UFOの正体とは何か?①地球外仮説と心理社会的仮説と多次元仮説に代表される三つの有力なUFO仮説のまとめ
このシリーズの初回の記事でも書いたように、UFOとは、unidentified flying object(アンアイデンティファイド・フライング・オブジェクト)すなわち、いまだその正体が何であるか確認されていない詳細不明の飛行物体のことを意味する言葉であり、
広義におけるUFOのうちには、観測者側の情報不足や勘違いなどによってその正体が未確認な状態にあるだけの航空機や観測気球やミサイルといった人工物、あるいは、球電現象やプラズマや隆盛などの自然現象なども含まれることになります。
それに対して、
そうした通常の人工物や自然現象によっては説明がつかないと考えられる超常現象としてのUFOの正体を説明する仮説としては、
地球外仮説と心理社会的仮説と多次元仮説と呼ばれる三つの仮説理論が挙げられることになると考えられることになります。
超常現象としてのUFOの正体を説明する三つの有力な仮説理論のまとめ
①地球外仮説(ETH)
このうち、はじめに挙げた地球外仮説(extraterrestrial hypothesis、ETH)とは、UFOの正体をシンプルに地球外生命体が乗る宇宙船といった物理的な存在のうちに求める考え方であり、
通常の場合、そうした地球外のはるか彼方の星系から飛来した宇宙船は、彼らにとって未知の星である地球という惑星の調査と探索、あるいは、地球上の支配的な種族である人類の調査や互いに交流を持つための糸口を開くために地球へと訪れてきていると説明されることになります。
②心理社会的仮説(PSH)
それに対して、その次に挙げた心理社会的仮説(psychosocial hypothesis、PSH)とは、UFOの正体を地球外仮説におけるような宇宙船や探査機といった物理的な存在のうちにではなく、人間の心理作用や何らかの社会的要因に基づく心の働きといった精神的な存在のうちに求める考え方であり、
具体的には、人間の意識や知覚がもたらすある種の錯覚や、社会学的な群集心理などに基づく幻覚のようなものがUFOの正体として位置づけられることになるほか、
人間の心の無意識の領域や変性意識の状態を通じて未知なる存在との遭遇が引き起こされるある種の神秘体験や、
ユングの心理学における集合的無意識の階層に存在する元型イメージの外界への投影としてのUFO現象の解釈もそうした広義における心理社会的仮説のうちに含められることになります。
②多次元仮説(IDH)
そして、それに対して、最後に挙げた多次元仮説(interdimensional hypothesis、IDH)とは、この宇宙と異なる次元においては我々が住んでいる宇宙とは異なる構造を持った無数の宇宙が並立して存在すると考える多元宇宙論の立場からUFO現象を解釈する考え方であり、
この仮説においては、UFOの存在は、地球外生命体の宇宙船といったこの宇宙の内に存在する物理的存在の姿でもなければ、人間の心の働きのみによって生み出された単なる心理的現象の産物でもなく、
我々とは異なる次元の別の宇宙に存在する異次元の存在が我々の住む宇宙の次元と一時的に接点を持つことによってその姿が不完全な形で垣間見られる現象として捉えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうした多次元仮説(IDH)と呼ばれる仮説は、前述した地球外仮説(ETH)と心理社会的仮説(PSH)の理論における問題点を克服し、互いの理論を高次の次元において統一することによって生まれた新たな理論、
すなわち、両者の仮説理論をアウフヘーベンすることによって生み出された新たなUFO仮説として位置づけられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:UFOの正体とは何か?②四つの分類と12の区分に基づくUFO現象の合理的な説明のまとめ
前回記事:多元宇宙論に基づくUFO仮説の心理学的解釈とユングの心理学における集合的無意識の実在的存在としての解釈との関係
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