冬虫夏草とは何か?虫に寄生するキノコに分類される代表的な菌類の種類と色や形の具体的な特徴と漢方薬や生薬としての効能
冬虫夏草(とうちゅうかそう)とは、一言でいうと、
昆虫やクモなどの虫に寄生するキノコのことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。
それでは、
こうした冬虫夏草と呼ばれる虫に寄生するキノコすなわち菌類の一種に分類される寄生生物の具体的な特徴としてはより詳しくはどのような点が挙げられることになると考えられ、
冬虫夏草に分類される代表的な生物の種類としては具体的にどのような菌類の種類の名が挙げることになると考えられることになるのでしょうか?
「冬虫夏草」という呼び名の由来と虫に寄生するキノコのライフサイクル
まず、詳しくは前回の記事でも書いたように、
こうした冬虫夏草と呼ばれる昆虫やクモなどの虫に寄生する生物は、
冬には虫の姿をしていた生物が、春を過ぎて夏になると細長いツルのようなものを伸ばした草のような植物の姿へと形を変えていくように見えるため、
こうした「冬虫夏草」という呼び名が付けられることになったと考えられることになります。
そして、
こうした冬虫夏草と呼ばれる虫に寄生するキノコの基本的なライフサイクルについて具体的に記述していくと、
まずは、
セミやアリ、ハチやカメムシ、あるいは、カブトムシやクワガタムシなどの甲虫類を中心とする昆虫の幼虫や成虫の体の表面に付着した胞子から発芽管と呼ばれる管が宿主となる虫の体内へと伸びていくことになります。
そして、
体内へと定着した冬虫夏草に分類される菌類は、その後、虫の体内から養分を吸収して成長していきながら、宿主となる虫の体中に菌糸を張り巡らせていき、
やがて、養分を吸いつくされてミイラ化した宿主となる虫の体を突き破り、外へと触手を伸ばしていくような形で、一般的にはキノコと呼ばれている子実体という胞子を生産する器官を形成していくことによって、
そうした棒状やひも状の形状をした子実体から胞子を射出していくことによって、新たな宿主となる虫に取り付いて繁殖を繰り返していくことになると考えられることになるのです。
冬虫夏草に分類される代表的な菌類の種類と色や形状の具体的な特徴
そして、
こうした昆虫やクモなどの虫に寄生する特殊な菌類の種族にあたる冬虫夏草に分類される代表的な菌類の種類としては、
サナギタケ(蛹茸)やウスキサナギタケ(淡黄蛹茸)といった蛾(ガ)や蝶(チョウ)などの鱗翅類(りんしるい)の蛹(さなぎ)に寄生する菌類や、
アブラゼミタケ(油蟬茸)やオオセミタケ(大蟬茸)といったセミの幼虫に寄生する菌類、
その他にも、アリタケ(蟻茸)やツノアリタケ(角蟻茸)、トゲアリタケ(棘蟻茸)といったアリの成虫に寄生する菌類や、ハチタケ(蜂茸)やトガリスズメバチタケ(尖雀蟻茸)いったハチに寄生する菌類、
さらには、カメムシに寄生するミミカキタケ(耳掻茸)や、クモに寄生するクモタケ(蜘蛛茸)やオニグモタケ(鬼蜘蛛茸)
といった菌類の種類の名が挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、例えば、
こうした冬虫夏草に分類される代表的な菌類としてはじめに挙げた
サナギタケ(蛹茸)は、オレンジ色をした高さ3~6センチメートルくらいの棍棒状の形状をした子実体(キノコ)を形成していくことを特徴とする菌類の種類、
セミタケ(蝉茸)は、黄褐色をした高さ5~6センチメートルくらいの棍棒状の形状をした子実体(キノコ)を形成していくことを特徴とする菌類の種類として分類されることになります。
また、
こうした広義における冬虫夏草に分類される様々な菌類の種類のなかでも、特に、サナギタケ(蛹茸)やウスキサナギタケ(淡黄蛹茸)といった
ノムシタケ属(野虫茸属)に分類されるヤガ(夜蛾)と呼ばれる蛾の一種に寄生するキノコの種類は、
本草学といった中国古来の植物を中心とする薬学の分野においては、
乾燥させた子実体(キノコ)を生薬として用いることによって、肺や気管を浄化し、身体全体に強壮効果をもたらし、抗がん作用もあるといった効能を持つとされているように、
言わば、不老長生の薬として珍重されてきた
漢方薬や薬膳料理、薬酒などの材料となる極めて希少価値の高いキノコの一種としても位置づけられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:混合栄養生物とは何か?環境条件の変化に応じて栄養形式を切り替える植物と動物の中間に位置づけられる生物のグループ
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