桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?①大腸菌の具体的な特徴と急性胃腸炎や尿路感染症の原因菌としての位置づけ
前回までの一連の記事では、球菌に分類されることになる黄色ブドウ球菌や肺炎球菌といった全部で12種類におよぶ代表的な細菌の種類について、順番に取り上げてきましたが、
今回からの一連の記事では、
そうした球菌と呼ばれる細菌のグループと並ぶ代表的な細菌のグループとして位置づけられることになる桿菌に分類されることになる代表的な細菌の種類について、一つ一つ順番に取り上げていったうえで、
そうした桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになるそれぞれの細菌の具体的な大きさや形状の特徴、さらには、そうした個々の桿菌の種類によって引き起こされることになる細菌感染症の具体的な症状の違いについて詳しく考察していきたいと思います。
桿菌の大きさや形状と桿菌に分類される代表的な細菌の種類
まず、そもそも、
桿菌(かんきん、bacillus、バチルス)とは、細胞の形が桿状、すなわち、細長い棒状の形状した細菌のグループのことを意味する言葉であり、
一般的な桿菌の大きさと形状は、短径が0.2〜1µm、長径が1〜5µm程度の棒状や円筒状あるいは長方形や楕円形の形状をしていると考えられることになります。
そして、
こうした桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類としては、
大腸菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、セレウス菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、破傷風菌、緑膿菌、百日咳菌、肺炎桿菌、結核菌、らい菌、レジオネラ菌、インフルエンザ菌、軟性下疳菌、
ペスト菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフス菌、炭疽菌、ジフテリア菌、リステリア菌、ブルセラ菌、ビブリオ・バルニフィカス、
さらには、納豆菌、枯草菌、乳酸桿菌、ビフィズス菌、セラチア菌、バクテロイデス、フゾバクテリウム、プレボテラ、エンテロバクター、プロテウス、アシネトバクター、アクネ菌
といった全部で36種類にもおよぶ細菌の種類の名を挙げていくことができると考えられることになるのです。
大腸菌の具体的な特徴と急性胃腸炎や尿路感染症の原因菌としての位置づけ
そして、このうち、最初に挙げた
大腸菌とは、ラテン語に基づく正式な学名ではエシェリキア・コリ(Escherichia coli)と呼ばれている幅0.5~1.5マイクロメートル、長さ2~6マイクロメートルくらいの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌に分類される細菌の一種であり、
こうした大腸菌と呼ばれる細菌は、一般的には、人間や動物の腸内に生息する常在菌の一種として位置づけられることになります。
しかし、その一方で、
こうした大腸菌に分類される細菌の中には、O157などで有名な腸管出血性大腸菌に代表されるような病原性の強い病原性大腸菌に分類される細菌の種類も数多く含まれていて、
詳しくは、以前に「病原性大腸菌の五つの種類と具体的な症状の違い」の記事で考察したように、
こうした病原性大腸菌の感染によっては、腹痛や下痢といった急性胃腸炎の症状が引き起こされることになるほか、
大腸菌が本来は生息するべきではない泌尿器系や血管内へと侵入して感染を広げていくことによって、尿路感染症として膀胱炎や腎盂炎などの症状が引き起こされることもあり、
さらには、肺炎や敗血症といった重篤な症状を引き起こす原因菌となってしまうケースもあると考えられることになるのです。
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次回記事:桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?②サルモネラ菌と腸炎ビブリオとセレウス菌の具体的な特徴と症状の違い
前回記事:球菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑤乳酸球菌と腸球菌とペプトコッカスの具体的な特徴と常在菌としての位置づけ
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