春分とは何か?天文学の厳密な意味における春分の瞬間の定義と春分の日に昼と夜の長さがぴったり同じ長さにならない理由
春分(しゅんぶん)とは、一年を太陽の運行のあり方に合わせて24等分したうえで、それぞれの領域の区切りとなる日に季節を表す名前を付けた二十四節気(にじゅうしせっき)と呼ばれる暦の区分のあり方において第4番目の節気として位置づけられる日であり、
一言でいうと、こうした春分と呼ばれる日は、
地球から見た太陽の運行において、太陽が真東から昇って真西へと沈んでいくように観測されることになり、一日における昼の長さと夜の長さがほぼ等しくなると同時に、この日を境にして北半球では夏至へと向けて昼が次第に長くなっていくようになる基点となる日のことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。
そして、
こうした春分と呼ばれる日は、現代の日本の暦においては、3月20日から3月21日ごろに訪れることになると考えられることになるのですが、
それでは、こうした春分と呼ばれる日は、天文学の分野におけるより厳密な定義においては、太陽と地球がどのような位置関係にある瞬間のことを意味する概念として定義されることになると考えられることになるのでしょうか?
天文学における春分点の定義と厳密な意味における春分の瞬間の位置づけ
そうすると、まず、地球から見た太陽の運行のあり方においては、
太陽は、上記の図において示したように、太陽や月や星々といった様々な天体が見かけ上配置されていくことになる仮想的な球面にあたる天球上の黄道(こうどう)と呼ばれる大円の軌道を一年かけて一周していくことになると考えられることになるのですが、
こうした黄道と呼ばれる天球上における太陽の見かけ上の年周軌道にあたる大円の軌道は、地球における赤道が天球上に投影された大円にあたる天の赤道との位置関係においては、天の赤道から約23.4度傾いた大円として描かれていくことになります。
そして、
天文学においては、こうした黄道と天の赤道という二つの大円が交差していくことになる二つの交点のうちの太陽が天の赤道を南側から北側へと昇るように横切っていく昇交点の側が春分点として位置づけられることになり、
太陽がこうした春分点と呼ばれる黄道と天の赤道の昇交点にあたる点を通過する瞬間こそが、天文学における厳密な意味において、春分が訪れる瞬間として定義されることになると考えられることになるのです。
春分の日における昼と夜の長さがぴったり同じ長さにならない理由
そして、
こうした天文学における春分の瞬間が訪れることになる春分の日は、地球における赤道面ともぴったり一致する天の赤道上に太陽が位置することになるため、
地球からの観測においては、太陽は真東から昇って真西へと沈んでいくように観測されていくことになり、
それによって、こうした春分の日の一日おける昼の長さと夜の長さはほぼ等しくなると考えられることになります。
しかし、その一方で、
太陽の光が地球へと実際に到達する際には、
それまで真空の中を進んできた太陽の光が地球の大気の層にぶつかることによって、真空と地球の大気との間の光の屈折率の差によって、太陽の光が少し上方へと折れ曲がって地球上の観測地点へと到達することになり、
そうした地球の大気がもたらす太陽の光の屈曲現象によって、太陽が地平線から昇ってくる時と地平線へと沈んでいく際に、実際の太陽の位置よりも地球から見た太陽の位置が少し上方に観測されることによって、
日の出の時刻はわずかに早く、そして、日の入りの時刻はわずかに遅く観測されることになるため、
地球上における実際の観測においては、こうした春分の日における昼と夜の長さはぴったり同じ長さというわけではなく、実際には、昼の長さの方が14分ほど長くなってしまうと考えられることになるのです。
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