消毒と殺菌の違いとは?細菌とウイルスという病原体の種類の違いに応じた殺菌と消毒という二つの言葉の適用範囲の違い

前回の記事では、殺菌と滅菌という二つの言葉の具体的な意味の違いと、両者に分類される代表的な滅菌法と殺菌法の種類について詳しく取り上げてきましたが、

病原体となる細菌を死滅させることなどを通じて感染を防止する処置のあり方のことを意味する言葉としては、こうした殺菌と滅菌という言葉のほかにも、さらにもう一つ、消毒という概念の存在も挙げられることになります。

そして、

こうした殺菌消毒という二つの言葉は、そうした処置の対象となる病原体に対するアプローチの仕方に多少の違いが見られるほか、細菌とウイルスといった病原体の種類の違いに応じても、互いに少しずつ異なった意味を表す言葉として位置づけられることになると考えられるのです。

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手洗いは殺菌と消毒のどちらに分類されるのか?

まず、

こうした殺菌と消毒という二つの言葉の言葉自体の意味の違いとしては、

前者の殺菌という言葉は、そのまま文字通り、病原体となる細菌を殺すあるいは死滅させることを意味する言葉として定義されるのに対して、

後者の消毒という言葉は、対象物に付着している病原体を死滅させたり除去したりすることによって無毒化するといった意味を表す言葉として定義されることになると考えられることになります。

そして、

こうした殺菌と消毒という二つの言葉の具体的な定義に基づくと、

病原体となる細菌を直接的に死滅させる殺菌にあたる処置は、そのすべてが病原体を無毒化することを意味する消毒にあたる処置の内に含まれることになると考えられるのですが、

それに対して、

消毒の場合には、必ずしも殺菌の場合のように病原体となる細菌を直接的に死滅させることができなくても、そうした病原体の感染力を不活性化させてしまうといった処置や、病原体そのものの存在を感染の危険性のない位置まで遠ざけて除去してしまうことによっても病原体の感染力を消失させるという無毒化の目的を達成することができると考えられることになります。

例えば、

日常生活における手洗いのような行為においては、水と石けんで洗い流しただけでは手に付着した細菌が実際に死滅することにはならないと考えられるので、こうした行為を殺菌法として位置づけることはできないと考えられることになるわけですが、

その一方で、

こうした手洗いという行為においては、殺菌やウイルスは死滅していなくても、水で洗い流されて皮膚からは引き離さることによって人体に対する感染力を失うことにはなると考えられるので、

それは細菌やウイルスといった病原体における病原性を消失させるという消毒法の一つにあたる行為としては位置づけることができると考えられることになるのです。

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細菌とウイルスという病原体の種類の違いに応じた殺菌と消毒という二つの言葉の適用範囲の違い

また、

こうした殺菌と消毒という二つの言葉が適用される処置の範囲の違いは、細菌とウイルスといった病原体の種類の違いに応じても異なっていくことになると考えられます。

前述したように、

殺菌という言葉の場合には、それが病原体となる細菌を殺すという意味を表す言葉であることからも分かる通り、

殺菌にあたる処置の対象として位置づけられることになる病原体は細菌に限定されていて、ウイルス性の感染症の原因となるウイルスに対する処置については、厳密な意味においては、殺菌という言葉を用いることはできないと考えられることになるのですが、

それに対して、

消毒の場合には、無毒化の対象は細菌のみに限定されるとは定義されていないので、

細菌のほかにも、寄生虫などのその他の微生物ウイルス、あるいは、毒性を持った化学物質といった病気を引き起こす原因となる他の存在についても、

そうした病原体における毒性を除去することができる行為であるとすれならば、それは消毒にあたる処置として捉えることができると考えられることになります。

そして、

こうした殺菌と消毒という二つの言葉の厳密な定義に基づくと、

例えば、

結核菌や病原性の大腸菌による感染を防ぐためにアルコール消毒を行うといった処置は、それをアルコール殺菌を行う処置として言い換えても問題がないと考えられることになるのですが、

それに対して、

ノロウイルスによる感染を防ぐために次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄を行うといった消毒処置については、そうした処置のことを殺菌と呼ぶことはできないと考えられることになるのです。

・・・

以上のように、

こうした殺菌消毒という二つの言葉の具体的な意味の違いとしては、

前者の殺菌という言葉は、病原体となる細菌を殺すあるいは死滅させることを意味していて、そうした殺菌の対象となる病原体は細菌に限定されることになるのに対して、

後者の消毒という言葉は、対象物に付着している病原体を死滅させたり除去したりすることによって無毒化することを意味していて、消毒の対象となる病原体には細菌のほかにも寄生虫などのその他の微生物ウイルスあるいは毒性を持った化学物質なども含まれることになる

といった点が挙げられることになると考えられることになります。

そして、そういった意味では、

細菌という言葉よりも、消毒という言葉の方が、

 病原体へのアプローチの仕方の面においても、処置の対象となる病原体の種類といった面においても、より広い意味の広がりを持った概念として定義することができると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:殺菌・滅菌・抗菌・除菌・消毒の違いとは?病原体への処置の強力さの度合いの違いと細菌とウイルスに対する適用範囲の違い

前回記事:滅菌と殺菌の違いとは?両者の具体的な定義と代表的な滅菌法と殺菌法の種類

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