寄生虫の代表的な種類のまとめ、寄生虫感染症の原因となる56種類の代表的な寄生虫の種類
このシリーズの初回から前回までの一連の記事では、人間に対する寄生虫感染症の原因となる原虫と吸虫と条虫そして線虫といった代表的な寄生虫の種族について順番に詳しく考察してきましたが、
今回の記事では、
そうした一連の寄生虫の種類に関する記事の総まとめとして、
こうした原虫と吸虫と条虫と線虫という代表的な四つの寄生虫の種族のそれぞれに分類されることになる全部で56種類にもおよぶ代表的な寄生虫の種類について、体系的に図示していく形でまとめて記述していきたいと思います。
寄生虫の代表的な種類のまとめ
そうすると、まず、
人間に対する寄生虫感染症の原因となる代表的な寄生虫の種類としては、上記の図において示したように、
原虫に分類されることになる12種類の寄生虫と、吸虫に分類されることになる12種類の寄生虫、そして、条虫に分類されることになる12種類の寄生虫と、線虫に分類されることになる20種類の寄生虫という
原虫と吸虫と条虫と線虫という四つの寄生虫の種族に分類されることになる全部で56種類の寄生虫の種類の名を挙げていくことができると考えられることになります。
原虫に分類される代表的な寄生虫の種類のまとめ
まず、
こうした四つの寄生虫の種族のうちのはじめに挙げた
原虫(げんちゅう)と呼ばれる寄生虫の種族に分類されることになる具体的な寄生虫の種類としては、
詳しくは、「原虫が原因となる12の代表的な感染症の種類」の記事で考察したように、
マラリア原虫、クリプトスポリジウム、トキソプラズマ、赤痢アメーバ、トリコモナス、リーシュマニア、トリパノソーマ、サイクロスポラ、ランブル鞭毛虫(ジアルジア・ランブリア)、サルコシスチス、バベシア、コクシジウム
といった全部で12種類の代表的な寄生虫の種類が挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、例えば、
マラリア原虫の感染によって引き起こされる原虫感染症であるマラリアにおいては、高熱や頭痛、吐き気といった症状が引き起こされるほか、悪化した場合には、原虫に寄生された赤血球の表面が変形することによって脳や腎臓といった体内の重要器官の毛細血管が閉塞してしまうことにより、脳マラリアと呼ばれる意識障害などをともなう神経症状や、腎不全などが引き起こされることになり、
クリプトスポリジウムの感染によって引き起こされるクリプトスポリジウム症においては、3~10日ほどの潜伏期間をおいて、激しい水様性の下痢や腹痛といった消化器系を中心とする症状が引き起こされることになると考えられることになるのです。
吸虫に分類される代表的な寄生虫の種類のまとめ
そして、その次に挙げた
吸虫(きゅうちゅう)と呼ばれる寄生虫の種族に分類されることになる具体的な寄生虫の種類としては、
詳しくは、「吸虫による寄生虫感染症の原因となる代表的な12種類の吸虫の種類」の記事で考察したように、
横川吸虫、肝吸虫、肝蛭、日本住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫、マンソン住血吸虫、メコン住血吸虫、インターカラーツム住血吸虫、ウェステルマン肺吸虫、宮崎肺吸虫、肥大吸虫、異形吸虫
といった全部で12種類の吸虫の種類が挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、例えば、
横川吸虫によって引き起こされる横川吸虫症と呼ばれる寄生虫感染症においては、体内へと侵入した横川吸虫が小腸に寄生することによって、腹痛や下痢といった消化器系を中心とする症状が引き起こされていくことになり、
肝吸虫によって引き起こされる肝吸虫症と呼ばれる寄生虫感染症においては、人間の体内に侵入した肝吸虫が肝臓や胆管などに寄生することによって、下痢や食欲不振、腹部膨満や倦怠感といった消化不良のような症状が引き起こされることになるほか、黄疸や腹水さらには肝腫大や肝硬変といった肝機能障害などが引き起こされることになると考えられることになるのです。
