麻疹と風疹とおたふく風邪の違いとは?RNAウイルスの代表的な種類③、DNAウイルスとRNAウイルス⑦

前回書いたように、

RNAウイルスの代表的な種類としては、まずは、鼻かぜや腹かぜ呼吸器疾患といった日常的な感染症を引き起こすウイルスとして、

鼻かぜの原因となるライノウイルス、冬場の腹かぜの原因となるノロウイルスと夏場の腹かぜの原因となるエコーウイルス、咳きかぜやウイルス性の肺炎の原因となるコロナウイルスといったウイルスの名前が挙げられることになります。

そして、

その他に、比較的日常生活でも出くわしてしまう可能性が高い一般的なウイルス感染症の種類としては、

麻疹の原因となる麻疹ウイルスや、風疹の原因となる風疹ウイルス、おたふく風邪を引き起こすムンプスウイルスなどの名前が挙げられることになります。

今回は、これらの三種類のウイルスについて、ウイルス自体の構造の違いと、それぞれのウイルスがもたらす病気の症状の共通点と相違点について考えていきたいと思います。

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麻疹・風疹・ムンプスウイルスの構造上の違いとは?

麻疹ウイルス風疹ウイルスムンプスウイルスは、ウイルスの遺伝子構造という大きな枠組みではすべてRNAウイルスに分類されるウイルスですが、

より細かい分類で言うと、麻疹ウイルスムンプスウイルスは共に、モノネガウイルス目パラミクソウイルス科に分類されるウイルスであるのに対し、

風疹ウイルスの方は、両者とは異なる系統であるトガウイルス科に分類されるウイルスであるという点に違いが見られることになります。

パラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスムンプスウイルスも、トガウイルス科に属する風疹ウイルスも、エンベロープと呼ばれるウイルス膜を持つタイプのウイルスであり、

ウイルス表面にあるスパイクと呼ばれるトゲ状の突起を使って宿主となる細胞に取り付いたうえで、自分のウイルス膜と宿主の細胞膜を融合させることによって細胞内に潜り込み、細胞質の内部で増殖することによって感染を広げていくタイプのウイルスということになります。

しかし、

パラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスムンプスウイルスの場合は、ウイルスの大きさは一辺が150350ナノメートルくらいの不定形の形をとるのに対して、

トガウイルス科に属する風疹ウイルスの場合は、ウイルスの大きさは直径70ナノメートルくらいの球形の形をしているという点に違いが見られることになります。

ナノnano)」とは10億分の1を表す単位であり、1ナノメートル(1nmは10億分の1メートル(0.000000001m)、すなわち、100万分の1ミリメートル(0.000001mmに相当します。したがって、麻疹ウイルスやムンプスウイルスの大きさである150350nmをより一般的な単位であるミリメートルで表すと、0.000150.00035mmということになります。

つまり、

麻疹の原因となる麻疹ウイルスとおたふく風邪の原因となるムンプスウイルスが両者ともパラミクソウイルス科という同じ分類に属するウイルスであり、不定形の形をとる比較的大きめのウイルスであるのに対して、

風疹の原因となる風疹ウイルスは、同じRNAウイルスであるとはいっても、上記の二つのウイルスとは異なる系統であるトガウイルス科に属するウイルスであり、球形の形をした小さめのウイルスであるという点に、両者のウイルスの構造上の違いがあるということになるのです。

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麻疹と風疹とおたふく風邪の症状の特徴の比較

ウイルス自体の構造としては非常に似通っている麻疹ウイルスムンプスウイルスですが、

それぞれのウイルスがもたらす感染症の症状としては、両者のウイルスがもたらす疾患にはあまり似ている点は見られないことになります。

まず、麻疹ウイルスによって引き起こされる麻疹ましん、はしか)の場合は、

12週間程度の潜伏期間を経たのちに、発症すると38℃前後の熱が34日間続くことになり、

その後いったん熱が下がった後に、再び3840℃程度の高熱が出ると同時に、体幹から顔面、手足へと赤い斑点のような発疹が広がっていくのが麻疹の特徴的な症状となります。

それに対して、ムンプスウイルスによって引き起こされる流行性耳下腺炎(英語でムンプス(mumps))、いわゆるおたふく風邪の場合には、

12日程度の潜伏期間の後に、比較的すぐに、下あごと首の境目にある耳下腺じかせん)と呼ばれる唾液腺の部分が大きく腫れてくるケースが多く、その後3839℃前後の発熱が3 5日間続いた後に徐々に軽快へと向かい、それに伴って唾液腺の腫れも消失していくことになります。

ちなみに、この感染症が「おたふく風邪」という名称で呼ばれるようになった理由としては、

あごの下にある耳下腺が腫れて膨らんでいく様子が「おかめお亀)」や「おたふくお多福)」と呼ばれる下膨れの顔をした女性のお面の姿に似ていることからこのように呼ばれるようになったと考えられることになります。

一方、

麻疹の症状に似ている感染症としては、麻疹ウイルスとはウイルスの構造自体は異なっている風疹ウイルスが原因となる風疹の方が非常に似た症状をもたらす疾患として挙げられることになります。

風疹は、別名「三日はしか」と呼ばれることもあるように、症状の特徴も病状の経過も麻疹と非常によく似た進行をたどることになるのですが、

風疹の場合は、2 3週間程度の潜伏期間を経たのちに、発症すると微熱などの風邪のような症状リンパ節の腫れなどが1日~数日程度続き、

その後、3839℃前後の発熱と共に、顔や耳の後ろの部分から全身へと赤い斑点や点状の発疹が広がっていくことになります。

ちなみに、この感染症が「三日はしか」と呼ばれる理由としては、

麻疹(はしか)において発疹が出現してから退色して皮がむけるようにして元の皮膚の状態へと戻っていくまでには12週間程度という比較的長い期間がかかるのに対して、

風疹の場合は、発疹が出現しても35日程度という比較的短期で消失するという発疹が出ている期間の長さの違いにその由来があると考えられることになります。

つまり、

発疹が出る期間が1~2週間程度と比較的長く続く麻疹(はしか)に対して、風疹の場合は発疹が三日程度という短期間で消えてしまうことから、

三日で発疹が消えてしまう麻疹(はしか)」という意味で、風疹が「三日はしか」とも呼ばれるようになったと考えられるということです。

・・・

以上のように、

おたふく風邪の場合は、1~2日程度という短い潜伏期間の後に、比較的すぐに、あごの下の耳下腺の部分が大きく腫れてくるのが特徴的な症状であるのに対して、

麻疹と風疹の場合は、1~3週間程度といった比較的長い潜伏期間を経たのちに、一度熱が出てから数日後に少し遅れて赤い斑点や点状の発疹が全身に広がっていくのが特徴的な症状であるという点に、

麻疹と風疹、そして、おたふく風邪という三つの感染症の共通点と相違点が見られることになるのです。

・・・

次回記事風疹とおたふく風邪における後遺症と不妊症や先天性疾患との関係とは?男性と女性の性別の違いに応じたリスクの高さの違い

前回記事:鼻かぜと腹かぜ、呼吸器系統の疾患を引き起こす代表的なウイルスとは?RNAウイルスの代表的な種類②、DNAウイルスとRNAウイルス⑥

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