyy(アル・ズバン・アル・ジャヌビ)という言葉に由来する名前を持つ星であり、
この星は、別名では、アラビア語において「皿」を意味するキファ(kiffah)という単語とラテン語において「南」を意味するアウストラリス(australis)という単語が結びつけられることによってできたキファ・アウストラリス(Kiffa Australis)という呼び名でも呼び表されることになるてんびん座を構成する星々のなかでは二番目に明るい三等星の恒星として位置づけられることになります。
また、その次に挙げた
ズベン・エル・ハクラビ(Zubenelhakrabi)は、アラビア語において「サソリの爪」を意味するal-zuban al-ʿAqrab(アル・ズバン・アル・アクラブ)という言葉に由来する名前を持つ星であり、
この星がかつてはてんびん座ではなくその隣の星座であるさそり座に区分されていたことがあるため、このような名前がつけられることになったと考えられることになります。
そして、最後に挙げた
ブラキウム(Brachium)は、ラテン語において「腕」を意味する言葉がそのまま名前としてつけられた星としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
てんびん座に位置する地球から観測できる宇宙最古の星の存在
また、
こうしたてんびん座に含まれる数多くの星々のうちには、上述した四つの主要な星によって構成される星座の形から少し離れた左上の地点に位置する小さな星として、
HD 140283という番号名で呼ばれている地球から約200光年離れた遠い宇宙に位置する地球から見ると小さくて暗い七等星の恒星として観測されることになる天体も含まれることになります。
そして、
こうしたHD 140283という名称で呼ばれる天体は、その星を構成している成分の大部分が宇宙の誕生におけるビッグバンの際に生成した水素とヘリウムのみによって構成されていて、
その後の恒星内部での核融合反応や超新星爆発によって生成されていくことになる金属などの重元素がほとんど存在しない低金属星であることが分かっています。
そして、
そうした天体を構成している金属成分の比率に基づく恒星の年齢の算定から、この星は、宇宙の年齢にあたる138億年に匹敵するほどの古い歴史を持つ星であるとことが判明していて、
現代の天文学においては、
こうしたHD 140283という名称で呼ばれる太古の時代に生まれた恒星は、地球から観測することができるすべての天体のなかで、最も年齢の古い宇宙最古の星として位置づけられていると考えられることになるのです。
四つの恒星が構成するコの字型の星座の形と「天秤の二つの皿」を象徴する二つの星
以上のように、
こうしたてんびん座と呼ばれる星座を構成する数多くの星々のうちには、現代の天文学において宇宙最古の星として位置づけられているHD 140283といった星も含まれることになるのですが、
こうしたてんびん座を構成している主要な星々を線でつなげて星座の形を描いていく場合には、
前述した主要な四つの星にあたるズベン・エス・カマリ、ズベン・エル・ゲヌビ、ズベン・エル・ハクラビ、ブラキウムという四つの星を基点として、
上記の図において示したような少し斜めになったコの字型の形状をした星座の形が描かれていくことになると考えられることになります。
そして、
こうしたてんびん座を構成する主要な星の名前のうち、はじめに挙げたズベン・エス・カマリとズベン・エル・ゲヌビという二つの恒星は、
それぞれ、別名では、「北の皿」と「南の皿」とも呼ばれているように、この星座が象徴している形である天秤の二つの皿のことを象徴する名前がつけられているとも考えられることになるのです。
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次回記事:さそり座の星の名前の由来とは?サソリの頭と尾の中心で火星のように赤く輝く一等星の恒星アンタレス
前回記事:おとめ座の星の名前の由来とは?「泉の女神」や「ぶどうを摘む女」といった女神や女性に関わる名を持つ星々
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