らせん菌に分類される代表的な細菌の種類とは?①カンピロバクターの具体的な特徴と細菌性の急性胃腸炎の原因菌としての位置づけ
人間に対する様々な感染症の原因となる病原菌や、皮膚や腸内において生息する常在菌の種類のなかでも、
細胞の形が球形をしている球菌と呼ばれる細菌のグループや、細長い棒状の形状した桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類について順番に考察してきましたが、
そうした病原菌や常在菌として位置づけられることになる代表的な細菌の種類のなかには、前述した球菌や桿菌と呼ばれるグループに分類される細菌の種類の数と比べると、比較的少数の細菌の種類ではあるものの、
らせん菌と呼ばれる細菌のグループに分類される細菌の種類の名も挙げていくことができると考えられることになります。
らせん菌の大きさや形状とらせん菌に分類される代表的な細菌の種類
まず、そもそも、
らせん菌(螺旋菌、spirillum、スピリルム)とは、細胞の形がらせん状(螺旋状)、すなわち、とぐろを巻いたヘビや、針金をぐるぐると巻いたコイルのような形状した細菌のグループのことを意味する言葉であり、
一般的ならせん菌の大きさは、だいたい短径が0.1〜1µm、長径が0.5〜10µm程度の大きさをしていると考えられることになります。
そして、
こうしたらせん菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類としては、
カンピロバクター、ピロリ菌などのヘリコバクター、コレラ菌、ナグビブリオ、梅毒トレポネーマなどのスピロヘータ
といった全部で6種類ほどの細菌の種類の名を挙げていくことができると考えられることになります。
カンピロバクターの具体的な特徴と細菌性の急性胃腸炎の原因菌としての位置づけ
そして、
こうしたらせん菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類としては、前述したように、まずは、
カンピロバクターやヘリコバクターといった胃や腸などの消化器系に感染する細菌の種類の名が挙げられることになると考えられることになるのですが、
このうち、はじめに挙げた
カンピロバクター(Campylobacter)とは、幅0.2~0.8マイクロメートル、長さ1~5マイクロメートルほどの大きさをした菌体の端に一本または両端に一本ずつの鞭毛を持つグラム陰性の微好気性らせん菌に分類される細菌であり、
カンピロバクター(Campylobacter)という細菌の学名自体が、ギリシア語において「曲がっている」を意味する形容詞であるcampylos(カンピロス)と、ラテン語において「細菌」を意味する名詞であるbacterium(バクテリウム)が結びつくことによって付けられた学名であるように、
こうしたカンピロバクターと呼ばれる細菌の種族は、その名の通り細長い棒状の細胞の全体がうねうねと曲がりくねった形状をしたらせん菌と呼ばれる細菌のグループに分類される最も代表的な細菌の種類として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、
こうしたカンピロバクターと呼ばれる細菌は、日常的に様々な動物の腸内などに広く生息している細菌であり、加熱が不十分な状態にある鶏肉などの肉類などを介して、人間に対して経口感染してしまうケースがあると考えられ、
そうしたカンピロバクターを原因とする細菌感染症においては、腹痛や下痢や発熱さらには、吐き気や頭痛、倦怠感や筋肉痛などの症状を伴うことのある細菌性の急性胃腸炎の症状が引き起こされてしまうことになると考えられることになるのです。
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