英語のアイディア(idea)と古代ギリシア哲学のイデアの概念との関係とは?イデアが語源の英語とドイツ語とフランス語の単語
英語のidea(アイディア)という単語は、日本語に訳すと考えや着想、あるいは概念や観念といった意味になる名詞ですが、
この英語のアイディア(idea)という単語は、その大本の語源にまでさかのぼると、古代ギリシア語のイデア(ιδέα)という単語へと行き着くことになります。
こうした英語のアイディアと古代ギリシア哲学におけるイデアの概念の間には、具体的にはどのような関係があり、
古代ギリシア語のイデアが語源となった単語には、英語のアイディアの他にどのような単語が挙げられることになるのでしょうか?
ギリシア語のイデアが語源の英語とドイツ語とフランス語の単語とは?
この記事の冒頭部分でも書いたように、考えや着想といった意味を持つ英語のアイディア(idea)という単語の大本の語源は、
ローマ字で表記すると全く同じideaという表記になる古代ギリシア語のイデア(ιδέα)という単語に求めることができると考えられることになります。
古代ギリシアにおいて、もともとイデアという言葉は、目に見える物事の姿や形のことを意味する言葉だったのですが、
こうした古代ギリシア語におけるイデアという言葉は、ソクラテスやプラトンといった古代ギリシア哲学の流れの中で、哲学的な概念として洗練されていくことによって、
「善そのもの」や「美そのもの」といった普遍的な観念のことを意味する言葉として捉え直されていくことになります。
そして、
こうした古代ギリシア語におけるイデアという言葉が大本の語源となり、その中でも特に、プラトンの哲学思想におけるイデアの概念の影響を強く受けていくなかで、
英語において考えや着想、観念といったことを意味するアイディア(idea)という言葉が定着していったと考えられることになるのです。
また、
同じく古代ギリシア語のイデアという言葉が語源となった言葉としては、ドイツ語のIdee(イデー)や、フランス語のidée(イデ)といった単語が挙げられることになりますが、
これらの単語はすべて英語のアイディア(idea)と同じように、考えや着想、思いつき、あるいは、観念や概念、理念といった意味を持つ言葉ということになります。
アイディア(idea)とアイディアリズム(idealism)のニュアンスの違い
ちなみに、
英語でアイディア(idea)というと、一般的な意味としては、プラトンの哲学における普遍的な観念としてのイデアの概念よりも、
考えや思いつきといった日常的な意味で使われることが多い単語であると考えられることになりますが、
この英語におけるidea(アイディア)という名詞が形容詞になってideal(アイディアル)となると、それは「理想の、観念的な」といった意味となり、一気に言葉の抽象的な意味合いが増していくことになります。
そして、
そこからさらに派生したidealism(アイディアリズム)という単語になると、それは理想主義、あるいは、観念論や唯心論といった意味となり、
プラトンの哲学思想において、すべての存在の根源にある真なる実在としての普遍的な観念のあり方を意味するイデアの概念に直結する意味を持った言葉として解釈されることになるのです。
また、
他のヨーロッパ系の言語においても、例えば、フランス語でidéalisme(イデアリスム)というと、それは英語と同様に理想主義や観念論を意味することになり、
それと同様に、ドイツ語で例えば、der deutsche Idealismus(デア・ドイチェ・イデアリスムス)というと、それはカントやヘーゲルに代表されるドイツ観念論という哲学思想のことを意味する用語として捉えられることになります。
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以上のように、
英語のアイディア(idea)という単語の大本の語源は、古代ギリシア語のイデア(ιδέα)という単語に求められることになります。
古代ギリシア語のイデアという言葉は、もともとは目に見える物事の姿や形のことを意味する言葉だったと考えられるのですが、
こうしたイデアという言葉は、ソクラテスやプラトンといった古代ギリシア哲学において哲学的な概念として洗練されていくことによって、普遍的な観念のことを意味する言葉として捉え直されていくことになります。
そして、そうした古代ギリシア哲学におけるイデアの概念に基づいて、
英語のアイディア(idea)、あるいは、ドイツ語のIdee(イデー)や、フランス語のidée(イデ)といった単語が形作られていったと考えられることになるのです。
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