球菌に分類される代表的な細菌の種類とは?③髄膜炎菌と淋菌というナイセリア属に分類される二つの双球菌の具体的な特徴
前回の記事までの記事では、球菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる
黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌と腐性ブドウ球菌というブドウ球菌に分類されることになる代表的な細菌の種類と、
肺炎球菌と化膿レンサ球菌(溶連菌)という連鎖球菌に分類されることになる代表的な細菌の種類について順番に詳しく考察してきましたが、
今回の記事では、それに引き続いて、
髄膜炎菌と淋菌というナイセリア属と呼ばれる細菌の種族に分類されることになる二つの双球菌の種類の具体的な特徴や、それぞれの細菌によって引き起こされる具体的な細菌感染症の症状などについて、順番に詳しく考察していきたいと思います。
髄膜炎菌の具体的な特徴と細菌性髄膜炎の具体的な症状
まず、はじめに挙げた
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis、ナイセリア・メニンジティディス)とは、その名の通り、細菌性髄膜炎の原因となる代表的な細菌の種類であり、
こうした髄膜炎菌と呼ばれる細菌は、冒頭でも述べたように、ナイセリア属と呼ばれる小さなコーヒー豆状の形状をした細菌の種族に分類される直径0.6~0.8マイクロメートルくらいの大きさをしたグラム陰性の好気性双球菌に分類されることになります。
そして、
こうした髄膜炎菌と呼ばれる細菌は、飛沫感染によって鼻や喉から気道へと侵入したのち、血流を介して脳や脊髄といった中枢神経系へと感染を広げていくことによって、
発熱や頭痛や嘔吐といった症状や、さらには、赤や紫色の斑点状の発疹などが現れることを特徴とする細菌性髄膜炎の症状が引き起こされていくことになります。
また、
こうした髄膜炎菌を原因とする感染症は、現代の日本においてはほとんど流行的な感染は見られないものの、現代においても、中東やアフリカなどを中心とする地域では、しばしば流行が見られていて、
特に、10代以下の小児や若者において感染例が多く、髄膜炎や脳炎などを発症した場合の致死率も10%近くにおよぶことになるため、これらの地域に旅行する際などには、予防注射などの対策をとっておくことが必要な比較的危険な細菌の種類として位置づけられることになるのです。
淋菌の具体的な特徴と性感染症および咽頭炎や結膜炎の原因菌としての位置づけ
そして、その次に挙げた
淋菌(Neisseria gonorrhoeae、ナイセリア・ゴノレア)は、前述した髄膜炎菌と同じくナイセリア属の細菌の種類に分類されることになる直径0.6~1.0マイクロメートルくらいの大きさをしたグラム陰性の好気性双球菌に分類される細菌の一種として位置づけられることになります。
そして、
こうした淋菌と呼ばれる細菌は、淋病(りんびょう)と呼ばれる尿道炎や排尿痛、子宮頚管炎や不妊症などを引き起こす性感染症の原因となるほか、
こうした淋菌と呼ばれる細菌が喉に感染した場合には、咽頭炎の原因となることもあり、さらに、比較的稀なケースではあるものの、目に感染した場合には細菌性の結膜炎を引き起こすことによって、失明する危険性もあることが分かっていて、
特に、保菌者である母親からの産道感染によって新生児に対して感染してしまうことがあるため、そうしたケースでは、特に注意を払うことが必要な細菌の種類として位置づけられることになるのです。
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次回記事:球菌に分類される代表的な細菌の種類とは?④虫歯の原因となるミュータンス菌とモラクセラ・カタラーリスの具体的な特徴
前回記事:球菌に分類される代表的な細菌の種類とは?②肺炎球菌と溶連菌(化膿レンサ球菌)の具体的な特徴と症状の違い
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