マスクには風邪の予防効果がどの程度あるの?風邪撃退作戦②

風邪をひかないようにするためには、
まず、第1防衛ラインの「感染予防」が大事です。

感染予防には、
一般に、「手洗い」、「うがい」、が大切とよくいわれていますが、
それらに次いであげられるのが、「マスクの着用」です。

そこで、今回の「風邪撃退作戦②」は、
マスクの着用による風邪の予防効果について、調べてみました。

はたして、マスク着用による風邪の予防効果は、どの程度あるのでしょうか?

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マスクの風邪予防効果を否定する意見はどういう理由からなの?

マスクを着用しても、風邪のウイルスの感染を防ぐことはできない、
という見解があるのは、みなさんもご存知だと思います。

マスク着用による風邪のウイルス感染の予防効果を否定する意見としては、
次のような2つの主張があります。

●ウイルスの粒子はマスクの網目より小さく、
ウイルスがマスクを素通りしてしまうので、マスクを着用する意味はない。

●高性能フィルターのマスクを着用した場合、
多少はフィルターでウイルスを防げるとしても、
そもそもマスクの着用時に顔とマスクの間に必ず隙間ができてしまい、
そこからウイルスが侵入してくるので、やはりマスクを着用する意味はない。

実は、この2つの主張は、基本的には両方とも事実なのです。

風邪のウイルスの大きさは、
通常の家庭用マスクの網目の大きさの100分の1から1000分の1くらいの大きさなので、
ウイルスの粒子は素通りしてしまいます。

また、サージカルマスク(医療用に近いマスク)などでは、
高性能フィルターを用いることにより、
中程度の大きさまでのウイルスならある程度侵入を防ぐことができますが、
人間の顔には微細な凹凸があるため、
マスクの布をいくら密着させても、
顔とマスクの間には必ず隙間ができてしまいます。

そして、その隙間は、
人間にとってはわずか100分の1mmくらいの隙間でも、
ウイルスにとっては、ウイルス粒子の大きさのそれこそ数万倍の大きな隙間になってしまいます。

したがって、結局のところ、
防護服とセットになったような、フルフェイスの、
完全に全身を覆い尽くすようなタイプの防護装備でもない限り、
マスクの着用でウイルス粒子の侵入を防ぐのは難しい、ということになります。

マスクの着用によるその他の効果って何のこと?

しかし、実は、マスクの着用には、
ウイルス粒子の侵入を防ぐこと以外に、
風邪を予防する、2つの効果があったのです。

まず1つには、飛沫感染の予防です。

マスクの網目は、
バラバラに飛ぶウイルスの微細な粒子自体を捕まえることはできませんが、
ウイルスが含まれた液体を吸着してその侵入をはばむことはできます。

なので、例えば、
目の前の人が思いっきり、咳やくしゃみをして、
唾やしぶきが直接、顔にかかってしまった、というときには、
大量のウイルスを含んだ液体が、
目や鼻、口などの粘膜から一気に体内に入ってきてしまいます。

そういう事態を防ぐのに、マスクの着用は、大いに役立つわけです。

そして、2つ目に考えられることは、
実は、こちらの効果の方がより重要なのですが、

マスクによって、呼気に含まれる水蒸気が再吸収され、
それがのどの粘膜に潤いを与えることになり、
のど粘膜の「バリア機能」を高める、という効果があるのです。

そもそも、冬に風邪やインフルエンザがはやるのは、
寒さと乾燥により、ウイルスの活性が高まる、ということにも原因がありますが、

それだけではなく、

気温と湿度の低下によって、
体温の低下と、粘膜の潤いの低下が生じ、
それによって、
人体自体の「免疫機能・バリア機能」が大きく低下してしまう、ということにも大きな原因があります。

のどの粘膜は、粘液を分泌することによって、
気道に入ってきたウイルスを捕獲、無力化し、
繊毛運動によって痰や咳などの形で体外へと排出します。

しかし、湿度が低下し、
特に、湿度が30%以下の乾燥状態になると、
粘液の分泌量、繊毛運動ともに一気に低下し、
結果として、のど粘膜の「バリア機能」が大きく低下して、
ウイルスに気道の奥へと侵入されやすくなってしまうのです。

ですから、マスクの着用によって、
気道内を保湿し、のど粘膜の潤いを保つことは、
のどの「バリア機能」を回復させ、「免疫機能」を高めるという点で、
風邪予防に大きく役立つわけです。

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まとめ

マスクの着用による風邪のウイルス感染の予防効果を、否定する見解は、
ウイルスの粒子はマスクの網目より小さい、ということと、
顔とマスクの間に隙間ができてしまう、ということを根拠にしています。

しかし、マスクを着用することには、
ウイルス粒子の侵入を直接防ぐこと以外に、
飛沫感染を予防できる、ということと、
呼気に含まれる水蒸気が再吸収されることで、のど粘膜のバリア機能を高める、
という効果があります。

したがって、マスクの着用は、風邪の予防に大いに役立つのです。

次回「風邪撃退作戦③」は?

次回「風邪撃退作戦③」は、
風邪予防のためにはなぜ水分補給が効果的なのか、ということについてまとめてみる予定です。
乞う、ご期待!

 

シリーズ「風邪撃退作戦」 INDEX
① 風邪の防衛ラインって何のこと?風邪対策への疑問とは?
② マスクには風邪の予防効果がどの程度あるの?
③ 風邪の予防に水分補給はどのくらい効果があるの?
④ 風邪を早く治すには身体を温めるの?冷やすの?
⑤ 風邪を治すために身体を温めるメリットとデメリットは?
⑥ 風邪を早く治すために身体を温めるのはどんな場合?
⑦ 風邪をひいている時の入浴で注意すべきことは?
⑧ 風邪を治すために身体を冷やすことのメリットとデメリットは?
⑨ 風邪をひいた時にお医者さんにかかるタイミングは?
⑩ 風邪の症状を我慢しているのはなぜいけないの?

 

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