桿菌に分類される36種類の代表的な細菌の種類のまとめ、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑳
このシリーズの初回から前回までの一連の記事では、球菌(bacillus、バチルス)と呼ばれる細胞の形が細長い棒状の形状をしている細菌のグループに分類される細菌のなかでも、
人間に対して細菌感染症を引き起こす病原体となる細菌や、人体の皮膚の表面や腸内などにおいて生息する常在菌の一種として位置づけられることになる代表的な細菌の種類について順番に詳しく考察してきましたが、
今回の記事では、こうした桿菌に分類される代表的な細菌の種類に関する一連の記事の総まとめとして、
そうした桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる全部で36種類の代表的な細菌の種類について改めてまとめていく形で、体系的に記述していきたいと思います。
急性胃腸炎や食中毒の原因となる代表的な桿菌の種類と破傷風菌
まず、
こうした桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類される細菌のなかでも、一般的な細菌性胃腸炎などの原因となる最も代表的な細菌の種類としては、
人間や動物の腸内に生息する常在菌の一種として位置づけられる一方で、O157などで有名な腸管出血性大腸菌に代表されるような病原性大腸菌に分類される細菌の種類も数多く含まれることになる急性胃腸炎の症状を引き起こす代表的な原因菌としても位置づけられることになる大腸菌のほかに、
サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、セレウス菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌といった桿菌の種類の名が挙げられることになります。
そして、
こうした急性胃腸炎や食中毒の原因となる桿菌の種類のうち、最後に挙げたボツリヌス菌とウェルシュ菌と呼ばれる細菌は、生物学的な分類においては、
土や泥などで汚れた状態ですり傷や切り傷などの外傷から感染して、全身の筋肉の硬直や痙攣、さらには、呼吸麻痺や心臓麻痺を引き起こすことによって患者を死に至らしめることもある破傷風と呼ばれる細菌感染症の原因となる破傷風菌と共に、クロストリジウム属と呼ばれる細菌の種族に分類されることになります。
呼吸器系の感染症の原因となる代表的な桿菌の種類と人獣共通感染症の原因菌
また、それに対して、
肺炎などの呼吸器系の感染症の原因となる代表的な桿菌の種類としては、百日咳菌、肺炎桿菌といった細菌の種類の名が挙げられることになるほか、
土壌や淡水、海水中などといった自然環境のいたるところに広く生息する常在菌の一種であると共に、傷口に感染した場合には緑色の膿を伴うような化膿性の炎症を引き起こすことになる緑膿菌と呼ばれる桿菌も、免疫力が低下した患者などにおいては、気道感染から肺炎などを引き起こしてしまうケースのある細菌の種類として位置づけられることになります。
そして、その他にも、
呼吸器系の感染症の原因となる代表的な桿菌の種類としては、患者の咳などを通じた飛沫感染によって呼吸器へと侵入した細菌が肺組織を破壊して肺の内部に空洞を伴う病巣を形成していくことによって、咳や喀血といった症状を引き起こしていくことになる結核菌と呼ばれる細菌の名が挙げられることになりますが、
こうした結核菌と呼ばれる桿菌の種類が分類されることになるマイコバクテリウム属と呼ばれる細菌の種族には、その他にも、ハンセン病と呼ばれる細菌感染症の原因菌として有名ならい菌と呼ばれる桿菌の種類も分類されることになります。
そして、さらに、
呼吸器系の感染症の原因となるその他の桿菌の種類としては、かつてはインフルエンザの病原体と間違われていたため、そうした呼び名が付けられることになったインフルエンザ菌や、レジオネラ菌とジフテリア菌といった細菌の種類の名も挙げられることになるのですが、
このうち、インフルエンザ菌と同じヘモフィルス属に分類される細菌の種類の中には、軟性下疳菌と呼ばれる陰部を中心とする粘膜やリンパ節などの部位に紅色の丘疹や潰瘍などが形成されていく性感染症の原因となる桿菌の種類も分類されることになります。
また、
