多元宇宙論に基づくUFO仮説の心理学的解釈とユングの心理学における集合的無意識の実在的存在としての解釈との関係
前回の記事で書いたように、超常現象としてのUFOの存在を合理的に説明する仮説理論のあり方としては、
従来から存在していた地球外仮説(ETH)と心理社会的仮説(PSH)の両者の矛盾点を克服することによって新た生み出された多次元仮説(IDH)と呼ばれる仮説理論の存在を挙げることができると考えられることになります。
そして、通常の場合、多次元仮説においては、物理学的な意味における多元宇宙論の考え方に基づいてUFOの存在を合理的に説明するための議論が組み上げられていくことになると考えられるのですが、
その一方で、こうした多元宇宙論に基づくUFO仮説は、前々回の記事で取り上げた心理学的な側面からもその仮説理論のあり方を捉え直していくことができると考えられることになります。
この宇宙とは別の領域に存在する実在的存在としての集合的無意識の解釈
前々回の記事で取り上げたように、ユングの心理学における集合的無意識の理論に基づいて超常現象としてのUFOの存在を解釈しようとする場合、
UFOの姿の正体は、個人の心における無意識の領域よりもさらに深い階層に位置する人類全体に共有されている心の領域である集合的無意識の階層に存在するある種の元型イメージが、
シンクロニシティ(共時性)と呼ばれる現象を通じて、複数の人間の意識のうちで共有される形で同時多発的に外界へと投影されたものとして捉えられることになります。
そして、
こうしたユングの心理学における集合的無意識の概念は、その捉え方に応じて様々な解釈が成り立ちうる多様な意味の広がりを持った概念であると考えられることになるのですが、
少なくとも、こうした集合的無意識と呼ばれる存在は、それが個人の心の内部における無意識の領域を超えて広がる人類全体に共有される広大な心の領域として定義されている以上、
その存在は、この宇宙の内部に存在する物理的な存在としての一人一人の脳の働きの内にはとどまることのない、そうした物理的な存在としての脳の働きを超えたところ、あるいはそれとは別の領域の内に求められるとも捉えられることになります。
多元宇宙論に基づくUFO仮説の集合的無意識の理論に基づく心理学的な側面からの解釈
そして、
多次元仮説すなわち多元宇宙論に基づくUFO仮説においては、
まさに、そうした我々が通常目にしている宇宙における単なる物理的存在とは異なるそれとは別の次元の別の宇宙から一時的にこちらの宇宙へと姿を現した異次元の存在がUFOとして認識されることになるので、
前述したように、
ユングの心理学において登場する個人の心や脳の働きを超えたところに存在する人類全体に共有されている心の領域としての集合的無意識の存在を、
この宇宙に存在する単なる物理的存在とは別の領域、すなわち、こちら側の宇宙とは別の次元の別の宇宙の内にある実在的な存在として捉えることができるとするならば、
こうした多元宇宙論に基づくUFO仮説とユングの心理学における集合的無意識の間には、互いに両立する議論を展開していくことが可能となると考えられることになります。
つまり、
こうした多元宇宙論に基づくUFO仮説のユングの心理学における集合的無意識の理論に基づく心理学的な側面からの解釈においては、
カメラやビデオなどの機器をかいした記録媒体においても実際にその姿を記録することができるような実在的な存在として捉えられるUFOの存在についても、
集合的無意識が存在する別次元の宇宙の内部において存在する実在的な存在としての元型イメージが、そうした異次元の宇宙を介してその姿がこちら側の宇宙において一時的に実際に具現化された存在として捉えることによって、
超常現象としてのUFOの正体を合理的に説明することができると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:UFOの正体とは何か?①地球外仮説と心理社会的仮説と多次元仮説に代表される三つの有力なUFO仮説のまとめ
前回記事:多次元仮説および多元宇宙論に基づくUFOの存在の解明、地球外仮説と心理社会的仮説の矛盾点を克服する第三の仮説
「意識・自我・魂」のカテゴリーへ
「ユング」のカテゴリーへ
「宇宙論」のカテゴリーへ
「UFO」のカテゴリーへ