四旬節と五旬節の具体的な意味の違いとは?復活祭の前後の90日間におよぶキリスト教における聖なる祈りの期間
キリスト教における祭日や祈りの期間を意味する言葉としては、
四旬節と五旬節という日本語では非常に似通った言葉で呼び表されることになる二つの言葉が挙げられることになりますが、
こうした四旬節と五旬節という二つの言葉は、
キリスト教においてはそれぞれ具体的にどのような日や期間のことを意味する言葉であると考えられ、
現代の暦においてはそれぞれ具体的にどのような時期に位置づけられていくことになると考えられることになるのでしょうか?
四旬節と五旬節の具体的な意味の違いと現代の暦における具体的な時期
そうすると、まず、
こうした四旬節と五旬節という二つの言葉は、それぞれもともとは「40日」と「50日」という期間の長さのことを意味する言葉であり、
両方とも、
キリスト教においてイエス・キリストが十字架の死から復活したことを祝う復活祭(イースター)と非常に関わりの深い日や期間のことを意味する言葉として捉えられることになると考えられることになります。
そして、このうち、
前者の四旬節(しじゅんせつ)と呼ばれる期間は、英語では主に古英語において「春」のことを意味していた単語を語源とするレント(Lent)という言葉で呼び表される期間にあたり、
こうした四旬節あるいはレントと呼ばれる期間は、
キリストの十字架の死からの復活を祝う復活祭の前に、そうした十字架の死へと至ることになったキリストの苦難と死を思って自らの罪を悔い改め、心身を清めていく祈りの期間として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、それに対して、
後者の五旬節(ごじゅんせつ)と呼ばれるキリスト教の祭日は、古代ギリシア語において「50」のことを意味していた単語を語源とするペンテコステ(Pentecoste)という言葉でも呼び表される記念日にあたり、
こうした五旬節あるいはペンテコステと呼ばれる祭日は、
十字架の死から復活したのち天へと昇っていったイエス・キリストのことを思って祈りを捧げる弟子たちのもとに、炎の舌のような形をした聖霊たちが現れて、彼らの中へと入っていくことによって、
聖霊の力を受けた弟子たちが、彼らが知らないはずの異国の地の異国の言葉を話せるようになり、世界中の人々へと神の教えを語り伝えていくことができるようになったという聖なる出来事が起こったことを記念する日として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、
現代の暦においては、こうした四旬節と五旬節というそれぞれの期間は、毎年「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われることになる移動祝日にあたる復活祭(イースター)の日付に基づいて、
前者の四旬節と呼ばれる期間は、
復活祭から数えて日曜日を除いて40日間の祈りの期間が確保されることになる通常の暦の数え方においては46日前の日にあたる
2月上旬から3月上旬ごろまでの時期の間のいずれかの水曜日からはじまることになるのに対して、
後者の五旬節と呼ばれる祭日は、
復活祭から数えてキリスト教における数え年方式の暦の数え方では「50日後」、通常の暦の数え方においては49日後の日にあたる
5月中旬から6月中旬ごろまでの時期の間のいずれかの日曜日に祝われることになると考えられることになるのです。
四旬節から五旬節までの復活祭の前後の90日間におよぶキリスト教における聖なる祈りの期間
以上のように、
こうした四旬節と五旬節と呼ばれるキリスト教における祭日や祈りの期間のことを意味する言葉の意味の違いとしては、
前者の四旬節あるいはレント(Lent)とは、
復活祭の前の2月上旬から3月上旬ごろの時期にはじまる40日間におよぶキリストの苦難と死を思う祈りの期間のことを意味する言葉であるのに対して、
後者の五旬節あるいはペンテコステ(Pentecoste)とは、
復活祭の後の5月中旬から6月中旬ごろの時期に祝われるキリストの復活の50日後に弟子たちの前に現れた聖霊がもたらした言葉の奇跡のことを記念する聖霊降臨日のことを意味する言葉であるといった点に、
こうしたキリスト教における二つの言葉の具体的な意味の違いを見いだしていくことができると考えられることになります。
そして、そういった意味では、
キリスト教においては、こうした復活祭の前の40日間にあたる四旬節と、そうした復活祭の50日後にあたる五旬節とをあわせた全部で90日間ほどの期間、
つまり、復活祭の前後のあわせて3か月ほどの期間にわたって、
こうしたイエス・キリストの十字架の死と復活そしてその後に起こった様々な奇跡のことを記念する神聖なる祈りの期間がもたれていくことになると考えられることになるのです。
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