英語で12月を意味するDecemberの由来とは?ラテン語で第10の月を意味する言葉の語源とコンモドゥス帝とデカスロン

英語で12を意味するDecember(ディッセンバー)という単語は、古代ローマにおいて現在の12のことを意味していたDecember(デケンベル)というラテン語を語源とする言葉であり、

こうした英語やラテン語におけるDecemberという単語は、もともと、古代ローマの暦において、10の月のことを意味していた言葉であったと考えられることになります。

そこで、今回の記事では、

古代ローマの暦においては、具体的にどのような経緯から、こうした本来のラテン語の意味においては10の月のことを意味していたDecemberという言葉が、現在の12を意味する言葉として用いられていくことになっていったのか?

また、そうした古代ローマの暦においては、こうした現在の12にあたる月に対しては、そのほかにどのような異名が用いられていたのか?といったことについて詳しく考えていきたいと思います。

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ラテン語において第10の月を意味するDecemberの語源と十種競技のことを意味するデカスロン

そうすると、まず、

こうした古代ローマの暦においては現在の12にあたる月のことを意味していたDecember(デケンベル)という言葉は、

もともと、ラテン語において「数字の10のことを意味するdecem(デケム)という単語に由来する言葉であると考えられることになります。

そして、

こうしたラテン語で10のことを意味するdecem(デケム)という単語に由来する英語の言葉としては、

そのほかにも、例えば、

英語において十角形decagon(デカゴン)十面体decahedron(デカヘドロン)と呼ばれることになりますし、

水泳・自転車・ランニングの3種目を連続して行って総合タイムを競う耐久競技が英語ではトライアスロン(triathlonと呼ばれることになるのに対して、

100メートル走・走り幅跳び・砲丸投げ・走り高跳び・400メートル走、110メートルハードル・円盤投げ・棒高跳び・槍投げ・1500メートル走の合計10種目を行って総合得点を競う耐久競技である十種競技のことはデカスロン(decathlonと呼ばれることになります。

そして、このシリーズのこれまでの記事でも書いてきたように、

紀元前153年の改暦以前の時代における古代ローマの暦においては、

一年のはじまりは現在の1月ではなく現在の3にあたる月からはじまるとされていたため、そうした現在の暦との間に生じてしまうこと2か月間のズレから、

こうしたラテン語における本来の意味では10の月のことを意味していたDecemberという言葉が、現在の12にあたる月のことを意味する言葉として用いられていくようになっていったと考えられることになるのです。

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コンモドゥス帝によるローマの暦における1月から12月までのすべての月の改称

また、このシリーズのこれまでの記事のなかでも書いてきたように、

古代ローマ帝国においては、1年を司るそれぞれの月の異称として、皇帝や皇妃の名前が用いられることが多かったとも考えられることになるものの、

そうした古代ローマ帝国の暦のなかでも、12については、そうした皇帝の名が冠された月の異称が定められることは、ほかの月と比べると比較的まれであったと考えられることになるのですが、

そのなかでも、強いて一つ例を挙げるとするならば、

ネロカリグラと並んでローマ帝国の代表的な暴君として位置づけられることが多いコンモドゥス帝による月の改称の例が挙げられることになると考えられることになります。

西暦192、自らをギリシア神話超人的英雄であるヘラクレスの化身であり、ローマの伝説上の建国者でもある聖王ロムルスの生まれ変わりでもあることを宣言したコンモドゥス帝は、

ローマの暦における12の月のそれぞれに、コンモドゥス自らが自分自身に冠した数々の尊称を含む12の単語から成る自分の名前を一つずつあてはめていく形で月の名前を改称していくことによって、自らの手で時の流れをも支配していくことを試みていくことになります。

そして、具体的には、

ルキウス・アエリウス・アウレリウス・コンモドゥス・アウグストゥス・ヘラクレス・ロマヌス・エクスペラトリス・アマゾニウス・インウィクトクス・フェリクス・ピウス

というコンモドゥス自身が自らに冠した落語の「寿限無」(じゅげむ)を思わせるような長大な名前に基づいて、

1月から12までのすべての月がそうしたコンモドゥスの長大な名前の内に含まれる単語へと順番に置き換えられていく形で月の改称が進められていくことになり、

このときに、1年の最後の月にあたる12は、ラテン語において「敬虔な」「慈悲深い」「神聖な」といった意味を表す単語にあたるピウス(Piusという名前で呼ばれることになったと考えられることになります。

しかし、その後、コンモドゥスは、

そうした自らの長大な名前の最後に冠されているインウィクトクス(Invictus)・フェリクス(Felix)・ピウス(Piusという三つの言葉が意味している

征服され得ぬ者そして幸福神聖なる者といった自らの高貴な名前とは裏腹に、そうした月の改称を行ってからまだ間もない同じ西暦19212月の終わりに、

彼が処刑しようとしていた元老院議員重臣たちの手によって毒殺による暗殺が試みられ、強靭な肉体の力によって命を取り留めた皇帝のもとに、さらに屈強な剣闘士が送り込まれることによって壮絶な死を遂げることになったと考えられることになるのです。

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「英語の月の名前の由来」シリーズ記事の一覧

①英語で1月を意味するJanuaryの由来とは?
②英語で2月を意味するFebruaryの由来とは?
③英語で3月を意味するMarchの由来とは?
英語で4月を意味するAprilの由来とは?
⑤英語で5月を意味するMayの由来とは?
⑥英語で6月を意味するJuneの由来とは?
⑦英語で7月を意味するJulyの由来とは?
⑧英語で8月を意味するAugustの由来とは?
⑨英語で9月を意味するSeptemberの由来とは?
⑩英語で10月を意味するOctoberの由来とは?
⑪英語で11月を意味するNovemberの由来とは?
⑫英語で12月を意味するDecemberの由来とは?
⑬英語の1月から12月までの月の名前と発音と具体的な由来のまとめ

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次回記事:古代ローマの一年の暦に10月までしかなかった理由とは?農耕社会を基盤とする古代ローマの社会構造との関係と軍神マルス

前回記事:四旬節と五旬節の具体的な意味の違いとは?復活祭の前後の90日間におよぶキリスト教における聖なる祈りの期間

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