食中毒の原因となる代表的なカビの種類とは?コウジカビやアオカビが生産する具体的な毒素の種類
「化学物質による食中毒の原因となる代表的な原因物質の種類」でも取り上げたように、化学性食中毒を引き起こしてしまう可能性のある代表的な原因物質の種類としては、
農薬や食品添加物、洗剤や漂白剤などのうちに含まれている様々な有害な化学物質や、鉛や水銀、ヒ素やカドミウムといった有害金属やダイオキシンなどのほかにも、
菌類、より正確には、真菌の一種として分類されるカビが生産する毒素の種類なども挙げられることになります。
それでは、
こうしたカビ毒によって引き起こされる中毒症状の原因となる代表的なカビの種類としては具体的にどのようなカビの種族の名が挙げられることになり、
そうしたカビの種族によってつくり出されることになる具体的な毒素の種類としてとしては、具体的にどのようなものが挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
食中毒を引きこす原因となる代表的なカビの種類とは?
まず、
中毒症状の原因となる人体にとって有害な毒素を生産する可能性のある代表的なカビの種類としては、
アスペルギルス属、ペニシリウム属、フザリウム属と呼ばれる三つのカビの種族の名が挙げられることになると考えられることになるのですが、
このうちに、
はじめに挙げたアスペルギルス属とペニシリウム属と呼ばれる二つのカビの種族については、
日本では前者のアスペルギルスは別名ではコウジカビ(麹カビ)と呼ばれているのに対して、後者のペニシリウムは別名ではアオカビ(青カビ)とも呼ばれているように、日本人にとっても比較的なじみの深いカビの種族であると考えられることになります。
例えば、
コウジカビは、味噌や醤油あるいは日本酒などといった様々な発酵食品をつくるときに利用されるカビの種族であるのに対して、
アオカビは、ゴルゴンゾーラなどのブルーチーズの熟成などに利用されるカビの種族であるほか、ペニシリンに代表されるような抗生物質の精製に用いられるカビの種族でもあるというように、
こうしたコウジカビとアオカビ、すなわち、アスペルギルス属とペニシリウム属に分類される細菌の種族は、
両方とも、人間の食生活や医療の分野などにおいても広く利用されている人間にとって有用な役に立つ生物としても位置づけられることになると考えられることになります。
しかし、その一方で、
そもそも、こうした抗生物質といった薬品は、人間の体内に侵入してきた細菌に対してその細菌を死滅させるような強力な毒性を発揮するといった、いわば、毒をもって毒を制すことによって細菌などの感染症の治療に用いられている薬品であると考えられることになるように、
そうした本来は、人間の生活や医療に役立ってくれていることが多いアスペルギルスやペニシリウムといったカビの種族についても、
そうしたカビの種族のうちの一部がつくり出す毒素が細菌ではなく人間の細胞に対して直接的に向けられてしまうような場合には、
そうしたカビの種族がつくり出す毒素の働きによって人体にとって有害な中毒症状を引き起こしてしまうことケースもあると考えられることになるのです。
コウジカビやアオカビが生産する具体的な毒素の種類
そして、
こうしたコウジカビやアオカビ、すなわち、アスペルギルス属やペニシリウム属に属する一部のカビの種族によって生産される具体的な毒素の種類としては、
アフラトキシンやオクラトキシン、パツリンといった毒素の種類が挙げられることになります。
そして、このうち、
アフラトキシンと呼ばれる毒素は肝臓に対して、オクラトキシンと呼ばれる毒素は肝臓や腎臓に対して毒性を発揮するケースが多いカビ毒の種類として位置づけられることになるほか、
最後に挙げたパツリンと呼ばれる毒素は、発見された当初は特定の細菌に対して効果的な毒性を示すことから抗生物質としての利用が検討されたものの、
のちに人体に対する毒性が高く、消化管からの出血や潰瘍などを引き起こす危険性があることが判明したため、そうした医療面における利用が断念されることになったというように、
ペニシリンのような抗生物質になり損ねてしまった残念な化学物質としても位置づけられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:カビ毒による食中毒の原因となる代表的な化学物質の種類とは?①アフラトキシン、オクラトキシン、トリコテセン、パツリン
このシリーズの前回記事:ヒスタミンによる食中毒が細菌性食中毒ではなく化学性食中毒に分類される理由とは?毒素型の細菌性食中毒との特徴の違い
前回記事:重金属と軽金属の違いとは?両者に分類される代表的な金属の種類と両者を区分する基準となる「比重」の具体的な意味
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