線虫とは何か?糸状やひも状の形状をした脱皮動物に分類される寄生生活と土壌中や海底における自活生活を営む生物の種族
これまでの一連の記事のなかでは、原虫と吸虫と条虫と呼ばれる三つの寄生虫の種族について順番に取り上げてきましたが、
こうした人間における寄生虫感染症の原因となる寄生虫の種族としては、そのほかにも、もう一つ、線虫あるいは線形動物に分類される寄生虫の種族の名を挙げることができると考えられることになります。
それでは、
こうした線虫あるいは線形動物と呼ばれる寄生虫にも分類されることがある生物の種族は、具体的どのような特徴を持った生物の種族として位置づけられることになると考えられることになるのでしょうか?
糸状やひも状の形状をした脱皮動物に分類される生物の種族
まず、
こうした線虫あるいは線形動物と呼ばれる生物の種族の具体的な特徴としては、その名の通り、線形、すなわち、細長い糸状あるいはひも状の形状した生物であるという点が挙げられることになり、
その大きさは、体長1ミリメートルくらいの微小な線虫の種族から、成虫の体長が数メートルにもおよぶ巨大な線虫の種族まで、多様な大きさを持った種族が存在すると考えられることになります。
そして、
こうした線虫あるいは線形動物と呼ばれる生物における具体的な特徴としては、そのほかにも、
通常の場合は、無色透明である場合が多く、条虫などの他の寄生虫の種族にみられるような体節と呼ばれる区画構造は存在せず、全体が一つ続きとなった一体的な構造をしているといった点や、
生殖の面においては、通常の動物と同様に、メスの個体とオスの個体が別々に存在する雌雄異体で有性生殖を行う種族が多いものの、なかには、メスの個体が産んだ卵が受精を行わずにそのまま幼虫から成虫へと成長していく単位生殖によって増殖していく種族も存在するといった点などが挙げられることになります。
また、
こうした線形動物と呼ばれる生物の種族は、生物学的には、脱皮動物と呼ばれる生物のグループにも属していて、
セミやトンボといった昆虫や、ヘビやイモリといった爬虫類などと同様に、卵が孵化してから成虫になるまでの間に、脱皮を繰り返していくことによって成長していくことになると考えられることになるのです。
100万種から1億種にもおよぶ多様な線形動物の種類
また、
こうした線虫あるいは線形動物と呼ばれる種族に分類される一つ一つの生物の種類の数は、現在確認されているだけでもすでに1万種類を超える生物の種類の数が確認されていて、
実際には、少なくともその100倍以上、100万種から、さらに多い見積もりでは、1億種類にもおよぶ線形動物に分類される生物の種類が存在するといった推計もなされています。
そして、
こうした線形動物に分類される生物の種族には、原虫や吸虫や条虫といったその他の寄生虫の種族と同様に、人間を含む様々な動物や植物の体内に寄生することによって生活を営んでいる種族のほかに、
土壌中や海底の泥の中などにおいて、通常の動物と同様に、自活生活を営んでいる線形動物の種族も数多く存在していて、
実際には、
こうした線形動物に分類される生物の種類の大部分は、他の生物の体内に寄生する寄生生物ではなく、土壌中や海底において自活生活を営む生物の種族として分類されることになると考えられることになります。
しかし、その一方で、
現在までに知られている世界最大の線虫の種族は、プラセントネマ・ギガンティシマ(Placentonema gigantissima)と呼ばれるマッコウクジラに寄生する全長8メートルにもおよぶ線虫の種族であることが分かっているように、
寄生性の線虫の種族は、宿主となる生物の体の大きさに合わせて自分自身の大きさも変化させていくことになるので、
そうした全長が数メートルにもおよぶような巨大な線虫の種族には、前述した多数派の自活生活を営む線虫の種族ではなく、寄生生活を営む線虫の種族が多く分類されることになると考えられることになるのです。
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以上のように、
こうした線虫あるいは線形動物と呼ばれる生物の種族において見られる具体的な特徴について、一言でまとめると、
線虫あるいは線形動物とは、無色透明で、全体が一つ続きとなった一体的な構造をした細長い糸状あるいはひも状の形状した脱皮動物に分類される生物の種族であり、
人間を含む様々な動物や植物の体内において寄生生活を生物の種類以外にも、土壌中や海底において自活生活を営む生物の種類も数多く分類されることになるほか、
地球上には、100万種から最大で1億種にもおよぶ線形動物の種類が存在しているといった推計がなされているといった点が挙げられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:回虫の具体的な特徴とは?「回虫」という名前の由来と回虫によって引き起こされる寄生虫感染症の具体的な症状
前回記事:エキノコックスにおける単包条虫と多包条虫の具体的な特徴の違いとは?ラテン語の学名の由来と単包と多包という名称の由来
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