球菌・桿菌・らせん菌に分類される代表的な細菌の種類のまとめ、60種類の代表的な細菌の細胞の形状の違いに基づく分類
このシリーズの初回から前回までの一連の記事では、人間に対する感染症の原因となる細菌や皮膚や腸内などに生息する常在菌として位置づけられることになる様々な細菌の種類のうち、
球菌・桿菌・らせん菌、そして、そのいずれにも分類することができないにあたるリケッチア・マイコプラズマ・クラミジアと呼ばれる特殊な細菌の種族の具体的な特徴と、それぞれの細菌のグループに分類される代表的な細菌の種類について順番に詳しく考察してきましたが、
今回の記事では、
そうした球形や棒状あるいはらせん形といった細胞の形態的な特徴から見た細菌の種類の分類のあり方に関する総まとめとして、
こうした球菌・桿菌・らせん菌という三つの細菌のグループ、そして、そのいずれにも分類することができないその他の特殊な細菌の種族を含めた
全部で60種類にもおよぶ代表的な細菌の種類について、体系的に図示していく形でまとめて記述していきたいと思います。
球菌・桿菌・らせん菌に分類される代表的な細菌の種類のまとめ
そうすると、まず、
人間に対する感染症の原因となる細菌や皮膚や腸内などに生息する常在菌として位置づけられることになる代表的な細菌の種類としては、上記の図において示したように、
球菌に分類されることになる12種類の細菌の種類と、桿菌に分類されることになる36種類の細菌の種類と、らせん菌に分類されることになる8種類の細菌の種類、
さらにその他に、そうした一般的な細菌のグループのいずれにも分類されることができないリケッチア・マイコプラズマ・クラミジアと呼ばれる3種類の特殊な細菌の種族という全部で60種類の細菌の種類の名を挙げていくことができると考えられることになります。
球菌に分類される代表的な細菌の種類のまとめ
まず、
こうした球菌・桿菌・らせん菌という三つの細菌のグループのうちのはじめに挙げた
球菌(きゅうきん、coccus、コッカス)と呼ばれる細胞の形が球形の形状をした細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類としては、
詳しくは、「球菌に分類される12種類の代表的な細菌の種類のまとめ」の記事で考察したように、
ブドウ球菌に分類されることになる黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、腐性ブドウ球菌、レンサ球菌に分類されることになる肺炎球菌や化膿レンサ球菌、
その他にも、髄膜炎菌や淋菌、ミュータンス菌、カタル球菌、乳酸球菌、腸球菌、ペプトコッカスといったといった全部で12種類の代表的な球菌の種類が挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、例えば、
黄色ブドウ球菌と呼ばれる細菌は、皮膚や消化管、喉や鼻の粘膜や毛髪といった人間を含む様々な動物の体の内外に広く分布する常在菌の一種として位置づけられると同時に、手足などにすり傷などのケガをした場合に傷口の化膿の原因となるほか、食品中においてエンテロトキシンと呼ばれる毒素を生産しながら増殖することによって食中毒の原因菌ともなる細菌の種類として位置づけられていて、
肺炎球菌と呼ばれる細菌は、人間の喉や鼻などの粘膜に常在している連鎖球菌の一種であり、免疫機能が低下した際などに、喉や鼻の粘膜から気管や肺といった呼吸器への感染を広げていくことによって、高熱や痰を伴う湿った咳といった症状を伴う肺炎の原因菌となる細菌の種類としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
桿菌に分類される代表的な細菌の種類のまとめ
そして、その次に挙げた
桿菌(かんきん、bacillus、バチルス)と呼ばれる細胞の形が桿状、すなわち、細長い棒状の形状した細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類としては、
詳しくは、「桿菌に分類される36種類の代表的な細菌の種類のまとめ」の記事で考察したように、
大腸菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、セレウス菌、クロストリジウム属に分類されることになるボツリヌス菌、ウェルシュ菌、破傷風菌、
マイコバクテリウム属に分類される結核菌とらい菌に、ヘモフィルス属に分類されるインフルエンザ菌と軟性下疳菌、その他にも、百日咳菌、肺炎桿菌、緑膿菌、レジオネラ菌、ジフテリア菌、リステリア菌、ブルセラ菌、ペスト菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフス菌、炭疽菌、ビブリオ・バルニフィカス、
