黄道と白道の違いとは?①天球上における月の月周軌道と太陽の年周軌道としての両者の関係
黄道(こうどう)とは、地球が太陽の周りを回っていくことによって地球上から観測されることになる天球上における太陽の軌道のあり方を意味するのに対して、
白道(はくどう)とは、月が地球の周りを回っていくことによって地球上から観測されることになる天球上における月の軌道のあり方を意味する言葉として定義することができると考えられることになります。
それでは、
こうした黄道と白道と呼ばれる天球上における太陽と月の軌道のあり方は、互いにどのような関係にあると考えられることになるのでしょうか?
天球上における太陽の年周軌道としての黄道の定義
そうすると、まず、
地球からの観測においては、太陽や月や星といったすべての天体は、地球の自転運動のあり方に基づいて、夜空に輝く星々が地球からの観測において配置されていくことなる仮想的な球面にあたる天球ごと東から西へと一日でほぼ一回転していくように観測されることになるのですが、
それに対して、
そうした太陽や月といった天体の日周運動における動きを無視して、星々が配置されている天球の位置の方を固定したうえで、そうした固定された天球の球面上における太陽や月の相対的な運動のあり方を考えていくと、
太陽は、地球の公転運動のあり方に基づいて、星々が配置されている天球上を西から東へと一年をかけて一周していく形で移動していくように観測されることになると考えられることになります。
そして、
そうした天球上における太陽の軌道、すなわち、地球の公転運動のあり方に基づく太陽の年周軌道のあり方を指して、黄道という言葉が用いられていると考えられることになるのです。
天球上における月の月周軌道としての白道の定義と天球上の位置関係
そして、それに対して、
こうした地球から観測されることになる天球上における太陽の年周軌道にあたる黄道と呼ばれる太陽の軌道のあり方に対して、
天球上における月の軌道のあり方のことを指して、白道という言葉が用いられることになると考えられることになるのですが、
こうした白道と呼ばれる天球上における月の軌道のあり方においては、月の公転運動のあり方に基づいて、月が天球上を西から東へとおよそ一月をかけて一周していく形で移動していくように観測されることになります。
ただし、実際には、
月が地球の周りを一周している間には、太陽も少しずつ黄道上を西から東へと移動していってしまうことになるため、
月の満ち欠けの周期に基づく太陰暦における一月にあたる朔望月(さくぼうげつ)が約29.5日であるのに対して、
こうした月が地球の周りを一周する周期にあたる恒星月(こうせいげつ)は、それよりも少し短い月の公転周期と同じ約27.3日の周期を描いていくことになると考えられることになります。
そして、上記の図において示したように、
こうした黄道と白道と呼ばれる天球上における太陽と月の軌道のあり方においては、
太陽の年周軌道にあたる黄道に対して恒星月としての月の月周軌道にあたる白道が約5.9度傾いた軌道として地球上からは観察されていくことになると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:黄道と白道の違いとは?②月の軌道が太陽の軌道と比べて不規則的で複雑な軌道を描く理由
前回記事:中秋節とは何か?日本における月見の慣習のあり方の違いと中秋の名月とお中元の慣習を合わせたような年中行事としての解釈
「天文学」のカテゴリーへ