すべての感染症を地球上から根絶する三つの方法とは?①バクテリオファージを用いたすべての病原菌の地球上からの根絶

「風邪を治す特効薬が存在しない理由とは?」の記事で書いたように、風邪といった日常的にありふれた感染症を一つ例にとってみても、

そうした感染症の原因となっている細菌やウイルスのすべてを一気に死滅させてしまうような抗生物質や抗ウイルス薬の開発は難しいと考えられるように、

現代の医学の技術をもってしてもすべての感染症を一気に治してしまうような万能の治療薬のようなものを開発することはほとんど不可能であると言ってもいいほど困難なことであると考えられることになります。

しかし、その一方で、

こうした風邪などの日常的にありふれた感染症を含む細菌性およびウイルス性のあらゆる感染症に対する万能の治療薬のようなものをつくり出すことができないとしても、

そうした人間にとって有害なすべての感染症の原因となるあらゆる病原体を地球上から消し去ってしまおうとする医学的な試みは、

こうした細菌やウイルスといった病原体に化学物質や薬剤の力によって直接対抗する治療薬や特効薬の開発といった試みとはまったく別の方面からのアプローチを試みていくことも可能であると考えられることになります。

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細菌を捕食するウイルスとしてのバクテリオファージの働き

そうするとまず、

こうした人間にとって有害となる病原体を地球上から一気に駆逐していくための具体的な方法としては、その一つとして、

バクテリオファージ(bacteriophageと呼ばれるウイルスの一種を用いる方法が考えられることになります。

バクテリオファージとは、「細菌」のことを意味するbacteria(バクテリア)という単語と、「食い尽くすもの」「破壊するもの」といった意味を表すphage(ファージ)という単語が結びついてできた言葉であり、

その名の通り、細菌を捕食する働きをもったウイルスのことを意味する言葉であると考えられることになり、

より正確に言うならば、

こうしたバクテリオファージと呼ばれるウイルスの種族は、宿主となる細菌に寄生してその細胞の内部に潜り込んだのち、細菌の細胞の遺伝子複製システムを乗っ取ることによって自らのウイルスの仲間を大量に生産させたうえで、

最後には、細菌の細胞膜を破壊して外部へと飛び出していき、細菌の細胞が死細胞を残さずに溶けたように消滅していくという溶菌(ようきん)と呼ばれる現象を引き起こすことによって、宿主となった細菌を消し去ってしまうことになると考えられることになるのです。

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バクテリオファージを用いたあらゆる病原菌の地球上からの根絶

そして、

こうしたバクテリオファージと呼ばれるウイルスにおいては、通常のウイルスの場合とように、感染する相手、すなわち、宿主となる細菌の種族の範囲は極めて狭い細菌の種族の範囲に限定されることになるので、

例えば、

同じ大腸菌に分類される細菌の種族であっても、病原性のある大腸菌にだけ感染するバクテリオファージの種族を用いることによって、そのほかの通常の大腸菌の種族には影響を与えずに特定の病原性大腸菌のみを排除するといったことも可能であるというように、

人体にとって無害あるいは有益な活動を営んでいる細菌の種族の活動はしっかり保全しつつ、人体にとって有害である病原体となる細菌の種族のみを選択的に排除していくこともある程度可能であると考えられることになります。

つまり、

こうしたバクテリオファージと呼ばれるウイルスの種族に見られる細菌に対する選択的な捕食という性質をうまく利用していくことができれば、

人類にとって有害なあらゆる病原性細菌の種族のそれぞれに対応するバクテリオファージを発見する、あるいは、そうした特性をもったバクテリオファージを新たにつくり出していったうえで

地球上のいたるところに、こうした病原体となる細菌のみを食い尽くしていくようなバクテリオファージをばらまいていくことによって、

人類にとって有害な病原体となるすべての細菌の種族選択的に排除してくことができると考えられ、

最終的には、そうした細菌が原因となるあらゆる感染症を地球上から消し去ってしまうといったことも、理論上は十分可能であると考えられることになるのです。

・・・

しかし、その一方で、

たとえ、こうした特定の細菌を食い尽くしていくバクテリオファージと呼ばれるウイルスの機能を最大限に活かして人類にとって敵となるあらゆる有害な細菌たちをすべて駆逐することができたとしても

バクテリオファージと呼ばれるウイルスたちも、細菌や人間の細胞に寄生するウイルス自体に対しては効力を発揮することができないと考えられることになります。

したがって、

詳しくは、また次回の記事で改めて考えていくように、

細菌ではなくウイルスが病原体となる感染症を完全に撲滅していくためには、こうしたバクテリオファージといった細菌を捕食するウイルスを用いた方法とはまた別のアプローチの仕方が求められることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:すべての感染症を地球上から根絶する三つの方法とは?②母親から胎児への先天的な受動免疫の継承と細胞における免疫記憶

前回記事:ワクチンと抗ウイルス薬の違いとは?予防薬と治療薬としての病原体となるウイルスに対して用いられる二つの薬剤の特徴の違い

このシリーズの前回記事:風邪を治す特効薬が存在しない理由とは?ウイルス粒子の構造とウイルスの種類の多様性に起因する抗ウイルス薬の開発の難しさ

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