回虫の具体的な特徴とは?「回虫」という名前の由来と回虫によって引き起こされる寄生虫感染症の具体的な症状

前回の記事で書いたように、無色透明で、全体が一つ続きとなった一体的な構造をした細長い糸状あるいはひも状の形状した脱皮動物に分類される生物の種族である線虫あるいは線形動物と呼ばれる生物のグループには、

人間を含む様々な動物や植物の体内において寄生生活を営む種族と、土壌中や海底において自活生活を営む種族が存在すると考えられることになるのですが、

このうちの前者にあたる寄生性の線虫の種族には、さらに、回虫蟯虫鞭虫鉤虫糸状虫といった多様な寄生虫の種族が分類されていくことになると考えられることになります。

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回虫と呼ばれる寄生虫の具体的な特徴と「回虫」という名前の由来

こうした線虫に分類される様々な寄生虫の種族のうち、

はじめに挙げた回虫(かいちゅう)と呼ばれる生物の種族は、成虫の体長が640センチメートルほどの大きさに成長する細長いひも状の形状をした線虫の種族であり、

体の構造が他の動物の体内で寄生生活を営むことに特化しているため、視覚や聴覚などといった感覚器官は退化して存在せず

体の両端に口と肛門があるだけで、消化液などを分泌する働きも持たない原始的な構造の腸管が体全体を貫通し、

そのほかには、宿主となる生物の体内で大量の虫卵を産むための生殖器官だけが発達しているという非常にいびつな構造をしていて、

こうした回虫と呼ばれる寄生虫の種族は、感染者の排泄物などに含まれていた回虫の卵が、汚染された食品などを介して口から胃の中へと侵入していくという経口感染によって人体の内部へと感染を広げていくことになると考えられることになります。

そして、

人体へと侵入した回虫の卵は、胃酸の働きによって卵の殻が溶かされることによって孵化したのち、殻の外へと出た回虫の幼虫は、まずは小腸へと移動していくことになるのですが、

こうした回虫の幼虫は、孵化した直後の移動先である小腸ではすぐに成虫とはならずに、いったん腸壁を越えて血管内へと侵入したのち、

血流を介して肝臓へとたどり着いてから、さらに、心臓から肺へと移動して、気管支を這い上がっていき、そこから再び口の中へともぐり込むことによって、食道から胃、そして、再び小腸へと戻っていくという移動経路をたどっていくなかで成虫へと成長していくことになると考えられることになります。

そして、このように、

こうした寄生虫の種族は、卵の形で人体の内部へと侵入してから、小腸から血管肝臓から気管支、そして、再び食道と胃を介して小腸へと戻ってくるという人間の体内をぐるぐると回る遠大なルートをたどって成虫へと成長していくことになるために、

こうした回虫という名称で呼ばれることになったと考えられることになるのです。

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回虫によって引き起こされる寄生虫感染症の具体的な症状

そして、

こうした回虫と呼ばれる寄生虫の種族は、上述したような人間の体全体をぐるぐると回るように旅する遠大な寄生ルートをたどってから再び小腸へとたどり着いて成虫へと成長したのち、

宿主となる人間の腸内において、1日に10万個から25万個にもおよぶような大量の虫卵を産んでいくことになり、

その後、こうした宿主の腸内に産み落とされた虫卵が排泄物と共に排出されることによって、新たな宿主となる生物への感染を広げていくことになると考えられることになります。

そして、その一方で、

こうした人間の腸内において成長した回虫の成虫は、少数の個体が寄生しているだけではほとんど症状を引き起こすことはないものの、

回虫が大きく育ちすぎてしまった場合や、多数の個体が同時に寄生している場合には、宿主となる生物に必要な栄養分の多くを回虫が奪い取ってしまうことによって、栄養不良や貧血といった症状が引き起こされていくことになるほか、

腸壁へともぐり込んで穿孔や潰瘍などを引き起こしてしまうケースや、虫垂などにもぐり込むことによって虫垂炎を引き起こしてしまうケース、

あるいは、腸内において複数の回虫が絡まり合うことによって、腸閉塞のような症状が引き起こされてしまうこともあると考えられることになります。

また、

虫卵から幼虫が孵化して成虫へと成長していくまでの人体を巡る旅の途中で、こうした回虫の幼虫が本来の終着地である小腸へと戻るルートを見失ってしまい、肝臓や肺や心臓といった移動ルートの途中にある臓器に長くとどまってしまう場合には、

比較的まれなケースではあるものの、これらの臓器において、肝腫大肝炎肺浸潤肺炎、さらには、心筋炎といった症状が引き起こされてしまうケースがあるほか、

こうした回虫の幼虫が誤って腎臓や脳といったその他の重要な臓器や器官の内部へともぐり込んでいってしまうことによって、頭痛めまい失神けいれんといった中枢神経系の症状が引き起こされてしまうケースもあると考えられることになるのです。

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次回記事:回虫に分類される代表的な寄生虫とは?ヒト回虫とブタ回虫の関係とアニサキス、線虫に分類される代表的な寄生虫の種類①

前回記事:線虫とは何か?糸状やひも状の形状をした脱皮動物に分類される寄生生活と土壌中や海底における自活生活を営む生物の種族

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