鼻かぜと腹かぜ、呼吸器系統の疾患を引き起こす代表的なウイルスとは?RNAウイルスの代表的な種類②、DNAウイルスとRNAウイルス⑥

前回書いたように、

ウイルスの多数派を占めるRNAウイルスを代表するウイルスとしては、流行の規模の大きさと感染者数の多さ、症状の重さなどから総合的に見て、まずはインフルエンザウイルスの名が挙げられることになります。

そして、

RNAウイルスには、人間に関係の深いウイルスだけに絞っても、インフルエンザウイルスの他にも様々な種類のウイルスが分類されることになるのですが、

今回は、その中でも、鼻風邪腹風邪呼吸器系統の疾患を引き起こすウイルスといった比較的日常的にもよく見られる感染症を引き起こしやすいウイルスを中心に取り上げていきたいと思います。

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鼻かぜと腹かぜの原因となるウイルスとは?

日常生活の中で感染してしまう機会が多いRNAウイルスに分類される代表的なウイルスの種類としては、インフルエンザウイルスの他には、まずは、

風邪を引き起こす代表的なウイルスであるライノウイルスの名が挙げられることになります。

ライノウイルスは、風邪を引き起こすウイルスの中でも、特に、鼻やのどといった上気道を好んで感染を広げていくウイルスであり、

風邪の中でも最も一般的な種類である鼻かぜの原因となるウイルスということになります。

これに対して、

腹かぜの原因となるウイルスには、比較的多くの種類が存在し、そのうちの代表的なウイルスの種類としては、ノロウイルスロタウイルスエコーウイルスといった名前が挙げられることになります。

このうち最初に挙げたノロウイルスは、

主に11月から2といった冬場の時期ウイルス性の急性胃腸炎を引き起こし流行を広げるウイルスであり、食中毒の原因にもなるウイルスとなっています。

そして、次のロタウイルスも、ノロウイルスと同様にウイルス性胃腸炎の原因となるウイルスですが、

こちらの場合は、特に、乳幼児に重篤な下痢の症状を引き起こすウイルスであり、赤ちゃんや子供が感染してしまった場合には、脱水症状などが出てしまわないように、より注意を払う必要があるウイルスということになります。

それに対して、

エコーウイルスの方は、主に夏場に流行を広げ、下痢や腹痛を引き起こすウイルスであり、

ノロウイルスが冬場の腹風邪を引き起こす代表的なウイルスであるとするならば、エコーウイルスは夏場の腹風邪を引き起こす代表的なウイルスということになります。

・・・

ちなみに、

エコーウイルスが属するウイルスの種族であるエンテロウイルス属には、他に、

乳幼児期に多く感染し、手の平足の裏口内に水疱を生じさせる特徴的な症状で知られる手足口病を引き起こすウイルスであるコクサッキーウイルスや、

やはり幼年期に多く感染し、風邪のような症状が出た後に運悪くウイルスが中枢神経に侵入してしまった場合には脊髄などに急性灰白髄炎を引き起こし、手足の麻痺といった、いわゆる小児麻痺を後遺症として生じさせてしまう恐れのあるポリオウイルスなども分類されることになります。

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コロナウイルスが引き起こす呼吸器疾患とSARSとMERS

他に、RNAウイルスの中で呼吸器疾患に関わるウイルスというと、

例えば、

冬場に感染しやすく、咳などの症状や、重症化すると肺炎などを引き起こすこともあるコロナウイルスの名が挙げられることになりますが、

コロナウイルスの中には、近年発見された、より重篤な肺炎の症状を引き起こしやすい種類である新型コロナウイルスと呼ばれるウイルスの種類も存在します。

2002年~2003にかけて中国の広東省を中心に流行した重症急性呼吸器症候群 (Severe Acute Respiratory Syndrome、略称:SARS(サーズ)) では、

38℃を超える高熱と重篤な肺炎、深刻な呼吸困難などによって、多くの人が苦しみ、感染者8069人のうち、775人が死亡するという致死率がおよそ10%にものぼる甚大な被害がもたらされました。

そして、その10年後の2012には、今度は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦などの中東地域を中心に中東呼吸器症候群Middle East respiratory syndrome、略称:MERS(マーズ))が流行を広げ、

こちらの場合は、重症の肺炎と共に下痢や腎障害などの症状も引き起こされ、MERSの方は、2015年6月現在までに、感染者数は1293人とSARSよりも感染者の総数は現時点では少ないものの、そのうち死者数は458人となっていて、3040%という極めて高い致死率がもたらされる病気となっています。

そして、

このSARSMERSと呼ばれる新型肺炎の原因となったウイルスであるSARSウイルスとMERSウイルスは、

それぞれ、正式な名称としては、SARSコロナウイルスMERSコロナウイルスと呼ばれるウイルスであり、両者とも、コロナウイルスの一種に分類されるウイルスということになるのです。

・・・

以上のように、

RNAウイルスの代表的な種類としては、まずは、鼻かぜや腹かぜといった日常的な感染症を引き起こすウイルスとして、

鼻かぜの原因となるライノウイルス、冬場の腹かぜの原因となるノロウイルスと夏場の腹かぜの原因となるエコーウイルス、乳幼児に重篤な下痢の症状を引き起こすロタウイルスといったウイルスの名が挙げられることになります。

そして、

エコーウイルスと同様にエンテロウイルス属に分類されるウイルスとして、手足口病を引き起こすコクサッキーウイルスと、小児麻痺の原因ともなるポリオウイルス

さらに、呼吸器疾患に関わるウイルスとして、SARSMERSといったウイルス性の新型肺炎の原因となったコロナウイルスの名が挙げられることになるのです。

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次回記事麻疹と風疹とおたふく風邪の違いとは?RNAウイルスの代表的な種類③、DNAウイルスとRNAウイルス⑦

前回記事:人類史上最悪のパンデミックを引き起こしたウイルスとは?RNAウイルスの代表的な種類①、DNAウイルスとRNAウイルス⑤

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