十種競技と五種競技の違いとは?古代と現代のオリンピックにおける二つの混成競技の具体的な特徴の違い
現代のオリンピックあるいは世界陸上の大会などにおいては、一人の競技者が様々な競技種目を順番に行ない、その総合得点を競っていく混成競技として、十種競技(デカスロン)と呼ばれ競技種目が行われることになりますが、
それに対して、古代のオリンピックにおける混成競技としては、五種競技(ペンタスロン)と呼ばれる競技種目が行われていたと考えられることになります。
それでは、
こうした古代と現代のオリンピックにおける五種競技と十種競技と呼ばれる競技種目のあり方には、それぞれに具体的にどのような特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか?
古代と現代のオリンピックにおける十種競技と五種競技の違いとは?
そうすると、まず、
古代ギリシアにおけるオリンピアの祭典を中心とする古代のオリンピックで行われていた五種競技においては、現代における陸上競技とは若干形式が異なってはいるものの、
競走種目としては、スタディオン走と呼ばれる現代の200m走に近い距離を走っていく短距離走が行われていたほか、
跳躍種目としては、走幅跳(走り幅跳び)が行われていて、
投擲種目としては、やり投(やり投げ)と円盤投(円盤投げ)の二種目の競技が行われていたほか、最後には、
格闘競技としてのレスリング競技が行われることになっていたと考えられることになります。
そして、それに対して、
現代のオリンピックにおける十種競技(じっしゅきょうぎ)においては、
競走種目としては、100m走と110m障害(10台のハードルを跳び越えながら110メートルを走るハードル走)、400m走と1500m走という四種目が行われていて、
跳躍種目としては、走幅跳のほかに走高跳(走り高跳び)と棒高跳(棒高跳び)が、
投擲種目としては、やり投と円盤投のほかに砲丸投が行われていくことになります。
また、
現代のオリンピックや世界陸上の大会などにおける十種競技のルールとしては、基本的には、
競技の一日目には、100m走、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m走の五つの種目が、
競技の二日目には、110m障害、円盤投、棒高跳、やり投、1500m走の五つの種目がそれぞれ順番に行われることになっていると考えられることになるのですが、
つまり、そういった意味では、
こうした古代と現代のオリンピックにおける五種競技と十種競技の具体的な特徴の違いとしては、
古代のオリンピックの五種競技(ペンタスロン)においては、
短距離走・走幅跳・やり投・円盤投・レスリングという五つの種目が行われていたのに対して、
現代のオリンピックの十種競技(デカスロン)においては、
そうした古代の五種競技において行われていた五つの種目のうち、陸上競技ではないレスリングが除外されたうえで、
競走種目は100m走と110m障害、そして、400m走と1500m走という四つの種目へと分かれていき、
跳躍種目については走高跳と棒高跳が、投擲種目については砲丸投が新たに加えられていく形で、さらに多くの競技種目が取り入れられていくことになっていったという点に、
こうした古代と現代の二つの競技種目における主要な特徴の違いを見いだいしていくことができると考えられることになるのです。
近代オリンピックにおける陸上競技としての五種競技の存在
また、その一方で、
こうした現代へと続く近代オリンピックがはじまった当初の時代においては、陸上競技における混成競技として、十種競技のほかに五種競技と呼ばれる競技種目が正式に採用されていた時代もあり、
1912年のストックホルムオリンピックと1920年のアントワープオリンピックそして1924年のパリオリンピックまでの3大会においては、
近代オリンピックにおける陸上競技としての五種競技として、
200m走・1500m走・走幅跳・やり投・円盤投という五つの種目が行われていたと考えられることになります。
そして、
こうした近代オリンピックにおける陸上競技としての五種競技においては、レスリングが除外されているという点では、現代の十種競技の形式に近い点もあるものの、
基本的には、前述した古代オリンピックにおける五種競技における競技内容が強く意識される形で、競技種目が選ばれていたと考えられることになるのです。
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