鉤虫の名前の由来とズビニ鉤虫とアメリカ鉤虫の具体的な特徴、線虫に分類される代表的な寄生虫の種類③
前々回と前回の記事で書いてきたように、線虫に分類される代表的な寄生虫の種族としては、回虫と蟯虫と鞭虫といった寄生虫の種族が挙げられることになるのですが、
今回の記事では、それに引き続いて、
同じく線虫に分類される寄生虫の種族として位置づけられることになる鉤虫(こうちゅう)と呼ばれる寄生虫の種族の具体的な特徴と、鉤虫という名称そのものの由来、
そして、そうした鉤虫と呼ばれる寄生虫の種族に分類されることになるズビニ鉤虫やアメリカ鉤虫といった代表的な寄生虫の種類についても順番に詳しく考察していきたいと思います。
鉤虫の名前の由来と具体的な特徴とは?
まず、
鉤虫(Hookworm、フックワーム)とは、成虫が体長1~3センチメートルくらいに成長する灰白色またはピンク色の細長いひも状の形状をした線虫の種族であり、
こうした鉤虫と呼ばれる寄生虫の種族は、宿主となる動物の十二指腸や空腸と呼ばれる小腸上部の領域に寄生したうえで、
そうした腸管の内部において、鋭い歯牙によって宿主となる生物の腸内の粘膜に咬着して吸血を行うことによって寄生生活を営む生物の種族として位置づけられることになると考えられることになります。
また、
こうした「鉤虫」(こうちゅう)という名称の由来は、この生物自体の形態的な特徴に求められることになり、
具体的には、
こうした鉤虫と呼ばれる線虫の種族は、頭の部分がそのほかの体の部分に対してわずかに曲がっていて、そうした頭部における屈曲部位が、鉤(かぎ)すなわちフックのような形状をしているように見えるため、
こうした日本語における鉤虫(こうちゅう)、あるいは英語におけるHookworm(フックワーム)という名称が用いられることになったと考えられることになるのです。
ズビニ鉤虫とアメリカ鉤虫の具体的な特徴と、鉤虫症の具体的な症状
そして、
こうした鉤虫のなかでも、人間に対して寄生虫感染症を引き起こす原因となる代表的な寄生虫の種類としては、ズビニ鉤虫やアメリカ鉤虫といった寄生虫の名が挙げられることになり、
このうち、前者のズビニ鉤虫は、日本を含む熱帯から温帯の地域にかけて広く分布する線虫の種族であり、幼虫が付着した生野菜などを摂取することによって経口的に感染を引き起こしていくことになると考えられることになります。
そして、
こうしたズビニ鉤虫によって引き起こされる鉤虫症においては、口から侵入した幼虫が食道から胃そして十二指腸を通って小腸上部において定着したのち、
腸内の粘膜に咬着して吸血を行うことによって、栄養不良や鉄欠乏性貧血といった症状が引き起こされることになるほか、
一部の幼虫が小腸の粘膜から血流を介して肺や気管などの呼吸器へも侵入してしまうことによって、咳や咽頭炎などの症状が引き起こされてしまうケースもあると考えられることになります。
そして、それに対して、
後者のアメリカ鉤虫は、中南米やアフリカ、アジアなどの諸地域に分布する線虫の種族であり、土壌中に生息している幼虫が、畑仕事などの際に皮膚に付着することなどによって経皮的に感染を引き起こしていくことになると考えられることになります。
そして、
こうしたズビニ鉤虫によって引き起こされる鉤虫症においては、皮膚から侵入した幼虫が血流を介して心臓から肺、そして、気管から咽頭部へと移動したのち、今度は食道を通って胃から小腸上部へと移動していく際に、
皮膚の炎症、あるいは、咳や呼吸困難といった症状が現れるケースがあるほか、小腸上部において定着したズビニ鉤虫の成虫が腸内の粘膜に咬着して吸血を行うことによって、栄養不良や鉄欠乏性貧血といった症状が引き起こされることになると考えられることになるのです。
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次回記事:糸状虫あるいはフィラリアに分類される五つの線虫の種類の具体的な特徴と症状、線虫に分類される代表的な寄生虫の種類④
前回記事:蟯虫と鞭虫の具体的な特徴とは?線虫に分類される代表的な寄生虫の種類②
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