現在の日本が目指すべき新型コロナウイルスの終息への道筋とは?四つのパターンに基づく流行の終息までのアウトライン
前回の記事で書いたように、今回の新型コロナウイルスの世界的な流行がこのまま定在化していくことになり、
毎年流行する季節性のインフルエンザのように、人類がこのウイルスと共存していくような状態になる可能性は現時点ではまだ低いと考えられる。
したがって、
今回の新型コロナウイルスの流行は、遅かれ早かれ、何らかの形での終息へと向かっていくことにはなると考えられるのだが、
そこで問題となるのは、具体的にどのような形で流行の終息がもたらされることになるのか?ということにある。
現在の日本が目指すべき新型コロナウイルスの流行の終息への道筋とは、具体的にどのようなものであると考えられるのだろうか?
四つのパターンに基づく感染症の流行の終息までのアウトライン
前々回の記事で書いたように、新型コロナウイルスの流行が終息する道筋としては、具体的には以下のような四つのパターンが考えられることになる。
それは、
①ウイルスの封じ込めによる終息
②集団免疫の強化による終息
③ウイルスの弱毒化による終息
④ワクチンや治療薬の開発による終息
という全部で四つの終息のパターンである。
例えば、
新型コロナウイルスの最初の流行地となった中国の武漢において行われた都市封鎖というのは、①のウイルスの封じ込めによる終息を目指した最も分かりやすい措置ということになり、
それに対して、すでに大規模な感染拡大が進んでいて十分な隔離措置を行うことが不可能となった当時の武漢市の内部や、現在のイタリア国内などにおいては、
死亡者と重症者をなるべく減らして、早期にできるだけ多くの感染拡大の防波堤となる免疫を持った回復者を社会の内へと戻していくことによって②の集団免疫の強化による終息を目指す段階へと移行していくことになる。
そして、
そうした①のウイルスの封じ込めへとつながる隔離や移動制限などの措置や、②の集団免疫の強化へとつながる重症者への集中的な治療といった措置を講じることによって社会全体が総力を挙げてウイルスと格闘している間に、
運が良ければ、
突然変異による③のウイルスの弱毒化や、④のワクチンや治療薬の開発といった事態が新たに起きることによって、感染症の流行のより早期の終息がもたらされることになると考えられるのである。
現在の日本が目指すべき新型コロナウイルスの終息への道筋
それでは、
こうした①~④までの四つの終息のパターンのうち、現在の日本が目指すべき新型コロナウイルス流行の終息への道筋は具体的にどのパターンになるのか?というと、
まず、
②の集団免疫の強化による終息のパターンについては、確かに有効性は高いものの、その前提として、社会の内に多くの感染者が出てしまうことになり、
その分だけで社会全体における人的被害や経済的損失も大きくなってしまうことになるので、感染拡大の早期からあまり積極的に目指していくべき終息への道筋とは言えない。
そして、それに対して、
③のウイルスの弱毒化や、④のワクチンや治療薬の開発といった終息のパターンについても、なかなか意図的に早期に実現させることができるというものでもないため、
やはり、
現在の日本国内においては、イベントの自粛や不要不急の外出の自粛、必要に応じた適切な範囲でのウイルス検査や積極的疫学調査による感染者の隔離といった
①のウイルスの封じ込めへとつながる対策をひたすら根気強く丁寧に行っていくことが最も重要な終息への近道となると考えられる。
そして、
そうした国内におけるウイルスの封じ込め対策を粘り強く行っているうちに、感染拡大が進んでいる世界の他の国々や地域、あるいは、日本国内においても集団免疫が少しずつ強化されていくことによって流行が鈍化していき、
最後には、ウイルスの弱毒化やワクチンや治療薬の開発といった事態が決め手となることによって完全な終息へと至るというのが、
現在の日本においては最も望ましい新型コロナウイルス流行の終息への道筋であると考えられることになるのである。
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次回記事:新型コロナウイルスの流行はいつ終息するのか?スペイン風邪や新型インフルなどの過去の事例と気温と湿度の条件に基づく推定
前回記事:新型コロナウイルスの流行がこのまま定在化することがない理由:古代の疫病の流行の終息とインフルエンザの毎年の流行の本質
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