吸虫による寄生虫感染症の原因となる代表的な12種類の吸虫の種類とは?①横川吸虫と肝吸虫と肝蛭の具体的な特徴
前回の記事で書いたように、寄生虫感染症の原因となる代表的な寄生虫の種族としては、原虫と呼ばれる単細胞性の寄生虫の種族のほかに、吸虫といった扁形動物に分類される多細胞性の寄生虫の種族の存在も挙げられることになるのですが、
そうした吸虫によって引き起こされることになる寄生虫感染症の原因となる代表的な吸虫の種類としては、
横川吸虫、肝吸虫、肝蛭(かんてつ)、日本住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫、マンソン住血吸虫、メコン住血吸虫、インターカラーツム住血吸虫、ウェステルマン肺吸虫、宮崎肺吸虫、肥大吸虫、異形吸虫
といった全部で12種類の吸虫の種類が挙げられることになると考えられることになります。
横川吸虫
まず、はじめに挙げた横川吸虫(よこがわきゅうちゅう)とは、体長1~2ミリメートルほどの大きさをした洋梨形または楕円形の形をした吸虫であり、
こうした横川吸虫と呼ばれる吸虫は、日本国内における寄生虫感染症の報告患者数が第一位であるアニサキスに次いで二番目に多い最も一般的な吸虫の種類として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、
横川吸虫は、アユやシラウオといった魚のウロコの下の部位や筋肉組織などに寄生していると考えられ、こうした魚を加熱が不十分な状態で食べることなどによって感染が引き起こされることになると考えられ、
人間の体内へと侵入した横川吸虫は、小腸に寄生することによって、人間の腸内において幼虫から成虫へと成長していくことになると考えられることになります。
そして、
こうした横川吸虫の感染によって引き起こされる横川吸虫症と呼ばれる寄生虫感染症においては、主に、腹痛や下痢といった消化器系を中心とする症状が引き起こされていくことになると考えられることになるのです。
肝吸虫
そして、その次に挙げた肝吸虫(かんきゅうちゅう)とは、体長10~20ミリメートルほどの大きさをしたへら状または柳葉状の形をした吸虫であり、
こうした肝吸虫と呼ばれる吸虫は、コイなどの淡水魚の筋肉組織などに寄生していると考えられ、そうした魚を加熱が不十分な状態で食べることなどによって感染が引き起こされることになると考えられることになります。
そして、
こうした肝吸虫の感染によって引き起こされる肝吸虫症と呼ばれる寄生虫感染症においては、人間の体内に侵入した肝吸虫が、肝臓のなかでも、
特に、肝臓から十二指腸へと胆汁を送る通路にあたる胆管の部分に寄生することによって、胆管の閉塞がきたされてしまうことになり、
胆管内における胆汁の通過障害によって、下痢や食欲不振、腹部膨満や倦怠感といった消化不良のような症状が引き起こされることになるほか、
肝吸虫の増殖が進んでいくことによって病状が悪化していった場合には、肝吸虫によって引き起こされた胆管内の炎症が肝臓本体へも広がっていくことによって、
肝腫大さらには肝硬変といったより深刻な肝疾患が引き起こされることになり、黄疸や浮腫、腹水や貧血といったより重篤な症状が引き起こされていってしまうことになると考えられることになるのです。
肝蛭
そして、その次に挙げた肝蛭(かんてつ)とは、体長20~30ミリメートルほどの大きさをした楕円形または樹葉状の形をした吸虫であり、
こうした肝蛭と呼ばれる吸虫は、中間宿主にあたるヒメモノアラガイといった淡水性の巻貝の体内で幼虫へと育ったのち、水中を泳いで近くの水草などに付着することによって、そうした水草を食べた人間や家畜などに感染を広げていくことになると考えられ、
具体的には、クレソンなどの水草や、ミョウガやパセリといった植物に付着していた肝蛭がサラダなどの生食の形で体内へと入ってしまうケースや、
さらには、汚染された草や植物を食べていた牛などの家畜の体内に寄生していた肝蛭が、レバーの生食などを介して人間に感染を広げていくケースがなどが挙げられることになります。
そして、
こうした肝蛭の感染によって引き起こされる肝蛭症と呼ばれる寄生虫感染症においては、前述した肝吸虫の場合と同様に、人間の体内に侵入した肝蛭が、肝臓や胆管内に寄生することによって、
腹痛や下痢、黄疸や貧血といった消化器系の症状や肝機能障害が引き起こされていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:吸虫による寄生虫感染症の原因となる代表的な12種類の吸虫の種類とは?②日本住血吸虫症の病原体の発見と撲滅までの歴史
前回記事:吸虫とは何か?扁形動物に分類される心臓も血管もない単純な構造をした「ジストマ」や「二口虫」とも呼ばれる平たい生物
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