風邪の症状を我慢しているのはなぜいけないの?風邪撃退作戦⑩
風邪をひいても、なかなか病院には行けないですよね。
仕事だけではなく、いろいろやることが山ほどあって、
病院に行って、お医者さんの診断を受けて、薬をもらって、とはなかないかないものです。
風邪の症状が我慢できるうちは、病院に行く必要はない、という考え方もありますが、
この「我慢できる」という感覚を頼りにすることは、実は、危険なのです。
今回の「シリーズ風邪撃退作戦」は、
「我慢できる」という感覚について、具体的に考えてみたいと思います。
風邪の症状を我慢できるという感覚は危険なの?
発熱のように、客観的数値ですぐに確認できる指標と違って、
風邪の症状ででてくる痛みや苦痛、不快感というのは、
どうしても主観的な感覚でしか表現しにくいので、
具体的な目安・基準をはっきり提示するのはより難しくなってきます。
しかし、一つ言えるのは、
「我慢できる」という感覚を頼りにするのは、危険だ、ということでしょうか。
日本には、
不平不満を言わずに、じっと耐えて我慢するのを良しとする美学や道徳観のようなものがあるので、
余計に、「我慢できる」という感覚を頼りにするのは、危険だ、といえます。
痛みや苦痛というのは、
その痛覚・苦痛自体が時間と共に麻痺して弱まってくるということはないのですが、
症状が、一気にではなく徐々に悪化してくる場合は、
痛み・苦痛を計る感覚の方が麻痺してきて、
大事な判断をするのが遅れる、ということは大いにあるからです。
もう少し痛くなったら病院へ行こう、と思っていても、
いざ、想定していたくらいの痛みにまで症状が悪化してくると、
「まだ、何とか我慢できるかなーっ、もう少し様子を見てみよう・・・」という具合に、
だましだましに我慢を重ねるようになってしまい、
病院へ行く決断を後へ後へと、かなり後まで先延ばしにして、
結局、手遅れになってしまう、ということになりかねないのです。
カエルをいきなり熱いお湯の入った鍋に投げ込むと、ビックリしてすぐに外に跳び出てしまいますが、
水の入った鍋に入れておいて、ゆっくり温度を上げていくと、
危険を察知するのが遅れて、鍋の中で茹で上がってしまう、という、
『茹でガエル』の寓話のようなことでしょうか。
もっとも、この『茹でガエル』の寓話通りに、カエルを鍋の中に入れて温度を徐々に上げていっても、
実際には、ほとんどの場合、茹で上がってしまう前にカエルはちゃんと逃げ出すそうです。
あくまで、思考実験での寓話の話ということです。
ちなみに、万が一、実験に使ったカエルがものすごく鈍いカエルだった場合、
鍋の中で本当に茹で上がってしまってはかわいそうですし、動物虐待にもなってしまうので、
実際に実験してみるのはやめた方がいいでしょう。
日常生活で感じる痛みの2倍という尺度とは?
話が脱線してしまったので、戻しましょう。
症状の悪化を測るのに、「我慢できる」という感覚にたよるのがダメならば、
では、どのような目安・基準を頼りにすればいいのでしょうか?
結局は、
痛み・苦痛・不快感という主観的な感覚の尺度に頼らざるを得ないにしても、
その主観的な感覚のなかに、
やはり、数値的な感覚を多少なりとも持ち込むことによって、
少しは、客観的な尺度を得られるのではないでしょうか。
前回に述べた、37.5℃と38.5℃の2つのライン(風邪の進行段階を分ける2つのライン)、のところでも、
病院に行くべき程の熱かどうかを測る尺度について、似たような考え方をしましたが、
健康な平常時の苦痛や不快感を0(ゼロ)、
今までの経験上、普通の風邪だった時の苦痛や不快感を1、として、
現在の辛さ、苦痛、不快感が2くらいの大きさにまでなったら、
身体に何かいつもと違う異常が生じているかもしれないと判断して、
病院へ行って、信頼できるお医者さんの判断を仰いだ方がいい、
という基準を目安にしてはどうでしょうか。
ちょっとした風邪、ちょっとした頭痛、ちょっとした腹痛、ちょっとした咳、
といった、
時々はあるような、日常的な痛みや苦痛、不快感を基準の1にして、
現在感じている風邪の症状の苦痛・不快感がその2倍くらいは大きいかな、と感じたら、
それ以上我慢せずに、すみやかに病院へ行く、というように、
数値的な感覚を目安にしたらいいということです。
まとめ
痛み・苦痛・不快感の大きさを測るのに、「我慢できる」という感覚に頼ると、
だましだましでガマンを重ねるようになり、手遅れになりやすいので危険です。
日常生活でも時々感じるような、ちょっとした風邪、頭痛、腹痛を基準として、
現在感じている風邪の症状の苦痛・不快感がその2倍くらいになったら、
それ以上は我慢せずに、すみやかに病院へ行くようにするのがいいでしょう。
シリーズ「風邪撃退作戦」 INDEX
① 風邪の防衛ラインって何のこと?風邪対策への疑問とは?
② マスクには風邪の予防効果がどの程度あるの?
③ 風邪の予防に水分補給はどのくらい効果があるの?
④ 風邪を早く治すには身体を温めるの?冷やすの?
⑤ 風邪を治すために身体を温めるメリットとデメリットは?
⑥ 風邪を早く治すために身体を温めるのはどんな場合?
⑦ 風邪をひいている時の入浴で注意すべきことは?
⑧ 風邪を治すために身体を冷やすことのメリットとデメリットは?
⑨ 風邪をひいた時にお医者さんにかかるタイミングは?
⑩ 風邪の症状を我慢しているのはなぜいけないの?