エキノコックスにおける単包条虫と多包条虫の具体的な特徴の違いとは?ラテン語の学名の由来と単包と多包という名称の由来

人間の小腸に寄生して寄生虫感染症を引き起こす原因となる条虫の一種であるエキノコックス属に分類される単包条虫多包条虫と呼ばれる二つの寄生虫の種族が人間に寄生するまでの感染経路や、

それぞれの条虫によって引き起こされる単包性エキノコックス症多包性エキノコックス症の具体的な症状のあり方などについては、

以前にも「寄生虫感染症の原因となる代表的な12の条虫の種類③」の記事のなかで詳しく取り上げてきましたが、

今回の記事では、

こうしたエキノコックス属に分類される二つの寄生虫の種族具体的な特徴の違いについて、それぞれの条虫の種類のラテン語に基づく学名の由来

そもそも、なぜ、単包条虫多包条虫という名称がつけられることになったのか?といった観点から改めてまとめて書いておきたいと思います。

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単包条虫の名称の由来と「顆粒状の包虫」のことを意味するラテン語における学名

まず、

こうしたエキノコックス属に分類される二つの寄生虫の種族のうちの前者である単包条虫(Echinococcus granulosus、エキノコックス・グラヌロサス)は、

成虫の大きさが体長27ミリメートルくらいで、体が1つの頭節3つの片節によって構成される小型の条虫の種族であり、

上述した単包条虫のラテン語に基づく正式な学名にあたるEchinococcus granulosus(エキノコックス・グラヌロサス)という名称に含まれているgranulosusとは、

ラテン語において「顆粒」「小さな粒」のことを意味する形容詞にあたる言葉であると考えられることになります。

そして、

エキノコックス属に分類される条虫の種族は、自らが寄生した宿主の体内において増殖していく際に、嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋状の組織を形成していくことになるのですが、

その際に、

単包条虫あるいはエキノコックス・グラヌロサスと呼ばれる条虫の種族の場合は、そうした嚢胞と呼ばれる一つの袋の中に、百個以上にも及ぶような無数の原頭節がつくられていく形で増殖していくことになるのですが、

このように、

一つの袋、すなわち、単包から複数の条虫の幼虫が孵化していくことになるために、こうした単包条虫という名で呼ばれることになったと考えられることになるのです。

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多包条虫の名称の由来と「多くの区画に仕切られた包虫」のことを意味するラテン語における学名

そして、それに対して、

こうしたエキノコックス属に分類される二つの寄生虫の種族のうちの後者である多包条虫(Echinococcus multilocularis、エキノコックス・マルチロクラリス)は、

成虫の大きさが体長1.24.5ミリメートルくらいで、体が1つの頭節2つから4つの片節によって構成される、前述した単包条虫よりもさらに小型の条虫の種族であり、

上述した多包条虫のラテン語に基づく正式な学名にあたるEchinococcus multilocularis(エキノコックス・マルチロクラリス)という名称に含まれている。

multi「多くの」「多数の」、そして、locularis「区画に仕切られた」といった意味を表す言葉であると考えられることになります。

そして、

こうした多包条虫あるいはエキノコックス・マルチロクラリスと呼ばれる条虫の種族は、宿主の体内において嚢胞と呼ばれる小さな袋状の組織自体を無数に形成し、そうした多数の嚢胞が密集していくような形で増殖していくことになるのですが、

このように、

多くの区画に仕切られていく形でできた多数の袋、すなわち、多包の一つ一つから条虫の幼虫が孵化していくことになるために、こうした多包条虫という名で呼ばれることになったと考えられることになるのです。

・・・

以上のように、

こうした単包条虫多包条虫と呼ばれる二つの寄生虫の種族における具体的な特徴の違いやラテン語や日本語における名称の由来について、一言でまとめると、

前者の単包条虫は、成虫の大きさが体長27ミリメートルくらいで、体が1つの頭節3つの片節によって構成される小型の条虫の種族であり、

宿主の体内で増殖していく際に、嚢胞と呼ばれる一つの袋すなわち、単包から複数の条虫の幼虫が孵化していくことから、

日本語においては単包条虫、ラテン語に基づく正式な学名においては「顆粒状の包虫」のことを意味するエキノコックス・グラヌロサス(Echinococcus granulosusという名称で呼ばれていると考えられるのに対して、

後者の多包条虫は、成虫の大きさが体長1.24.5ミリメートルくらいで、体が1つの頭節2つから4つの片節によって構成される、単包条虫よりもさらに小型の条虫の種族であり、

宿主の体内で増殖していく際に、密集した多数の嚢胞、すなわち、多包の一つ一つから条虫の幼虫が孵化していくことになることから、

日本語においては多包条虫、ラテン語に基づく正式な学名においては「多くの区画に仕切られた包虫」のことを意味するエキノコックス・マルチロクラリス(Echinococcus multilocularisという名称で呼ばれていると考えられるといった点に、

こうした二つの寄生虫の種族の両者における具体的な特徴の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:線虫とは何か?糸状やひも状の形状をした脱皮動物に分類される寄生生活と土壌中や海底における自活生活を営む生物の種族

前回記事:有鉤条虫と無鉤条虫の違いとは?カギサナダとカギナシサナダの具体的な特徴と英語とラテン語における別名

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