風疹とおたふく風邪における後遺症と不妊症や先天性疾患との関係とは?男性と女性の性別の違いに応じたリスクの高さの違い

前回書いたように、風疹とおたふく風邪特徴的な症状としては、

風疹の場合は、2~3週間程度といった比較的長い潜伏期間を経たのちに、一度軽く熱が出てから少し遅れて赤い斑点や点状の発疹が全身に広がっていくのに対して、

おたふく風邪流行性耳下腺炎)の場合は、1~2日程度という短い潜伏期間の後に、比較的すぐに、あごの下の耳下腺の部分が大きく腫れてくるのが特徴的な症状として挙げられることになります。

そして、

風疹とおたふく風邪は共に、その病気自体が患者自身の命に関わる重篤な症状を呈するケースは少ないものの、病気によってもたらされる後遺症が病気が完治した後の状況に重大な影響を与えるケースがしばしば出てきてしまう病気でもあります。

そこで今回は、風疹とおたふく風邪によってもたらされる合併症や後遺症には具体的にどのような種類があるのか?

そして、それぞれの感染症において生じる合併症や後遺症には、男性と女性という性別の違いに応じたリスクの高さの違いがあるのか?ということについて考えてみたいと思います。

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風疹とおたふく風邪における後遺症と不妊症や先天性疾患との関係

まず、

おたふく風邪流行性耳下腺)の原因となるムンプスウイルスの感染によって引き起こされる合併症と後遺症としては、

髄膜炎難聴、そして成人の場合では男性の不妊などが挙げられることになります。

ムンプスウイルスが耳下腺からリンパ管などを介して脳や脊髄内耳といった中枢神経系、さらには鼠径部などにも流れ込むことによって、それぞれの器官でウイルス性の炎症を引き起こし、

後遺症としては、頻度としてはあまり高くはないものの、ムンプス難聴とも呼ばれる高度感音性難聴(内耳から脳の聴覚中枢に至る部位の器質的な病変によって生じる聴覚障害)や、男性の不妊症を引き起こすことにもつながってしまうということになるのです。

一方、

風疹の原因となる風疹ウイルスの感染によって引き起こされる合併症としては、

関節炎や、急性脳炎のほか、ウイルスに対する人体の免疫反応が過剰になりすぎてしまい、それに伴って抗体が付着した血小板が破壊されてしまうことによって引き起こされる血小板減少性紫斑病なども挙げられることになりますが、

そうした合併症の中でも特に問題となるのが、妊娠している女性が風疹ウイルスに感染してしまった場合に胎児にも影響を及ぼしてしまう先天性風疹症候群ということになります。

先天性風疹症候群の場合は、当人もまだ自分自身の妊娠に気づいていないくらいの状態も含めた妊娠初期の段階における感染が特に問題となり、

妊娠11~16週くらいでの感染では胎児の先天性風疹症候群の発症は10~20%程度にとどまるのに対して、

妊娠10週までの妊婦の感染では、胎児の先天性風疹症候群の発症率は90%近くにもおよんでしまうことになります。

先天性風疹症候群を発症してしまった胎児における先天性疾患としては、心奇形難聴、先天性の白内障などが多く見られることになりますが、

その他にも、先天性の緑内障や網膜症、脳性麻痺や髄膜炎、先天性の糖尿病といった様々な障害や合併症が生じてしまうリスクが高まってしまうことになります。

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男性と女性の性別の違いに応じたリスクの高さの違い

以上のように、

おたふく風邪流行性耳下腺炎)によって引き起こされる合併症や後遺症としては、髄膜炎や難聴のほかに、成人の男性が感染してしまった場合には、不妊症の原因となることが挙げられますが、

それに対して、

風疹の場合には、関節炎や急性脳炎、血小板減少性紫斑病といった合併症のほかに、特に妊娠している女性が感染してしまった場合に生じる先天性風疹症候群と呼ばれる胎児の先天性疾患が大きな問題となります。

つまり、

おたふく風邪によって生じる後遺症と、風疹によって生じる合併症には、男性と女性という性別の違いに応じてリスクの高さに大きな違いがみられるということであり、

おたふく風邪は男性に、風疹は女性に対して感染した場合により深刻なリスクをもたらす病気であると考えられることになるのです。

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次回記事風邪の原因となる主要な三つのウイルスの種類とは?鼻・のど・せきの症状を引き起こす代表的なウイルス

前回記事:麻疹と風疹とおたふく風邪の違いとは?RNAウイルスの代表的な種類③、DNAウイルスとRNAウイルス⑦

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