ワクチンと抗ウイルス薬の違いとは?予防薬と治療薬としての病原体となるウイルスに対して用いられる二つの薬剤の特徴の違い
インフルエンザや水ぼうそう、おたふく風邪や麻疹(はしか)や風疹(ふうしん)といった様々なウイルス性の感染症に対抗するために用いられる薬の種類としては、大きく分けて、
ワクチンと抗ウイルス薬と呼ばれる二つの薬剤の種類が挙げられることになると考えられることになります。
そして、
こうしたワクチンと抗ウイルス薬というそれぞれの薬における病原体となるウイルスに対する具体的なアプローチの仕方には、以下で述べるように、互いに大きな違いが見いだされることになると考えられることになります。
病原体の体内の細胞への感染を未然に防ぐ予防薬としてのワクチンの定義
まず、
こうした病原体となるウイルスに対して用いられる二つの薬剤の種類うちの前者であるワクチンは、
感染症の原因となるウイルスなどの病原体の毒性を弱めたり、薬物を用いることによってその感染力を不活化したりすることによってつくられる薬剤のことを意味する言葉であり、
こうしたワクチンと呼ばれる薬剤は、予防接種を通じて皮下注射などの形で人体の内部へと送り込まれることになります。
そして、
体内へと注入されたワクチンは、人体の内部に存在する免疫細胞の内に取り込まれることによって、免疫反応を引き起こさせる物質である抗原として記憶されることになり、
その後、
ワクチンの素となったウイルスなどの病原体が実際に体内へと侵入してきたときに、病原体に結合して免疫反応を引き起こす抗体と呼ばれる免疫兵器を人体における免疫系にいち早く生産させることによって、
そうしたウイルスなどの病原体がワクチンの接種を受けた人間の体内において感染を広げていくのを未然に防ぐという働きをもたらすことになると考えられることになるのです。
ウイルスの増殖を抑制する治療薬としての抗ウイルス薬の定義
そして、それに対して、
こうした病原体となるウイルスに対して用いられる二つの薬剤の種類うちの後者である抗ウイルス薬は、
病原体となるウイルスが人体に侵入したのちに、体内の細胞に感染を広げて増殖を繰り返していくようになった段階においてはじめて効力を発揮することになると考えられることになります。
こうした抗ウイルス薬と呼ばれる薬剤は、
すでに人体の細胞の内部に潜り込んだウイルスが自らの遺伝子の複製を行うプロセスや、宿主とされた細胞の内部で十分に増殖したウイルスが感染細胞の外へと飛び出そうする過程において用いられることになるウイルス側の酵素の働きなどを阻害することによって、
人間の体内においてすでに感染を広げつつあるウイルスの増殖を抑えてそうしたウイルスの病原体としての活動を無力化していくといった働きをもたらすことになると考えられることになるのです。
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以上のように、
こうしたワクチン抗とウイルス薬と呼ばれる病原体となるウイルスに対して用いられる二つの薬剤における具体的な特徴の違いとしては、
前者のワクチンは、ウイルスなどの病原体に実際に感染してしまう前にそうした病原体の存在を免疫細胞に抗原として記憶させることによって、
その病原体が実際に体内へと侵入してきた際に、免疫系にいち早く抗体を生産させて体内における感染が広がっていくのを未然に防ぐために用いられる予防薬である
のに対して、
後者の抗ウイルス薬は、病原体となるウイルスに実際に感染してしまった後で、体内においてそうしたウイルスが増殖していくことを抑制することによって病原体としての活動を無力化していくために用いられる治療薬である
といった点が挙げられることになると考えられることになるのです。
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