条虫に分類される寄生虫の大きさの比較、全部で12種類の条虫に属する代表的な寄生虫の体長の長さの違い
前回までの記事では、線虫と原虫と吸虫といった三つの生物の種族のそれぞれに分類される代表的な寄生虫の具体的な大きさについて互いに比較していくような形で詳しく考察してきましたが、
最後に、今回の記事では、
条虫と呼ばれる1メートルを超えるようなかなり長大な長さを持った寄生虫の種類が多く分類されることになる生物の種族に分類される代表的な寄生虫の具体的な大きさについても、
そうした個々の条虫の種類のそれぞれにおける体長の長さを互いに比較したうえで図示していくような形でまとめて提示していきたいと思います。
条虫に分類される12種類の代表的な寄生虫の大きさの比較
そもそも、
条虫(じょうちゅう)とは、前回取り上げた吸虫と呼ばれる寄生虫の種族と同様に、心臓や血管もなければ肺やえらといった呼吸器官も存在しない平たい形をした非常に単純な構造をした生物の種族である扁形動物(へんけいどうぶつ)に分類される生物の種族であり、
そうした扁形動物に分類される生物の中でも、多数の体節が連なって長いひも状の体を形成する、主に、人間や動物などの脊椎動物の腸に寄生する寄生虫の種族のことを指して、こうした条虫という言葉が用いられることになると考えられることになります。
そして、
詳しくは、以前に「条虫による寄生虫感染症の原因となる代表的な12種類の条虫の種類」の記事で考察したように、こうした条虫と呼ばれる生物の種族に分類されることになる具体的な寄生虫の種類としては、
有鉤条虫、無鉤条虫、広節裂頭条虫、マンソン裂頭条虫、日本海裂頭条虫、エキノコックス属に分類される単包条虫と多包条虫、瓜実条虫、小型条虫(ナナ条虫)、縮小条虫、有線条虫、芽殖孤虫といった全部で12種類の条虫の種類が挙げられることになると考えられることになります。
このうち、はじめに挙げた
有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)は、別名ではカギサナダとも呼ばれることのある成虫になると体長2~3メートルほどの大きさにまで成長する条虫の種族であるのに対して、
無鉤条虫(むこうじょうちゅう)は、別名ではカギナシサナダとも呼ばれることのある成虫の大きさが体長3~10メートルという前述した有鉤条虫よりもさらに長大な長さにまで育つこともある条虫の種族として位置づけられることになります。
そして、その次に挙げた
広節裂頭条虫(こうせつれっとうじょうちゅう)は、別名ではミゾサナダとも呼ばれることのある成虫になると体長2~10メートルほどの大きさにまで成長する条虫の一種、
マンソン裂頭条虫は、成虫の大きさが体長1~2メートルほどの大きさに成長する条虫の一種、
日本海裂頭条虫は、前述した広節裂頭条虫と同様に、成虫の大きさが体長2~10メートルほどの大きさに成長する条虫の一種としてそれぞれ定義されることになります。
そして、その次に取り上げた
エキノコックス属に分類される単包条虫と多包条虫という二つの条虫の種族のうちの前者にあたる
単包条虫(たんほうじょうちゅう)は、成虫の大きさが体長2~7ミリメートルくらいにしかならない小型の条虫の種類として位置づけられることになり、
後者にあたる
多包条虫(たほうじょうちゅう)も、前述した単包条虫と同様に成虫の大きさが体長1.2~4.5ミリメートルくらいにしかならない小型の条虫の種類として位置づけられることになるのです。
そして、その次に挙げた
瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)は、成虫が体長15~80センチメートルほどの大きさに成長する鎖状の形状をした条虫の一種、
小型条虫(ナナ条虫)は、成虫でも体長1.5~4センチメートルほどの大きさまでにしか成長しない人間やネズミの小腸に寄生する小型の条虫の一種、
縮小条虫(しゅくしょうじょうちゅう)も、前述した小型条虫と同様に、成虫が体長2~6センチメートルまでにしか成長しない小型の条虫の一種として分類されることになり、
その次に挙げた
有線条虫(ゆうせんじょうちゅう)は、成虫が体長20~50センチメートルほどの大きさに成長する針金のような形状をした条虫の一種として分類されることになります。
また、最後に挙げた
芽殖孤虫(がしょくこちゅう)と呼ばれる寄生虫は、人間の体内に寄生した幼虫が際限なく分裂を繰り返していくことによって致死率が非常に高い重篤な寄生虫感染症を引き起こすことが分かってはいるものの、
感染例が非常に少ないため、成虫の正確な姿すらいまだ特定されていない詳細不明な条虫の種族として位置づけられることになるのですが、
患者の体内から検出されることになる幼虫の大きさについては、だいたい3~15ミリメートルくらいであるといったことが分かっています。
ちなみに、
こうした人間の体内に寄生する寄生虫の種族の内には含まれないものの、条虫と呼ばれる生物の種族に分類される寄生虫の種類の中には、
クジラの腸に寄生する条虫の一種であるテトラゴノポラスと呼ばれる体長が30メートルを超えるような世界最大の条虫の種族も含まれることになります。
・・・
以上のように、
こうした条虫と呼ばれる生物の種族に分類されることになる寄生虫の大きさは、
有鉤条虫、無鉤条虫、広節裂頭条虫、マンソン裂頭条虫、日本海裂頭条虫などのように、成虫の大きさが1メートルから10メートルにもおよぶような長大な長さにまで成長する大型の条虫の種族と、
エキノコックス属に部類される寄生虫の一種である単包条虫と多包条虫、あるいは、小型条虫(ナナ条虫)や縮小条虫などのように、成虫の大きさが1センチメートルにも満たないような小型の条虫の種族といった二つのグループへと大きく二分されていくことになると考えられることになります。
そして、そうしたことを考え合わせていくと、一言でいうと、
こうした条虫と呼ばれる寄生虫の種族には、小さいものでは1mmくらいから大きいものでは10mにまでおよぶような様々な長さをした寄生虫の種類が分類されていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:原虫と吸虫と条虫と線虫の大きさの比較、単細胞生物と多細胞生物あるいは多節構造などの生物学的な構造に基づく大きさの違い
前回記事:吸虫に分類される寄生虫の大きさの比較、全部で12種類の吸虫に属する代表的な寄生虫の体長の長さの違い
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