さらには、枯草菌、納豆菌、乳酸桿菌、ビフィズス菌、セラチア菌、エンテロバクター、バクテロイデス、フゾバクテリウム、プレボテラ、プロテウス菌、アシネトバクター、アクネ菌といった全部で36種類にもおよぶ代表的な桿菌の種類が挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、例えば、
大腸菌と呼ばれる細菌は、人間や動物の腸内に生息する常在菌の一種として位置づけられる一方で、O157などで有名な腸管出血性大腸菌に代表されるような病原性大腸菌に分類される細菌の種類も数多く含まれることになる急性胃腸炎の症状を引き起こす代表的な原因菌としても位置づけられていて、
結核菌と呼ばれる細菌は、患者の咳などを通じた飛沫感染によって呼吸器へと侵入した細菌が肺組織を破壊して肺の内部に空洞を伴う病巣を形成していくことによって、咳や喀血といった症状を引き起こしていく細菌の種類として位置づけられているほか、
枯草菌や納豆菌といった細菌は、様々な植物の枯草や、土壌中や空気中、さらには、人間や動物の胃腸の内部などにおいても生息している自然界において広く分布する最も一般的な常在菌の種類としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
らせん菌に分類される代表的な細菌の種類のまとめ
そして、その次に挙げた
らせん菌(spirillum、スピリルム)と呼ばれる細胞の形がらせん状にとぐろを巻いたような形状をした細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類としては、
詳しくは、「らせん菌に分類される10種類の代表的な細菌の種類のまとめ」の記事で考察したように、
カンピロバクターや、ヘリコバクターに分類されることになるピロリ菌やハイルマニ菌といった細菌の種類、コレラ菌とナグビブリオ、さらには、
スピロヘータに分類されることになる梅毒トレポネーマやボレリア、レプトスピラといった全部で8種類ほどの代表的ならせん菌の種類が挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、例えば、
カンピロバクターと呼ばれる細菌は、日常的に様々な動物の腸内などに広く生息している常在菌の一種として位置づけられる一方で、加熱が不十分な状態にある鶏肉などの肉類などを介して、人間に対して経口感染してしまうことにより、腹痛や下痢や発熱、さらには、吐き気や頭痛、倦怠感や筋肉痛などといった細菌性の急性胃腸炎の症状が引き起こす代表的な原因菌としても位置づけられていて、
ピロリ菌と呼ばれる細菌は、胃の内部における常在菌の一種として位置づけられている一方で、慢性胃炎や胃潰瘍、さらには、十二指腸潰瘍や胃がんなどの疾患に罹患するリスクを高める要因としても位置づけられている細菌の種類としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
リケッチア・マイコプラズマ・クラミジアといったその他の特殊な細菌の種類のまとめ
そして、
こうした球菌・桿菌・らせん菌という三つの細菌のグループのいずれにも分類することができない特殊な性質を持った微小な細菌の種族としては、
リケッチア・マイコプラズマ・クラミジアという三つの細菌の種族の名が挙げられることになると考えられることになります。
そして、このうち、
リケッチアは、宿主となる生物の細胞の内部においてだけしか増殖することができない偏性細胞内寄生菌の一種として分類されることになる多形性の非常に小型の細菌の種族であり、発疹チフスやロッキー山紅斑熱、日本紅斑熱やツツガムシ病といった細菌感染症の病原体となるのに対して、
マイコプラズマは、一般的な細菌において見られる細胞体の外殻構造にあたる細胞壁を持たない多形性の非常に小型の細菌の種族であり、マイコプラズマ肺炎といった細菌感染症の病原体となる細菌の種類として位置づけられていて、
クラミジアは、前述したリケッチアと同じ偏性細胞内寄生菌の一種として分類されることになる感染細胞の内部において封入体と呼ばれる異質な変性領域を形成していくことになる非常に小型の細菌の種族であり、性感染症や肺炎、オウム病といった細菌感染症の病原体となる細菌の種類としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:細菌の大きさはどのくらいのなのか?代表的な60種類の細菌の大きさの比較
前回記事:クラミジアの具体的な三つの特徴と分類される代表的な三つの細菌の種類、クラミジア肺炎とオウム病と性感染症との関係
このシリーズの初回記事:球菌に分類される代表的な細菌の種類とは?①黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌と腐性ブドウ球の具体的な特徴の違い
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