近代五種競技の由来とは?フランスのクーベルタン男爵との関係と兵士としての軍事的技能を備えた理想のアスリート像の追求
前回の記事で書いたように、現代の時代まで続く近代オリンピックにおいては、古代ギリシアにおいて開催されていた古代のオリンピックにおける五種競技(ペンタスロン)にならって、
近代五種競技(モダン・ペンタスロン)と呼ばれる五つの種目からなる複合競技がオリンピックにおける正式種目として採用されていると考えられることになるのですが、
それでは、
こうした近代オリンピックにおける近代五種競技は、具体的にどのような由来に基づいてオリンピックの正式種目として導入されることになっていったと考えられることになるのでしょうか?
近代五種競技の由来とフランスのクーベルタン男爵との関係
そうすると、まず、
こうした近代五種競技と呼ばれるフェンシング・水泳・馬術・ピストル射撃・ランニングという五つの要素を含む複合競技のあり方が近代オリンピックにおける正式種目として採用されることになったのは、
近代オリンピックの第5回にあたる1912年のストックホルムオリンピックからであったと考えられることなります。
そして、
こうした1912年に開催されることになったストックホルムオリンピックにおいて行われる競技種目が選ばれていく際に、
近代オリンピックの創始者にもあたるフランスのクーベルタン男爵の発案に基づいて、当時のストックホルムオリンピックの大会組織委員会において、現代の時代にふさわしいアスリートの多面的な能力を測る新たな競技の創設が検討されていくことによって、
こうした現代のオリンピックにおける近代五種競技のあり方が形づくられていくことになっていったと考えられることになるのです。
古代ギリシアから近代オリンピックへと続く戦士や兵士としての軍事的技能を兼ね備えた理想のアスリート像の追求
そして、
こうした近代五種競技における競技の選択においては、
19世紀のフランスの騎兵隊の兵士が行っていたとされる騎馬による敵陣への突入や、銃と剣を使った戦闘、そして、川を泳いで渡り、丘を越えて走り抜けていくといった実際の戦闘のあり方が原型とされたうえで、
そこに、当時のオリンピックの開催地であったストックホルムが位置する国にあたるスウェーデン軍における兵士の伝統的な軍事訓練のあり方などが参考とされていくなかで、
こうした近代五種競技におけるフェンシング・水泳・馬術・ピストル射撃・ランニングという競技の五つの構成要素のあり方が定められていくことになっていったと考えられることなります。
そして、それに対して、前回の記事でも書いたように、
古代のオリンピックにおける五種競技における短距離走・走幅跳・やり投・円盤投・レスリングという五つの種目には、
古代の戦士に求められていた軍事的技能のあり方が大きく反映された種目が数多く選ばれていると考えられることになるのですが、
そういった意味では、
こうした現代の時代まで続く近代オリンピックにおける近代五種競技と呼ばれる競技種目のあり方においては、
古代ギリシアの時代から続く、戦士や兵士としても通用する多面的な身体能力と技能の巧みさを備えた存在としての理想のアスリートの姿を追求していくというオリンピックにおける一つの側面のあり方が体現されているとも考えられることになるのです。
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前回記事:近代五種競技と古代五種競技の違いとは?近代の兵士の資質と技能を体現する複合競技としての近代五種競技の位置づけ
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