B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの感染ルートとウイルスの構造の違い
前回の記事で書いたように、ウイルス性肝炎を引き起こす危険性のある代表的なウイルスは、
汚染された水や食品などを介して感染が広がっていく経口感染を引き起こすタイプのウイルスであるA型肝炎ウイルスとE型肝炎ウイルス、
そして、経口感染はせずに血液などの体液を介して感染が広がっていくことになる非経口感染を引き起こすタイプのウイルスであるB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスとD型肝炎ウイルスという
二つウイルスのグループに分類されることになると考えられることになるのですが、
それでは、
こうしたウイルス性肝炎を引き起こす代表的な二つのウイルスのグループのうちの後者の内に含まれるB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスには、
互いに具体的にどのような点において特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか?
B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスにおけるウイルスの構造の違い
まず、
こうしたB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスと呼ばれる二つのウイルスは、両方とも血液などの体液を介して感染が広げていく非経口感染を引き起こすタイプのウイルスのグループに含まれるとは言っても、
前者のB型肝炎ウイルスは、ヘパドナウイルス科に属するDNAウイルスであるのに対して、
後者のC型肝炎ウイルスは、フラビウイルス科に属するRNAウイルスであるというように、
こうした二つのウイルスの種族は、DNAとRNAという細胞やウイルスの根幹をなす遺伝子情報のシステムやウイルスの構造自体からして互いにその基本となる性質が大きく異なっていると考えられることになります。
B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスにおける感染経路の違い
また、
ウイルスの感染経路については、
B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスのどちらの場合も、基本的には血液などの体液を介して感染が広がっていくことになり、
具体的には、
ウイルスの検査体制が不十分な状態で行われる輸血や臓器移植、医療現場における不注意などを生じる注射器などの針刺し事故、さらには、消毒が不十分な状態で行われる刺青(いれずみ)や鍼(はり)、ピアスの穴開け、
あるいは、覚醒剤の使用などにおける注射の回し打ちや、競技者同士の直接的な身体的接触の度合いが大きい格闘技や一部の球技などのコンタクトスポーツにおいても、接触相手が激しく出血している場合に傷口などを介して感染が引き起こされるケースなどが挙げられることになります。
そして、その一方で、
B型肝炎ウイルスの感染経路においては、こうした血液を介した感染ルートに加えて、性行為を介しても感染が引き起こされることもあるので、B型肝炎は性感染症の一つとしても位置づけられることになるのに対して、
C型肝炎ウイルスの場合には、可能性がゼロというわけではないもののB型肝炎ウイルスと比べて性行為で感染する危険性は非常に低いと考えられているため、通常の場合、C型肝炎は性感染症には含まれないといった点に、
こうした両者のウイルスにおける具体的な感染経路の違いを見いだすことができると考えられることになるのです。
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次回記事:B型肝炎とC型肝炎における急性肝炎の症状の違いとは?劇症肝炎へと至る危険性の比較と一過性感染と持続感染の違い
前回記事:A型肝炎ウイルスとE型肝炎ウイルスの特徴の違いとは?主要な感染源の違いと具体的な肝炎の症状と危険性の比較
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