カビ毒による食中毒の原因となる代表的な化学物質の種類とは?①アフラトキシン、オクラトキシン、トリコテセン、パツリン
前回の記事で書いたように、食中毒の原因となる代表的なカビの種類としては、アスペルギルス属、ペニシリウム属、フザリウム属と呼ばれる三つのカビの種族の名が挙げられることになるのですが、
それでは、
こうした三つのカビの種族に代表されるような様々な種類のカビがつくり出していくことになる人体にとって有害な毒素、すなわち、カビ毒による食中毒の原因となる代表的な化学物質の種類としてはどのようなものが挙げられることになり、
それぞれの種類のカビ毒が引きこすことになる具体的な中毒症状、および、そうした様々な種類のカビ毒によって汚染される可能性のある食品の種類としては、具体的にどのようなものが挙げられることになると考えられることになるのでしょうか?
食中毒の原因となる代表的なカビ毒の種類
まず、
こうしたペニシリウム属やアスペルギウス属、あるいは、フザリウム属などに属する一部のカビの種族によってつくり出されることになる代表的なカビ毒の種類としては、
①アフラトキシン、②オクラトキシン、③トリコテセン、④パツリン、⑤シトリニン、⑥シトレオビリジン、⑦シクロクロロチン、⑧イスランジトキシン、⑨ルテオスカイン、⑩ルブロスカイリン、⑪ルグロシン、⑫ステリグマトシスチン、⑬ルブラトキシン、⑭フモニシン、⑮ゼアラレノン、⑯麦角アルカロイド
といった毒素の種類が挙げられることになります。
①アフラトキシン
このうち、はじめに挙げたアフラトキシン(Aflatoxin)は、ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類、あるいは、トウモロコシやハト麦、そば粉といった穀物に含まれているケースがあるカビ毒の種類であり、
こうしたアフラトキシンと呼ばれるカビ毒は、主に肝臓に対して毒性を示すことによって急性食中毒の症状を引き起こす危険性があるほか、肝臓がんなどを引き起こす危険性もある発がん性物質としても位置づけられることになる比較的毒性の強いカビ毒の種類として位置づけられることになると考えられることになります。
ちなみに、
こうしたカビ毒と呼ばれるカビによって生産される毒素は、一般的に耐熱性が高く加熱調理程度の熱ではほとんど分解することができないため、食中毒の予防のためには、カビ毒に汚染されることによって変色してしまった食品は、きちんと選別して廃棄処分することが重要となると考えられることになるのです。
②オクラトキシン
そして、その次に挙げたオクラトキシン(Ochratoxin)は、トウモロコシや大麦や小麦、ハト麦、そば粉、ライ麦といった穀類、豆類やコーヒー豆、さらには、じゃがいもやたまねぎ、チーズやクリームやケーキといった加工食品にも含まれることもある極めて多様な食品に含まれているケースがあるカビ毒の種類であり、
こうしたオクラトキシンと呼ばれるカビ毒は、肝臓や腎臓に毒性を示すことになるほか、動物実験においては発がん性が確認されている毒素としても位置づけられることになります。
③トリコテセン
そして、その次に挙げたトリコテセン(Trichothecen)は、麦類を中心とする植物に寄生するフザリウム属の菌類によって引き起こされる赤かび病の原因となるカビ毒の総称であり、
具体的には、デオキシニバレノールやニバレノールといった化学物質がこうしたトリコテセン類に含まれるカビ毒の代表的な種類として位置づけられることになります。
そして、
こうしたトリコテセンと呼ばれるカビ毒は、麦類の品質低下や収穫量の減少の原因になるほか、食品として摂取された場合には、腹痛や下痢、嘔吐や発熱といった食中毒の症状を引き起こしてしまう危険性があると考えられることになります。
④パツリン
そして、その次に挙げたパツリン(Patulin)は、リンゴやブドウやモモといった果物や、そうした果物を原料とするジュースなどの加工食品に含まれているケースがあるカビ毒の種類であり、
こうしたパツリンと呼ばれるカビ毒は、特に、子供用のジュースなどとして用いられるリンゴ果汁などにおける汚染が問題となる場合が多く、具体的には、消化管からの出血や潰瘍などを中心とする食中毒の症状が引き起こされてしまうケースがあると考えられることになるのです。
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次回記事:カビ毒による食中毒の原因となる代表的な化学物質の種類とは?②黄変米の原因となる化学物質とその他の代表的なカビ毒
前回記事:食中毒の原因となる代表的なカビの種類とは?コウジカビやアオカビが生産する具体的な毒素の種類
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