条虫に分類される代表的な寄生虫の種類のまとめ
また、その次に挙げた
条虫(じょうちゅう)と呼ばれる寄生虫の種族に分類されることになる具体的な寄生虫の種類としては、
詳しくは、「条虫による寄生虫感染症の原因となる代表的な12種類の条虫の種類」の記事で考察したように、
有鉤条虫、無鉤条虫、広節裂頭条虫、マンソン裂頭条虫、日本海裂頭条虫、エキノコックス属に分類される単包条虫と多包条虫、瓜実条虫、小型条虫(ナナ条虫)、縮小条虫、有線条虫、芽殖孤虫
といった全部で12種類の条虫の種類が挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、例えば、
有鉤条虫の寄生によって引き起こされる有鉤条虫症においては、人間の体内に侵入した有鉤条虫の幼虫が小腸に寄生したうえで、3か月ほどの時間をかけて成虫へと成長していくことによって、腹痛や下痢、体重減少といった消化器系を中心とする症状が引き起こされていくことになると考えられることになり、
エキノコックス属に分類される多包条虫の寄生によって引き起こされる多包性エキノコックス症においては、人間の体内へと侵入した虫卵から孵化した多包条虫の幼虫が腸壁から血液やリンパの流れに乗って全身の臓器や器官へと運ばれていってしまうことによって、腹痛や黄疸などを伴う肝機能障害や、胸痛や血痰などを伴う呼吸器疾患、さらには、けいれん発作や意識障害などを伴う中枢神経疾患といった多様な症状が引き起こされていくことになると考えられることになるのです。
線虫に分類される代表的な寄生虫の種類のまとめ
そして、最後に挙げた
線虫(せんちゅう)と呼ばれる寄生虫の種族は、その形態的な特徴の違いに応じて、さらに、回虫と蟯虫と鞭虫と鉤虫と糸状虫という五つの線虫の種族へと細分化されていくことになり、
詳しくは、「線虫に分類される32種類の代表的な寄生虫の種類のまとめ」の記事などで考察してきたように、
こうした線虫に分類されることになる寄生虫のうち、人間に対する寄生虫感染症の原因となる具体的な寄生虫の種類としては、
回虫(かいちゅう)に分類されるヒト回虫、ブタ回虫、犬回虫、猫回虫、アニサキス、
蟯虫(ぎょうちゅう)に分類されるヒト蟯虫、
鞭虫(べんちゅう)に分類されるヒト鞭虫、
鉤虫(こうちゅう)に分類されるズビニ鉤虫、アメリカ鉤虫、
糸状虫(しじょうちゅう)に分類される犬糸状虫、バンクロフト糸状虫、マレー糸状虫、回旋糸状虫、ロア糸状虫
さらには、こうした五つの線虫の種族のいずれにも分類されていない広東住血線虫、東洋毛様線虫、有棘顎口虫、糞線虫、豚肺虫、腎虫
といった全部で20種類の線虫の種類が挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、例えば、
ヒト回虫によって引き起こされる寄生虫感染症においては、腸内に寄生した回虫によって腸管内の栄養物が奪われてしまうことによって、腹痛といった消化器系の症状のほかに、栄養不良や貧血といった症状が引き起こされる場合があると考えられることになり、
アニサキスによって引き起こされる寄生虫感染症においては、本来の宿主ではない人間の体内にうまく適応することができないアニサキスが人間の体内において幼虫のまま死滅していく際に、激しい腹痛やおう吐といった症状を特徴とする胃アニサキス症と呼ばれるような急性胃腸炎の症状が引き起こされてしまうケースがあると考えられることになるのです。
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次回記事:寄生虫の大きさはどのくらいのなのか?代表的な56種類の寄生中の大きさの比較とランキング
前回記事:原虫と吸虫と条虫と線虫の大きさの比較、単細胞生物と多細胞生物あるいは多節構造などの生物学的な構造に基づく大きさの違い
このシリーズの初回記事:原虫が原因となる12の代表的な感染症の種類とは?①マラリア原虫やクリプトスポリジウム、トキソプラズマの具体的な特徴
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