クラミジアの具体的な三つの特徴と分類される代表的な三つの細菌の種類、クラミジア肺炎とオウム病と性感染症との関係

前回の記事では、クラミジアと呼ばれる細菌の種族について、ラテン語古代ギリシア語に基づく名称の由来や、一般的な細菌やウイルスとの大きさの比較といった観点から詳しく考察してきましたが、

今回の記事では、

そうしたクラミジアと呼ばれる細菌の種族の具体的な特徴について改めて整理していく形で記述していったうえで、こうしたクラミジアと呼ばれる細菌によって引き起こされることなる代表的な細菌感染症の種類についてもまとめていきたいと思います。

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クラミジアと呼ばれる細菌の種族の具体的な特徴のまとめ

そうすると、まず、

こうしたクラミジアと呼ばれる細菌の種族具体的な特徴についてまとめると、それについては、以下で述べるような三つの具体的な特徴を挙げていくことができると考えられることになります。

①宿主となる生物の細胞の内部だけしか増殖することができず、生物の体外の自然環境の中ではすぐに死滅してしまう偏性細胞内寄生菌として位置づけられる。

②ウイルスなどの病原体と同様に、寄生した細胞の内部に封入体と呼ばれる異質な変性領域を形成していくことによって増殖を進めていく。

球形または楕円形の形状をした直径0.3マイクロメートルくらいの非常に小型の細菌として分類される。

つまり、一言でまとめると、

こうしたクラミジアと呼ばれる細菌の種族は、

偏性細胞内寄生菌、②感染細胞の内部における封入体の形成、③非常に小型の細菌という三つの特徴を持つ特殊な細菌の種族として位置づけられることになると考えられることになるのです。

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クラミジアを病原体とする代表的な細菌感染症の種類、クラミジア肺炎とオウム病

そして、次に、

こうしたクラミジア科と呼ばれる細菌の種族は、生物学的な分類においては、さらに、クラミジア属(Chlamydiaクラミドフィラ属 (Chlamydophila) と呼ばれる二つの細菌の種族へと分類されていくことになるのですが、

こうしたクラミジア科に分類される細菌のなかで、人間に対して細菌感染症を引き起こしてしまうことになる代表的な細菌の種類としては、例えば、

クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis
クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae
クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci

といったクラミジア科に分類される具体的な細菌の種類の名を挙げていくことができると考えられることになります。

そして、このうち、はじめに挙げた

クラミジア・トラコマチスと呼ばれる細菌は、性感染症の原因となる代表的な病原菌の種類としても位置づけられる細菌であり、

こうしたクラミジア・トラコマチスによって引き起こされる細菌感染症においては、尿道炎副睾丸炎前立腺炎子宮頸管炎卵管炎腹膜炎といった症状が引き起こされるケースがあるほか、

気道に対して感染を広げていく場合には、クラミジア・トラコマチス肺炎と呼ばれる細菌性の肺炎の症状が引き起こされるケースもあり、

特に、感染母体からの母子感染によって新生児や乳児などにおける肺炎の発症結膜炎などの原因ともなる種類として位置づけられることになります。

そして、その次に挙げた

クラミドフィラ・ニューモニエと呼ばれる細菌によって引き起こされる細菌感染症においては、飛沫感染などを介して、

痰を伴わない乾いた咳発熱急性喉頭炎による声のかすれ声枯れといった症状を特徴とする細菌性の肺炎の症状が引き起こされていくことになり、

高齢者施設などにおける集団感染などへの注意が必要な細菌の種類としても位置づけられることになるのですが、

こうしたクラミジア科に属する細菌を病原体とするクラミジア肺炎あるいはクラミドフィラ肺炎と呼ばれる感染症の主要な原因菌としては、一義的には、

前述したクラミジア・トラコマチスと呼ばれる性感染症の原因となる細菌の種類ではなく、こうしたクラミドフィラ・ニューモニエと呼ばれる飛沫感染を主要な感染経路とする細菌の種類の名が挙げられることになると考えられることになります。

そして、最後に挙げた

クラミドフィラ・シタッシと呼ばれる細菌はオウム病と呼ばれるオウムやインコといった鳥類を自然宿主とする人獣共通感染症にあたる感染症の原因菌として位置づけられていて、

こうしたオウム病と呼ばれる細菌感染症においては、主に、飼い主が飼育している鳥の排泄物などの内に含まれている病原菌を誤って吸引してしまうことによって、

高熱といった症状から、肺炎髄膜炎といった症状などといった多様な病態が引き起こされていくことになると考えられることになるのです。

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次回記事:球菌・桿菌・らせん菌に分類される代表的な細菌の種類のまとめ、60種類の代表的な細菌の細胞の形状の違いに基づく分類

前回記事:クラミジアという細菌の名称の由来と一般的な細菌やウイルスとの大きさの比較、古代ローマの兵士と細胞の「青色のマント」

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