B型肝炎とC型肝炎における慢性肝炎の具体的な病状の進展のあり方の違いと肝硬変および肝臓がんへの移行の仕組み

前回の記事で書いたように、B型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルスによって引き起こされる肝炎の病態は、大きく分けて、

ウイルス感染してから数週間から数か月といった比較的短期間のうちに症状が現れる一過性感染によって引き起こされる急性肝炎と、

ウイルス感染してから数年から数十年にもおよぶ長い時間をかけて徐々に肝炎の症状が進行していくことになる持続感染によって引き起こされる慢性肝炎という二つの病態のタイプへと分類されることになるのですが、

今回の記事では、

そうした二つの病態のタイプのうちの後者である持続感染によって引き起こされる慢性肝炎における具体的な症状の進展のあり方の違いについて詳しく考察していきたいと思います。

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B型肝炎における慢性肝炎の具体的な病状の進展のあり方と肝硬変および肝臓がんへの移行の仕組み

まず、

B型肝炎ウイルスの感染においては、血液や臓器の内部などにおいてウイルスを体内に持続的に保有していながら、いまだ症状が出ていない健康な状態にあることを意味するウイルスキャリアあるいはウイルス保有者と呼ばれる感染者のうち、

およそ90~95%のウイルス保有者は、そのまま自然にウイルスが体外へと排出されて治癒していくことになると考えられることになるのですが、

残りの5~10%のウイルス保有者については、体内におけるウイルスが排除されずに、そのまま肝細胞の内部において持続的な感染が進行していくことになり、

その後、数年から数十年にもおよぶ長い時間をかけて、肝機能の数値に異常が検出され長期的に肝臓における炎症状態が継続していくことになる慢性肝炎と呼ばれる肝炎の状態へと移行していくことになります。

そして、その後、

通常の場合は、こうした慢性肝炎と呼ばれる肝炎の状態が5年~10年以上にわたって持続していったのちに、そうした慢性的な炎症によって死滅した肝細胞が線維化していくことによって、肝臓が硬化して不可逆的な形で肝機能が著しく低下していく肝硬変へと呼ばれる状態へと移行していくリスクが高まっていくことになるというように、

B型肝炎における慢性肝炎からは、こうした肝硬変あるいは肝臓がんといったより重篤で致命的な肝疾患への移行が進展していってしまうことになると考えられることになるのです。

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C型肝炎における慢性肝炎の具体的な病状の進展のあり方とB型肝炎とC型肝炎における慢性肝炎の特徴の違い

そして、それに対して、

C型肝炎ウイルスの感染においてはウイルス保有者のうちの70持続感染の状態へと移行してしまうことになると考えられ、

その後、やはり数年から数十年にもおよぶ長い時間をかけて慢性肝炎と呼ばれる肝炎の状態へと移行していくことになり、

その後は、そうした10年~30年程度におよぶ慢性肝炎の期間を経たうえで、肝硬変さらには肝臓がんへと病状が段階的に進展していくリスクが高まっていくことになると考えられることになります。

・・・

以上のように、

B型肝炎とC型肝炎における慢性肝炎の具体的な病状の進展のあり方の違いとしては、まずは、

前者のB型肝炎においては、ウイルス保有者が持続感染から慢性肝炎へと移行していく確率は5~10と比較的低い確率であるのに対して、

後者のC型肝炎においては、ウイルス保有者が持続感染から慢性肝炎へと移行していく確率は70というかなり高い確率となるように、

一般的に、

C型肝炎の方がB型肝炎の場合よりも、感染していてもまだ症状が出ていない健康な状態にあるウイルスの保有者が、その後、長期的に慢性肝炎を発症してしまう危険性が高くなるといった点が挙げられることになります。

また、そのほかにも、

B型肝炎の場合には、前述したような慢性肝炎から肝硬変そして肝臓がんという一般的な病状の進行のパターンをたどらなくても、

肝硬変の段階を経ずに、慢性肝炎の状態からすぐに肝臓がんの段階へと移行してしまうケースや、運が悪い場合では、

慢性肝炎になる前のまだ何の症状も現れていない単なるウイルスの保有者の段階からいきなり肝臓がんを発症してしまうといったケースもしばしば見られることになるのに対して、

C型肝炎の場合には、B型肝炎の場合とは違って、基本的には、慢性肝炎から肝硬変そして肝臓がんときちんと順番を追っていく形で病状が進行していくことになり、

肝硬変にまで病状が進行する前の段階においては肝臓がんを発症するケースはほとんど見られないといった点に、

こうしたB型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルスと呼ばれる二つの肝炎ウイルスによって引き起こされる慢性肝炎の具体的な病状の進展のあり方における大きな特徴の違いがあると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:D型肝炎ウイルスとB型肝炎ウイルスの関係とは?衛星ウイルスとしての位置づけと重複感染による肝炎リスクの増大

前回記事:B型肝炎とC型肝炎における急性肝炎の症状の違いと劇症肝炎へと至る危険性の比較そして一過性感染と持続感染の違い

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