うお座のギリシア神話における由来とは?魚の姿へと変身して逃げる愛の神エロースと美の女神アフロディテの母と子の物語

黄道十二星座の一つとして位置づけられている魚座(うおざ)は、黄道十二宮における双魚宮(そうぎょきゅう)の領域とも結びつけられることによって、

二十四節気のうちの雨水から春分の頃までの時期にあたる 219日から320までの30日間の期間を司る星座としても位置づけられることになるのですが、

こうしたうお座と呼ばれる星座は、ギリシア神話においては具体的にどのような由来を持つ星座であると考えられることになるのでしょうか?

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原初の神々と翼を持つ小天使としての愛の神エロースの二つの姿と「海の泡」から生まれた美の女神アフロディテ

そうすると、まず、

こうしたうお座と呼ばれる星座において夜空に描かれることになる「魚の尾」の部分が「ひも」によって結びつけられた二匹の魚の姿は、

ギリシア神話の物語においては、愛の神エロース美の女神アフロディテが登場する母と子の物語のうちにその具体的な由来が求められていくことになると考えられることになります。

・・・

ギリシア神話における愛の神であるエロース(ρωςは、もともと大地の女神ガイア天空の神ウラノス、そして、暗黒と深淵の神にあたるエレボスタルタロスといった神々と同様に、

宇宙のはじまりにおいて空隙または混沌を意味するカオスから生まれたとされている原初の神々のうちの一柱として位置づけられることになるのですが、

こうしたギリシア神話における愛の神としてのエロースは、

ローマ神話における愛の神であるクピド(Cupido、すなわち、愛の矢を放つことによって男女の間に恋心を芽生えさせる「恋のキューピッド」とも結びつけられていくことによって、

美の女神であるアフロディテの息子として位置づけられたうえで、翼のある幼児のような小天使の姿としても描かれていくようになっていったと考えられることになります。

そして、

こうした翼のある小天使の姿として描かれるエロースの母としての美の女神アフロディテは、彼女自身が「海の泡」から生まれた女神として位置づけられていることもあって、

真珠帆立貝といった海に関わる宝石や生き物などが彼女の象徴とされることがあるほか、彼女自身も海の中で泳ぐ魚の姿へと自らの姿を変えることができたとも語り伝えられていくことになるのです。

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互いの尾を結び合う二匹の魚の姿へと変身したアフロディテとエロースの母と子の物語

そして、

こうした美の女神アフロディテと、その息子として位置づけられている翼のある小天使の姿として描かれる愛の神エロースが登場するギリシア神話における物語のなかでは、以下のような水と魚に関係する話が出てくることになります。

ある時、

アフロディテエロース母子が現在のイラクにあたるメソポタミアの地を流れるユーフラテス川のほとりを歩いていたところ、

大河の中から突然、大地の女神ガイアから生まれた巨大な怪物であるテュポーンが顔を出して彼女たちに襲いかかって来たので、

その恐ろしい姿に驚いたアフロディテエロース二人は、水の中で素早く泳ぐことができるように自分たちの姿を二匹の魚の姿へと変えて、ユーフラテス川へと飛び込み、テュポーンのもとから一目散に逃げ去っていくことになります。

そして、その際、

二匹の魚の姿へと変身した母と子は、川の流れのなかで相手を見失って離れ離れになることが決してないように、魚となった自分たちの体を互いにロープで固く結んでつなぎとめていたとも語られていくことになるのですが、

つまり、

そうした二匹の魚の姿へと変身して互いの体の「魚の尾」の部分を「ひも」で結び合っている母と子としての美の女神アフロディテ愛の神エロースの姿が星座の形として夜空のうちに描かれていくようになっていったというのが、

こうしたギリシア神話におけるうお座と呼ばれる星座の具体的な由来であると考えられることになるのです。

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次回記事:十二星座の由来となったギリシア神話における一つ一つの物語のまとめ、十二星座の由来となった十二の動物や人物たちの物語

関連記事:うお座の星の名前の由来とは?「ひも」で結ばれた二匹の魚の姿として描かれる「く」の字型をした星座の形

前回記事:みずがめ座のギリシア神話における由来とは?神々の饗宴で天界の給仕人となったトロイア王子ガニメデと魚の姿をした美の女神

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