風邪を治すために身体を温めるメリットとデメリットは?風邪撃退作戦⑤
前回の「風邪撃退作戦」では、第2防衛ライン「自己ケアと早期回復」の観点から、
風邪を早く治すために一般的におこなわれている対処法の中で、
「身体を温める」という対処法と、「身体を冷やす」という対処法、という、
正反対の方法について、考えてみました。
今回は、
その両方の対処法の、メリットとデメリットについて、考えてみます。
風邪を早く治すための一般的な対処法で大事なことは?
風邪を早く治すためにおこなわれている一般的な対処法のうち、
「体を温める」という対処法と「体を冷やす」という対処法は、
どちらも効果があります。
効果があるから、両方とも、一般的におこなわれているんです。
大事なことは、この2つの対処法を、時と場合によって使い分けることなのです。
使い分けをするためには、
それぞれの対処法の、メリットとデメリットを、
きちんと分かっていなければできません。
「体を温める」ことと「体を冷やす」こと、
それぞれのメリットとデメリット、について見てみましょう。
風邪を早く治すために身体を温めることのメリットとは?
風邪のときに「体を温める」ことのメリットは、
体温を上げ、免疫力を上げることで、
風邪のウイルスを撃退しやすくなることにあります。
最近、「体温が1℃下がると免疫力が30%以上低下する」、
といったことがいわれているようですが、
何をもって免疫力の30%とするのか、という議論はさておき、
平熱時と比べて、
体温が低下しているときより、体温が上昇しているときの方が、
免疫系が、風邪ウイルスに対する戦いを有利に進められる、
ということは事実です。
風邪のウイルスを撃退してくれるリンパ球は、
体温が37℃以上になると活性化するのに対して、
風邪のウイルスは、
宿主である人間の体温が上昇するにしたがって、増殖力が鈍くなります。
したがって、体が温められ、体温が上昇するのにしたがって、
身体を守るリンパ球の力は増し、
反対に、ウイルスの力は少しずつ弱まっていくので、
身体を温め、体温を上げる方が、
免疫力が上がり、風邪から早く回復できる、ということになります。
風邪を早く治すために身体を温めることのデメリットとは?
一方、「体を温める」ことのデメリットは、
体力を消耗することになってしまう、ということでしょう。
体温を上昇させ、
さらに、その高い体温の状態を維持する、ということは、
体内のエネルギー代謝を高め、
身体中の細胞に、通常より高い活動状態を強いることになります。
そして、そういう状態が長く続くと、
全身の細胞が疲れ切ってしまい、
結果として、体力を消耗してしまうことになるのです。
特に、38℃を超えるくらいの熱になってくると、
身体もかなりだるく感じるようになり、
それにともなって、体力消耗も激しくなってきます。
そういった状態が長い間続いてくると、
免疫力自体は高まっていても、それを支える体力自体が尽きてしまい、
風邪と戦うことが、かえってきつくなってしまう、
といった事態になりかねないと考えられます。
このように、「身体を温める」ことのデメリットは、
体力を消耗してしまう、ということにあるのです。
まとめ
風邪の回復によいといわれている対処法として、
「身体を温める」という対処法と「身体を冷やす」という対処法があります。
身体を温めることのメリットは、
体温を上げることで免疫力を上げ、風邪のウイルスを撃退しやすくなることです。
身体を温めることのデメリットは、
体力を消耗してしまう、ということです。
次回「風邪撃退作戦⑥」は?
身体を温め、体温を上げることの、
「メリット=免疫力向上」と、「デメリット=体力消耗」を考え合わせると、
風邪からの早期回復のためには、
風邪の進行段階に合わせて対処法を変えるのがよい、ということになります。
では、どの段階で、変えればいいのか、
その線引きが問題です。
次回「風邪撃退作戦⑥」は、
その線引きの目安について、具体的に考えてみたいと思います。
シリーズ「風邪撃退作戦」 INDEX
① 風邪の防衛ラインって何のこと?風邪対策への疑問とは?
② マスクには風邪の予防効果がどの程度あるの?
③ 風邪の予防に水分補給はどのくらい効果があるの?
④ 風邪を早く治すには身体を温めるの?冷やすの?
⑤ 風邪を治すために身体を温めるメリットとデメリットは?
⑥ 風邪を早く治すために身体を温めるのはどんな場合?
⑦ 風邪をひいている時の入浴で注意すべきことは?
⑧ 風邪を治すために身体を冷やすことのメリットとデメリットは?
⑨ 風邪をひいた時にお医者さんにかかるタイミングは?
⑩ 風邪の症状を我慢しているのはなぜいけないの?