近代五種競技と古代五種競技の違いとは?近代の兵士の資質と技能を体現する複合競技としての近代五種競技の位置づけ
古代ギリシアにおけるオリンピアの祭典を中心とする古代のオリンピックにおいては、五種競技(ペンタスロン)と呼ばれる一人の競技者が五つの種目を順番に行なって総合成績を競っていく混成競技が行われていたと考えられることになるのですが、
それに対して、
こうした古代のオリンピックにおける五種競技にならって、近代のオリンピックにおいても、近代五種競技と呼ばれる五つの種目からなる複合競技がオリンピックにおける正式種目として行われることになっています。
それでは、
こうした古代のオリンピックにおける五種競技と、近代のオリンピックにおける複合競技としての五種競技、
すなわち、古代五種競技と近代五種競技における競技のあり方には、具体的にどのような特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか?
近代五種競技と古代五種競技における具体的な競技内容の違いとは?
詳しくは、前回の記事で書いたように、古代ギリシアにおけるオリンピアの祭典を中心とする古代のオリンピックで行われていた五種競技においては、
短距離走・走幅跳・やり投・円盤投・レスリングという五つの種目が行われていたと考えられ、
近代オリンピックにおいても、こうした古代オリンピックの五種競技にならって、1912年~1924年までに行われた3大会においては、
200m・1500m・走幅跳・やり投・円盤投という五つの種目からなる陸上競技としての五種競技が行われていた時代もあったと考えられることになるのですが、
その一方で、
こうした近代オリンピックにおける五種競技と言えば、通常の場合、現代のオリンピックにおいても正式種目として位置づけられている複合競技としての近代五種競技のことを意味することになると考えられることになります。
そして、
こうした近代オリンピックにおける複合競技としての五種競技、すなわち、近代五種競技においては、通常の場合、
フェンシング、水泳、馬術、ピストル射撃、ランニングといった五つの要素を含む競技が行われることになっていて、
2009年における競技内容の改定からは、射撃とランニングの二種目が、両方の種目を合わせて交互に行うコンバインドに変更されたうえで、
フェンシング競技の部分がフェンシング・ランキングラウンドと呼ばれる選手全員の総当たり戦で行われる前半ステージと、フェンシング・ボーナスラウンドと呼ばれる下位選手からの勝ち抜き戦で行われる後半ステージへと分けられる形で実際の競技の運営が行われることになっていったと考えられることになるのです。
近代の兵士の新たな資質と技能を体現する複合競技としての近代五種競技
以上のように、
古代五種競技と近代五種競技における競技内容の具体的な特徴の違いとしては、
古代五種競技においては、短距離走・走幅跳・やり投・円盤投・レスリングという五つの種目が行われていたのに対して、
近代五種競技においては、フェンシング・水泳・馬術・ピストル射撃・ランニングという五つの要素を含む種目が行われることになっているという点が挙げられることになります。
そして、そういった意味では、
こうした古代五種競技には、競走と跳躍と投擲そして格闘競技といった古代の戦士たちに求められていた数多くの技能と資質を測るための競技が数多く含まれていると考えられることになるのですが、
それに対して、
近代五種競技においては、そこに射撃やフェンシングといった近代的な戦闘技術や、馬術や水泳といった近代の兵士に求められている新たな技能と資質の要素が加えられていくことによって、
通常の陸上競技だけではなく、水泳競技や馬術競技、射撃競技や剣術競技といった互いにまったく分野が異なる競技種目が組み合わされた複合競技としての新たな競技種目のあり方が形づくられていくことになっていったと考えられることになるのです。
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