カビによって引き起こされる真菌症の代表的な種類とは?①白癬菌が原因となる真菌症の種類とそれぞれの疾患の具体的な特徴
前回書いたように、個々の細胞が単細胞の状態で増殖していく酵母によって引き起こされる真菌症の原因となる菌類の種類としては、
クリプトコッカスや、カンジダ、マラセチア、そして、かつてはカリニ肺炎と呼ばれていた日和見感染症の原因となるニューモシスチスといった真菌の種類が挙げられることになります。
それでは、
こうした酵母によって引き起こされる真菌症に対して、通常の環境下においては、菌糸と呼ばれる細胞列を形成することによって生活を営んでいるカビによって引き起こされるされる真菌症の原因となる代表的な菌類の種類としては、
具体的にどのようなカビの種類が挙げられることになるのか?ということについて、今回からの数回にわたる記事で考えていきたいと思います。
真菌症の原因となる代表的なカビの種類とは?
運動性を持たずに、細胞壁を持ち、光合成を行わずに、植物や動物などの他の生物体への寄生または共生関係を営むことによって生活する真核生物である真菌類に分類される生物のうち、
酵母のように、単独の単細胞の状態で活動するのではなく、菌糸と呼ばれる細胞列を形成することによって生活を営んでいる菌類は、糸状菌と呼ばれることになり、
そうした、糸状菌に分類される生物のうち、キノコ(子実体)と呼ばれる胞子形成のために特化した大規模な構造を形成しない菌類の種族は、カビに分類されることになります。
そして、
こうしたキノコを形成しない糸状菌、すなわち、カビによって引き起こされる真菌症の原因となる代表的な菌類の種類としては、
白癬菌や、アスペルギルス(コウジカビ)、ムーコル(ケカビ)、そして、ヒストプラスマや、スポロトリックスといった
通常の環境下では糸状菌の形態をしている真菌、すなわち、カビの種類の名を挙げることができると考えられることになります。
白癬菌が原因となる真菌症の種類とそれぞれの疾患の特徴
そして、こうしたカビが原因となる真菌症の種類のうち、
最も代表的な真菌症の種類としては、まず、白癬菌が原因となる水虫と呼ばれる皮膚疾患が挙げられることになりますが、
白癬菌(トリコフィトン、Trichophyton)とは、
以前に「菌類の四つの分類」の記事で取り上げたツボカビ類・接合菌類・子嚢菌類・担子菌類と呼ばれる四つの菌類のグループのうちの三番目に位置づけられる子嚢菌類に分類されるカビの一種であり、
水虫(みずむし)とは、こうした白癬菌と呼ばれる子嚢菌類に分類されるカビの一種が、主に足の裏や手の平、指の間などに感染してしまった場合に生じる皮膚疾患のことを指して、こうした言葉が用いられることになると考えられることになります。
それに対して、
白癬菌が皮膚だけではなく、手や足の爪の部分へと感染を広げた場合には、爪水虫や爪白癬と呼ばれることになり、
同じ白癬菌に分類されるカビの一種が、手や足ではなく、頭皮に感染してしまった場合には、しらくも(頭部白癬)と呼ばれ、
手足や頭以外の体部に感染した場合は、たむし(田虫、体部白癬)、体部のなかでも、特に股の部分などに感染した場合はいんきんたむし(陰金田虫、股部白癬)などとも呼ばれることになるのですが、
このように、
白癬菌によって引き起こされる真菌症は、真菌が感染する体の部位の違いに応じて、異なった病名で呼ばれることになると考えられることになるのです。
・・・
以上のように、
キノコ(子実体)を形成しない菌類のなかで、通常の環境下では糸状菌の形態をしている真菌、すなわち、カビによって引き起こされる真菌症の原因となる代表的な菌類の種類としては、
白癬菌や、アスペルギルス(コウジカビ)、ムーコル(ケカビ)、そして、ヒストプラスマや、スポロトリックスといった真菌の種類が挙げられることになります。
そして、
これらの病原体となりうるカビの形態をした真菌のなかでも最も代表的な真菌の種類としては、まず第一に、白癬菌の名が挙げられることになりますが、
こうした白癬菌によって引き起こされる真菌症は、真菌が感染する体の部位の違いに応じて、
みずむし(水虫、足白癬)、爪水虫(爪白癬)、しらくも(白癬、頭部白癬)、たむし(田虫、体部白癬)、いんきんたむし(陰金田虫、股部白癬)
といった極めて多様な名称で呼ばれることになるのです。
・・・
次回記事:アスペルギルス症とムーコル症(接合菌症)の原因となるカビの種類と疾患の具体的な特徴とは?カビが原因の真菌症の種類②
前回記事:病原体となる酵母とは?真菌性の日和見感染症の原因となる酵母の種類、酵母とは何か?③
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