そうした呼吸器系の症状を含む様々な症状を引き起こしたのち、重症化してしまうケースでは髄膜炎や脳炎、心内膜炎などを引き起こす場合もある人獣共通感染症として位置づけられることになる細菌感染症の原因となる桿菌の種類としては、リステリア菌やブルセラ菌といった細菌の種類の名も挙げられることになるのです。
ペストやチフスなどの重症の細菌感染症の原因となる代表的な桿菌の種類
そして、その他にも、
比較的重症の細菌感染症の原因菌となる代表的な桿菌の種類としては、ペスト菌や赤痢菌、チフス菌、パラチフス菌、炭疽菌、さらには、人食いバクテリアとして有名なビブリオ・バルニフィカスといった細菌の種類の名も挙げられることになります。
そして、このうち、
ペスト菌の感染においては、感染者の咳などを介した飛沫感染あるいはネズミなどの小動物からの感染によって、リンパ節の腫大や痛みといった症状から肝臓や脾臓などの全身の臓器へと感染が広がっていくことになる腺ペストや、手足の末端部分などから急速に壊死の症状が進行していくことによって全身の体表面に黒いあざのような紫斑が多数出現したのち数日のうちに死亡してしまうことになる黒死病という呼び名で有名な敗血症ペストなどの多様な病態が引き起こされることになるほか、
チフス菌やパラチフス菌といった細菌は、一般的な細菌性胃腸炎や食中毒の原因となる桿菌の種類の中で取り上げたサルモネラ菌と同じサルモネラ属に分類される細菌の種類として位置づけられることになるのですが、こうしたチフス菌やパラチフス菌の感染においては、そうした一般的な細菌性胃腸炎よりは症状が重い腸管出血を伴うような重症の細菌性腸炎の症状が引き起こされてしまうことになると考えられることになるのです。
枯草菌や納豆菌などの一般的な常在菌に分類される代表的な桿菌の種類
そして、その一方で、
人体に対して大きな害を与えることはほとんどない一般的な常在菌の一種として分類されることになる桿菌の種類としては、さらに、
枯草菌や納豆菌といった様々な植物の枯草や、土壌中や空気中、さらには、人間や動物の胃腸の内部などにおいても生息している自然界において広く分布する最も一般的な常在菌の種類のほかに、
乳酸桿菌やビフィズス菌、セラチア菌、エンテロバクター、バクテロイデス、フゾバクテリウム、プレボテラ、プロテウスといった人間や動物の腸内に生息する腸内細菌の種類や、
アシネトバクターや、にきびの原因菌としても有名なアクネ菌といった人間の皮膚の表面などに生息する桿菌の種類なども挙げられることになると考えられることになるのです。
・・・
以上のように、
こうした桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類としては、
大腸菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、セレウス菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、破傷風菌、
百日咳菌、肺炎桿菌、緑膿菌、結核菌、らい菌、インフルエンザ菌、軟性下疳菌、レジオネラ菌、ジフテリア菌、リステリア菌、ブルセラ菌、
ペスト菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフス菌、炭疽菌、ビブリオ・バルニフィカス、
そして、
枯草菌、納豆菌、乳酸桿菌、ビフィズス菌、セラチア菌、エンテロバクター、バクテロイデス、フゾバクテリウム、プレボテラ、プロテウス菌、アシネトバクター、アクネ菌
といった全部で36種類にもおよぶ代表的な桿菌の種類の名を挙げていくことができると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:桿菌に分類される細菌の大きさの比較、全部で36種類の桿菌に分類される代表的な細菌の長径の長さの違い
このシリーズの前回記事:アシネトバクターとアクネ菌の具体的な特徴と皮膚の表面を弱酸性に保つ共生菌および吹き出物やにきびの原因菌としての働き、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑲
このシリーズの初回記事:桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?①大腸菌の具体的な特徴と急性胃腸炎や尿路感染症の原因菌としての位置づけ
前回記事:球菌に分類される細菌の大きさの比較、全部で12種類の球菌に分類される代表的な細菌の直径の長さの違い
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