夏至とは何か?天文学の厳密な意味における夏至の瞬間の定義と夏至の日が一年で一番日の出が早い日にならない理由
夏至(げし)とは、一年を太陽の運行のあり方に合わせて24等分したうえで、それぞれの領域の区切りとなる日に季節を表す名前を付けた二十四節気(にじゅうしせっき)と呼ばれる暦の区分のあり方において第10番目の節気として位置づけられる日であり、
一言でいうと、こうした夏至と呼ばれる日は、
地球から見た太陽の運行において、北半球において太陽の高度が最も高くなる日であると同時に、一年のなかで昼が最も長くなる日のことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。
そして、
こうした夏至と呼ばれる日は、現代の日本の暦においては、6月20日から6月22日ごろに訪れることになると考えられることになるのですが、
それでは、こうした夏至と呼ばれる日は、天文学の分野におけるより厳密な定義においては、太陽と地球がどのような位置関係にある瞬間のことを意味する概念として定義されることになると考えられることになるのでしょうか?
天文学における夏至点の定義と厳密な意味における夏至の瞬間の位置づけ
そうすると、まず、上記の図において示したように、
地球から見た太陽の運行のあり方においては、
太陽は月や星々といった様々な天体が見かけ上配置されていくことになる仮想的な球面にあたる天球上における黄道(こうどう)と呼ばれる大円の軌道を一年かけて一周していくことになると考えられ、
こうした黄道と呼ばれる太陽の見かけ上の年周軌道は、地球における赤道が天球上に投影された大円にあたる天の赤道から約23.4度傾いた大円として描かれていくことになります。
そして、
天文学においては、こうした黄道上を移動していくことになる太陽と天の赤道の距離が最大となる瞬間の天球上における太陽の位置が至点(してん)と呼ばれたうえで、
上記の図において示したように、
そうした二つの至点のうち、地球における北極が天球上へと投影された点にあたる天の北極に近い側の至点、すなわち、天の赤道を基準とした天体座標系である赤道座標において太陽の赤緯が最大となる点が夏至点(げしてん)と呼ばれることになり、
太陽がこうした黄道上において赤緯が最大となる点にあたる夏至点を通過する瞬間こそが、天文学における厳密な意味において、夏至が訪れる瞬間として定義されることになると考えられることになるのです。
夏至の日が一年で一番日の出が早い日にならない理由
そして、
こうした天文学における夏至の瞬間が訪れることになる夏至の日においては、天球上の太陽の通り道である黄道における天の北極の側に近い赤緯の最も高い地点に太陽が位置することになるため、
地球からの観測においても、北極の側に近い北半球からの観測においては太陽の高度が最も高くなることになり、
それよって、夏至の日は一年のなかで昼が最も長くなる日として位置づけられることになると考えられることになります。
しかし、その一方で、
こうした昼が一番長くなる日にあたる夏至の日が、当然、日の出が一番早くなる日としても位置づけられることになるのか?というと必ずしもそういうわけではなく、
こうした地球からの観測に基づく太陽の運行のあり方においては、
太陽の周りを回る地球の公転軌道が楕円軌道であることと、前述したように地球から見た太陽の年周軌道にあたる黄道が天の赤道に対して約23.4度傾いていることに基づいて、
日常的に使用されている通常の時刻のあり方のことを意味する平均太陽時と、実際の太陽の動きに基づいた時刻のあり方のことを意味する視太陽時と呼ばれる二つの時刻の間に均時差(きんじさ)と呼ばれる時差が生じてしまうことになり、
それによって、視太陽としての現実の太陽が地平線から昇ってくるところが観測されることになる平均太陽時における日の出の時刻についても一定の時差が生じてしまうことになると考えられることになります。
そして、
夏至の日が訪れることになる6月21日ごろの直前の時期にあたる6月中旬ごろの時期は、ちょうどこうした均時差において平均太陽の移動速度と比べて視太陽の移動速度が徐々に遅くなっていく転換点にあたる時期であり、
この時期を境として視太陽の動きに対応する平均太陽時における時刻が徐々に遅くなっていくことよって日の出の時刻も遅くなっていく時期へと入っていってしまうことになるため、
こうした均時差を原因とする日の出の時刻の遅れにともなって、
一年のなかで一番日の出が早い日は夏至の日ではなく、そのおよそ1週間ほどの前の6月14日前後にあたる日へとずれていってしまうことになると考えられることになるのです。
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