「日本にはピアノ調律師が全部で何人いるのか?」フェルミ推定に基づく解答とその概算値の統計学的な妥当性の検証

前回の記事では、「シカゴにはピアノ調律師が全部で何人いるのか?」というフェルミ推定の代表的な問題について、

比較的広く知られている推論パターンを用いた二つの解答例を挙げていくなかで、それぞれの推論の妥当性と誤差についての検証を進めてきましたが、

今回は、そうしたフェルミ推定における推論の妥当性についての検証を引き続き進めていく中で、

「日本にはピアノ調律師が全部で何人いるのか?」

という問いについて、実際に最初からフェルミ推定を用いた推論を組み立てていく形でその概算値の推定を行ってみたいと思います。

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「日本にはピアノ調律師が全部で何人いるのか?」という問いに対するフェルミ推定に基づく解答

それでは早速、「日本にはピアノ調律師が全部で何人いるのか?」という問いについてフェルミ推定を用いた推論に基づいてその概算値を推定していくことにしますが、

前回の記事でも触れたように、こうしたフェルミ推定と呼ばれる統計学的な推論法においては、まずはそうした推論の前提としていくつかの最低限の基礎データが与えられることが必要であると考えられ、

この場合は、そうした基礎データとしては、例えば、日本の総人口一世帯の平均人数といったデータを用いることが適切であると考えられることになります。

そうする、とまず、

平成30すなわち2018総務省発表「住民基本台帳に基づく人口動態」のデータにおいては、

日本全国における人口の総計は、1億27707259
そして、一世帯あたりの平均人数は、2.20

であるとされているので、こうした基礎データに基づいて上記の問いについてのフェルミ推定に基づく統計学的な推論を進めていくことにすると、

2018年現在、日本全国には1億27707259の人々が住んでいて、そうした日本の各世帯には平均して2.20の人が暮らしており、

ここからはすべて実測値には基づかない純粋な推論ということになるのですが、そうした日本全国の世帯のなかで、家にピアノを持っている世帯だいたい10世帯に1世帯くらいはあると推定されることになります。

しかし、そうしたピアノを持つ世帯のすべてにおいてピアノの定期的な調律がなされているわけではなく、実質的に置物状態になっている家も多いことを考えると、1年に1回程度の定期的な調律が行われているピアノ3台に1台程度と推定されることになり、

それに対して、調律師が一日にピアノ調律を行うことができる台数は、同じ日に調律の予約が入っている家が必ずしも近い場所にあるとは限らず、調律の合間に比較的長距離の移動が入ってしまうケースもあると考えると、午前に1台、午後に2といった感じでだいたい一日に3の調律が行えればいい方であると考えられることになります。

そして、だいたい週休二日くらいを目安として働く場合、1週間に5日間1年では260日程度働くことになると考えられますが、

そのすべての日において調律の予約が都合よく埋まるとは考えられないので、適切な間隔で予約が埋まらず、一日に2台あるいは1台だけの調律で終わってしまうケースなども考慮に入れて、ピアノ調律の平均稼働率自体は70%くらいであると考えて概算を行うと、

①日本全国の人口の総計は、1億27707259
②日本に住んでいる人の総世帯数は、1億27707259÷2.205800万世帯
③日本に存在するピアノの総数は、5800万÷10580万台
④そのうち定期的な調律が行われているピアノの数は、580万÷3193万台
⑤すべてのピアノに対する1年間の調律回数の総計は、193万台×1193万回
⑥それに対して、1人の調律師が1年間で行う調律の平均回数は、3×260×0.70546

となり、⑤と⑥より、日本全国に存在する調律師の人数は全部で、

193万÷5463535

と推定することができると考えられることになるのです。

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フェルミ推定によって求められた日本全国に存在する調律師の人数の概算値の統計学的な妥当性の検証

それでは、次に、

こうしたフェルミ推定に基づいて進めた統計学的な推論によって得られた3535という値が、実際にどの程度の妥当性を持った概算値であるということについての検証に入っていくわけですが、

例えば、

一般社団法人日本ピアノ調律師協会によって発表されているデータによれは、平成27すなわち2015年の時点において日本ピアノ調律師協会から正式に認定されている正規の調律師の人数2,500であるとされていて、

協会に所属していない自営業やフリーの調律師の数も含めると、その人数は1万人程度にものぼるという推測値についての言及もなされています。

つまり、

上記のフェルミ推定を用いた統計学的な推論によって得られた3535人という概算値は、こうした日本ピアノ調律師協会実測値に基づくデータから推測される下限値の2500上限値の1万人とのちょうど中間の領域に位置する

統計学的に妥当な概算値となっているということが検証できると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:「東京都にはピアノ調律師が何人いるのか?」「20年後までに何人の調律師が減るのか?」フェルミ推定に基づく推論の応用例

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