原虫と真菌の違いとは?人体に寄生する単細胞性の真核生物としての共通点と両者の具体的な特徴の違い
以前に「真菌症の代表的な種類」や「原虫が原因となる12の代表的な感染症の種類」の記事などで詳しく取り上げてきたように、
原虫が病原体となる代表的な感染症の種類としては、マラリア、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、アメーバ赤痢といった感染症の種類が挙げられることになるのに対して、
真菌が病原体となる代表的な感染症の種類としては、クリプトコッカス症、カンジダ症、マラセチア症、ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)といった感染症の種類が挙げられることになるですが、
そもそも、
こうした人間に対して感染性を示すことがある比較的まれな病原体の種類として位置づけられることになる原虫と真菌と呼ばれる二つの生物の種族には、具体的にどのような特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか?
人体に寄生する単細胞性の真核生物としての原虫と真菌の共通点
まず、
こうした原虫と真菌と呼ばれる二つの生物の種族のうち、
前者の原虫とは、細菌などの原核生物とは異なり核や細胞質といった構造を持つ真核生物に分類される単細胞性の微生物のなかでも、
特に、寄生性や病原性を示す原生動物のことを意味する言葉として、こうした原虫という言葉が用いられることになると考えられることになります。
そして、それに対して、
後者の真菌とは、光合成を行わずに、動植物の生体や遺体などに寄生することによって自らの生命を維持している真核生物のことを意味する言葉であり、
こうした真菌と呼ばれる生物の種族は、さらに、その形態的な特徴の違いに応じて、菌糸と呼ばれる細胞列を形成する多細胞生物に分類されるカビやキノコと呼ばれる種族と、一つ一つの細胞が単独の状態で活動する単細胞生物に分類される酵母と呼ばれる種族に区分されることになると考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうした原虫と真菌と呼ばれる二つの生物の種族、特に、同じ真菌のなかでも単細胞性の真核生物に分類されることになる酵母の形態をした真菌の種族は、
両方とも人体に対して寄生性や病原性を示す単細胞性の真核生物に分類されるという点において、互いに非常によく似通った特徴を持つ生物の種族としても位置づけられることになると考えられることになるのです。
原虫と真菌における具体的な特徴の違いとは?
それでは、
いったいどのような点において、こうした原虫と真菌と呼ばれる二つの生物の種族が互いに区別されることになるのか?ということについてですが、
そうした両者の具体的な特徴の違いとしては、まず、
前者の原虫に分類される生物の種族は、それが原生動物に分類されていることからも分かる通り、
基本的には、鞭毛や仮足といった運動器官に代表されるような何らかの運動性を示す病原体の種族がこうした原虫と呼ばれる種族に分類されることになると考えられるのに対して、
後者の真菌に分類される生物の種族においては、通常の場合、そうした運動性はほとんど見られないといった点が挙げられることになります。
また、
原虫に分類される生物においては、通常の動物細胞の場合と同じように、細胞全体は細胞膜のみによって取り囲まれているのに対して、
真菌に分類される生物においては、通常の植物細胞や菌類の細胞の場合と同じように、細胞全体が細胞膜だけではなく、さらにその外側を取り囲む細胞壁によって二重によって取り囲まれているといった点についても、
両者における具体的な特徴の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのです。
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以上のように、
こうした原虫と真菌と呼ばれる二つの生物の種族の両者における共通点と具体的な特徴の違いについて、
一言でまとめると、
原虫と真菌の両者は、どちらも人体に寄生する単細胞性の真核生物であるという点においては互いに共通しているものの、
原虫は、通常の動物細胞と同様に、細胞自体が運動性を持つ一方で細胞壁は待たないのに対して、
真菌は、通常の植物細胞と同様に、細胞自体が運動性を持たない代わりに細胞壁を持つといった点に、
両者の生物の種族における具体的な特徴の違いが存在すると考えられることになるのです。
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次回記事:カリニ肺炎の病原体が原虫ではなく真菌に分類し直された具体的な理由とは?
前回記事:原虫が原因となる12の代表的な感染症の種類とは?③その他の原虫感染症の具体的な特徴
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