コロナウイルスの名前の由来とは?ギリシア語とラテン語の語源と太陽のコロナやノルウェーの通貨との関係
以前に「風邪の原因となる四つの代表的なウイルスの種類」の記事などで書いたように、
冬のせき風邪の原因となる代表的なウイルスの一つであると同時に、SARSやMERSあるいは2019-nCoVといった比較的症状が重い肺炎の原因となることもあるウイルスの種類としてはコロナウイルスの名が挙げられることになりますが、
こうしたコロナウイルスと呼ばれるウイルスの名前は、その大本の語源となる意味においては、ギリシア語やラテン語における以下のような言葉に由来する名前であると考えられることになります。
コロナウイルスのラテン語とギリシア語に基づく語源と由来
そうすると、まず、
こうしたコロナウイルス(Coronavirus)というウイルスの名称は、
ラテン語において王冠や花冠のことを意味するコロナ(corona)と、もともとは毒液や粘液のことを意味していたvirus(ウイルス)という単語が結びついてできた言葉にあたり、
こうしたラテン語におけるコロナ(corona)という言葉は、さらにその大本の語源においては、
古代ギリシア語において鳥の曲がった嘴や船の曲がった船尾の部分などといった何らしかの湾曲した形のことを意味するコロネー(κορώνη)という単語に由来する言葉であると考えられることになります。
そして、
こうした古代ギリシアにおけるコロネー(κορώνη)や、ラテン語におけるコロナ(corona)という単語に基づいて、
太陽の周囲を取り巻いて真珠色に輝いているように見える高温のガスの層にあたる太陽の光の輪のことを指してコロナ(corona)という言葉が用いられることもあるのですが、
こうしたコロナウイルスと呼ばれるウイルスは、ビリオン(virion)と呼ばれるウイルスの粒子構造がラテン語におけるコロナ(corona)が直接的に意味することになる王冠や花冠あるいは太陽のコロナの光輪のように輝いて見えるため、
こうしたコロナウイルス(Coronavirus)というウイルスの名称が付けられることになったと考えられることになるのです。
(左図:コロナウイルス:出典:Wikimedia Commons:
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:MERS_Coronavirus_Particle_(14702606627).jpg Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus particle envelope proteins immunolabeled with Rabbit HCoV-EMC/2012 primary antibody and Goat anti-Rabbit 10 nm gold particles. Credit: NIAID, 2014)
(右図:太陽のコロナ:出典:Wikimedia Commons:
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Solar_eclipse_1999_4.jpg Total Solar eclipse 1999 in France. Credit: Luc Viatour)
ラテン語のコロナに由来する英語のカローラとノルウェー語のクローネ
ちなみに、
こうしたコロナウイルスというウイルスの名称の語源となったラテン語のコロナ(corona)から派生した言葉としては、
その他にもトヨタのクラウン(王冠)とコロナ(太陽冠)に続くセダンを中心とする乗用車のブランド名として有名な英語におけるカローラ(corolla)や、
デンマークやノルウェーやスウェーデンといった北欧諸国の通貨にあたるクローネ(krone)といった単語も挙げられることになります。
そして、
こうした英語におけるcorollaと、ノルウェー語やデンマーク語におけるkroneという二つの言葉は、
どちらの単語もその言葉自体のもともとの意味としては、花冠すなわち一つの花を構成している花びら全体のことを意味する言葉であったと考えられることになるのです。
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