細菌の大きさはどのくらいのなのか?代表的な60種類の細菌の大きさの比較
前回までの一連の記事では、球菌・桿菌・らせん菌といった一般的な細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類について詳しく考察してきましたが、
こうした細菌と呼ばれる生物のグループに分類されることになる病原体や常在菌は、一般的に言って、だいたいどのくらいの大きさをしていると考えられることになるのでしょうか?
今回の記事では、これまでに取り上げてきた全部で60種類にもおよぶ代表的な細菌の種類について、それぞれの細菌の細胞体の直径や長径の長さが長い順にランキング形式でまとめて図示していく形で細菌の大きさの比較を行っていきたいと思います。
球菌・桿菌・らせん菌に分類される代表的な60種類の細菌の大きさの比較
桿菌に分類される細菌の大きさ=1~10マイクロメートル
そうすると、まず、
詳しくは「桿菌に分類される細菌の大きさの比較」の記事で詳しく考察したように、
こうした球菌・桿菌・らせん菌という三つの細菌のグループのなかでも、最も多くの細菌の種類が分類されることになる細胞の形が細長い棒状の形状をした桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の大きさとしては、
例えば、
大腸菌の長径の長さが約4マイクロメートル、サルモネラ菌の長さは2マイクロメートル、乳酸桿菌やビフィズス菌の長さは1~2マイクロメートルであるというように、
細菌の細胞体の長径の長さが1~4マイクロメートルほどの長さの細菌の種類が最も多く分類されていると考えられることになります。
しかし、その一方で、
こうした桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる細菌のなかには、炭疽菌などのように、大きいものでは細胞体の長径の長さが10マイクロメートルに達する細菌の種類も含まれることになるのです。
球菌に分類される細菌の大きさ=0.6~1.2マイクロメートル
そして、それに対して、
詳しくは「球菌に分類される細菌の大きさの比較」の記事で詳しく考察したように、
細胞の形が球形の形状をした球菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の大きさとしては、
例えば、
黄色ブドウ球菌などのブドウ球菌や、肺炎球菌などの連鎖球菌に分類される細菌などがそうであるように、ほとんどの球菌の種類がだいたい直径1マイクロメートルくらいの大きさをしていると考えられることになります。
その一方で、
こうした球菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる細菌のなかには、直径0.6~0.8マイクロメートルくらいの大きさをした髄膜炎菌や、直径0.6~1.0マイクロメートルくらいの大きさをした淋菌などのように、比較的小さめの大きさをした細菌の種類も分類されることになるのです。
らせん菌に分類される細菌の大きさ=1~100マイクロメートル
そして、それに対して、
詳しくは「らせん菌に分類される細菌の大きさの比較」の記事で詳しく考察したように、
細胞の形がらせん状の形状をしたらせん菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の大きさとしては、
例えば、
カンピロバクターの細胞体の長さが1~5マイクロメートル、ピロリ菌の長さが2.5~5マイクロメートルくらいであるのに対して、梅毒トレポネーマなどのスピロヘータの長さは約10マイクロメートルであるというように、
細菌の細胞体の長さが1~10マイクロメートルほどの長さの細菌の種類が多く分類されていると考えられることになります。
しかし、その一方で、
こうしたらせん菌と呼ばれる細菌の種族は、グルグルととぐろを巻いたヘビや針金を巻いたコイルのような形状をとることによって、球菌や桿菌といったその他の細菌の種族と比べてかなり長い細胞体の構造を形成していくことがあるため、
イカやタコなどといった水生の軟体動物に寄生するらせん菌の一種であるクリスティスピラのように、体長が100マイクロメートルを超えるようなかなり大型の細菌の種類も分類されることになると考えられることになるのです。
リケッチアとマイコプラズマとクラミジアの大きさ=0.1~0.5マイクロメートル
そして、その一方で、
多様な細菌の種類のなかには、こうした球菌・桿菌・らせん菌という三つの細菌のグループのいずれにも分類することができない特殊な性質を持った細菌の種類も存在していて、
そうした球菌・桿菌・らせん菌といった一般的な細菌のグループに分類することができない代表的な細菌の種類としては、リケッチアとマイコプラズマとクラミジアという三つの細菌の種族の名が挙げられることになります。
そして、このうち、
リケッチアの大きさは直径0.3~0.5マイクロメートルくらい、マイコプラズマの大きさは直径0.1~0.3マイクロメートルくらい、クラミジアの大きさは直径0.3マイクロメートルくらいであるというように、
こうしたリケッチアとマイコプラズマとクラミジアと呼ばれる細菌の種族は、直径0.1~0.5マイクロメートルほどの大きさの微小な細菌の種族として位置づけられることになると考えられることになるのです。
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以上のように、
こうした球菌・桿菌・らせん菌といった細菌の形態的な分類のあり方に基づいて細菌の大きさを比べていった場合、上述したように、
球菌に分類される細菌の大きさは直径0.6~1.2マイクロメートル
桿菌に分類される細菌の大きさは長径1~10マイクロメートル
らせん菌に分類される細菌の大きさは長径1~100マイクロメートル
上記のいずれにも分類することができない微小な細菌の種族であるリケッチアとマイコプラズマとクラミジアの大きさは直径0.1~0.5マイクロメートルくらいの大きさをしていると捉えることができると考えられることになります。
そして、こうしたことを考え合わせていくと、上記の図において示したように、こうした細菌と呼ばれる生物の種族には、
小さいものではマイコプラズマのように直径0.1マイクロメートルにも満たないような微小な細菌の種類もあれば、
大きいものでは炭疽菌やスピロヘータなどのように長さ10マイクロメートルから100マイクロメートルにもなるような細菌の種類もあるように多様な大きさをした細菌の種類が分類されることになる一方で、
一般的な細菌の大きさは、だいたい直径1マイクロメートルくらいの大きさをしているものが一番多いと結論づけることができると考えられることになるのです。
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次回記事:グラム陽性菌という名称の具体的な由来と、細菌の細胞が紫色に染色されたまま残る理由とは?
前回記事:球菌・桿菌・らせん菌に分類される代表的な細菌の種類のまとめ、60種類の代表的な細菌の細胞の形状の違いに基づく分類
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