サナダムシの英語とギリシア語とラテン語における呼び名とは?美の女神ヴィーナスの帯ひもとテープワーム

前回の記事で書いたように、条虫と呼ばれる寄生虫の種族は、

日本語においては、着物の帯締め帯留め、積み荷をまとめる荷物紐などにも用いられる平たく厚く織られた丈夫な木綿製のひものことを意味する真田紐という言葉にちなんで、サナダムシという呼び名でも呼ばれることがあるのですが、

 こうした条虫と呼ばれる寄生虫の種族は、英語ギリシア語ラテン語といったヨーロッパ系の言語においては、具体的にどのようなイメージを表す言葉によって呼び表されることになると考えられるのでしょうか?。

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ギリシア語とラテン語に基づく条虫の正式な学名の由来とは?

まず、

こうした日本語においては条虫あるいはサナダムシなどとして呼び表される寄生虫の種族は、生物学の分野におけるラテン語に基づく正式な学名としては、Cestoda(セストダ)と呼ばれることになるのですが、

こうしたラテン語において条虫に分類される寄生虫のことを意味するcestodaという言葉は、もともと、ギリシア語に由来するcestus(ケストゥス)という単語に由来する言葉であると考えられることになります。

そして、

こうしたギリシア語ラテン語といった言語において、cestus(ケストゥス)という単語は、もともと、美の女神であるヴィーナスが自らの衣をまとめるに用いる帯とも結びつけられていた言葉であり、

それは、一言でいうと、女性の着物に用いる帯ひも、そのなかでも特に、花嫁が身につける帯のことを意味する言葉として用いられる単語であったと考えられることになるのです。

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英語でサナダムシのことを意味する言葉とは?

また、その一方で、

こうしたラテン語に基づく正式な学名としては、Cestoda(セストダ)と呼ばれる生物の種族、すなわち、日本語において条虫あるいはサナダムシと呼ばれる寄生虫の種族は、英語においては、Tape worm(テープ・ワーム)とも呼ばれることになります。

そして、

英語においては、こうしたtape(テープ)という単語は、日本語におけるビニールテープのことを意味するplastic tape(プラスティック・テープ)や、布テープのことを意味するfabric tape(ファブリック・テープ)といった言葉にみられるように、

それは、文字通り、細長い布やビニールなどでできたテープ、すなわち、ひもや帯のことを意味する言葉であると考えられることになるので、

そういった意味では、こうした英語におけるTape worm(テープ・ワーム)という言葉は、日本語におけるサナダムシ(真田虫)という言葉とほとんど同じようなイメージを表す言葉であると考えられることになるのです。

・・・

以上のように、

日本語において、人間や動物の腸内に巣食う寄生虫の一種である条虫のことを指して、その姿かたちを、真田紐と呼ばれる日常的な生活用品着物などにも用いられる帯やひもの形にたとえてサナダムシ(真田虫)と呼ぶ表現のあり方は、

現代の感覚からすると、一見すると、少し気持ちの悪いナンセンスな表現でもあるようにも思われることにもなるのですが、

実際には、

英語ギリシア語ラテン語といったヨーロッパ系の言語においても、こうした日本語におけるサナダムシ(真田虫)とほとんど同じようなイメージを表す表現が多く用いられていると考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

こうしたギリシア語において「花嫁が身につける帯ひも」のことを意味するcestus(ケストゥス)という単語や、

その単語に由来するラテン語に基づく条虫の学名にあたるCestoda(セストダ)という言葉、

そして、英語におけるTape worm(テープ・ワーム)といった表現にも見られるように、

人間や動物の腸内に住む細長い寄生虫の姿かたちから、人間が日常生活で用いている生活用品着物などにも用いる帯やひもの形を連想して、それらの事物にちなんだ名前でそうした寄生虫のことを呼び表すといった表現のあり方は、

日本だけではなく、ヨーロッパなども含めた古今東西の世界全体に共通する認識のあり方であったとも考えられることになるのです。

・・・

次回記事:単節条虫と真正条虫(多節条虫)の具体的な特徴の違いとは?アンフィリナとギロコチレと呼ばれる二種類の単節条虫の種族

前回記事サナダムシの語源となった真田紐の二つの由来とサナダムシに分類される具体的な寄生虫の種類とは?

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