原虫と吸虫と条虫と線虫の大きさの比較、単細胞生物と多細胞生物あるいは多節構造などの生物学的な構造に基づく大きさの違い
原虫と吸虫と条虫と線虫という四つの寄生虫の種族に分類されることになる代表的な寄生虫の種類について詳しく考察してきましたが、
今回の記事では、そうした代表的な寄生虫の種類について生物学的な構造や大きさといった観点から体系的にまとめたこのシリーズ全体の総まとめとなる記事を仕上げていく前に、
こうした原虫と吸虫と条虫と線虫と呼ばれる寄生虫の種族が、成虫の大きさや体長の長さといった観点からは、互いにどのような関係にあるのか?という
こうした四つの寄生虫の種族における大きさの比較について、図示していく形で簡単にまとめておきたいと思います。
原虫と吸虫と条虫と線虫の大きさの比較
そうすると、まず、
上記の図において示したように、こうした原虫と吸虫と条虫と線虫という四つの寄生虫の種族の中で、成虫の体長の長さが最小の部類に属する寄生虫の種族としては、まずは、原虫と呼ばれる寄生虫の種族の名が挙げられることになります。
原虫(げんちゅう)とは、真核生物に分類される単細胞性の動物すなわち原生動物に分類される生物のなかでも、特に、寄生性や病原性を示す原生動物のことを意味する言葉であり、
こうした原虫と呼ばれる寄生虫は、自分自身の体が単一の細胞からできているため、その大きさも非常に小さく、
だいたい直径が2㎛~70㎛ (0.002mm~0.07mm)くらいの大きさの寄生虫の種類が、こうした原虫と呼ばれる寄生虫の種族に分類されていくことになると考えられることになります。
それに対して、次に挙げた
吸虫(きゅうちゅう)とは、心臓や血管といった循環器系も、肺やえらといった呼吸器系の構造も一切存在しない平たい形をした非常に単純な構造をした多細胞生物の種族である扁形動物(へんけいどうぶつ)に分類される生物のなかでも、
口吸盤と腹吸盤と呼ばれる二つの吸盤を使って宿主となる生物の体内の特定の部位に吸着することによって寄生生活を営む生物の種族のことを意味する言葉であり、
こうした吸虫と呼ばれる寄生虫は、単細胞生物である原虫と比べればだいぶ大きいとは言えるものの、多細胞生物としてはかなり小さめの部類に属することになり、
だいたい体長が1mm~7cmくらいの範囲内くらいの長さの寄生虫の種類が、こうした吸虫と呼ばれる寄生虫の種族に分類されていくことになると考えられることになるのです。
そして、その次に挙げた
条虫(じょうちゅう)は、吸虫と同じ扁形動物に分類される生物のなかでも、多数の体節が連なって長いひも状の体を形成する寄生虫の種族として定義されることになり、
こうした条虫と呼ばれる生物の種族には、多数の体節構造が延々と長く連なっていくことによって、1メートルを超えるような長大な体長の長さを誇るような寄生虫の種類が数多く分類されることになるのですが、
その一方で、そうした長大な体節構造を形成することがない小型の条虫の種類も数多く存在していて、
だいたい体長が2mmから最大の種類では30mにもおよぶような様々な長さをした寄生虫の種類が、こうした条虫と呼ばれる寄生虫の種族に分類されていくことになると考えられることになります。
そして、最後に挙げた
線虫(せんちゅう)は、条虫の場合とは異なり体節と呼ばれるような区画構造は一切もたずに、全体が一つ続きとなった一体的な構造をした長いひも状の体を形成する寄生虫の種族として定義されることになり、
こうした線虫と呼ばれる生物の種族には、長さが短いものでは体長が8mmくらいのものから長いものでは40cmくらいにおよぶような様々な長さをした寄生虫の種類が分類されていくことになると考えられることになります。
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ちなみに、以前に「回虫と蟯虫と鞭虫と鉤虫と糸状虫の大きさの比較」の記事で書いたように、
こうした線虫と呼ばれる寄生虫の種族については、さらに、回虫と蟯虫と鞭虫と鉤虫と糸状虫という五つの線虫の種族へと細分化されていくことになり、
こうした五つの線虫の種族のなかでは、蟯虫(ぎょうちゅう)と呼ばれる寄生性の線虫の種族の大きさが一番小さく、
それに対して、回虫(かいちゅう)や糸状虫(しじょうちゅう)といった線虫の種族には、長さが10cmを超えるような体長が長い寄生虫の種類も数多く分類されることになると考えられることになるのです。
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次回記事:寄生虫の代表的な種類のまとめ、寄生虫感染症の原因となる56種類の代表的な寄生虫の種類
前回記事:条虫に分類される寄生虫の大きさの比較、全部で12種類の条虫に属する代表的な寄生虫の体長の長さの違い
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